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あなたの組織の財産の活用方法は、社会にどのような影響を与えていますか?[利益とは何か #16]

組織がそれぞれに特有の使命を果たすことは、社会が最も関心をもち最も必要としていることである。個々の組織が、その特有の機能を遂行する能力を損なったり減少させたりしては、社会の損失である。

マネジメント(上)』第Ⅰ部 マネジメントの役割
第26章 社会的責任の限界 p394より


大企業も中小企業も、個人事業だって、「公」の存在です。
個人事業は個人の能力を活用する、大中小企業は個人の能力を集めて活用する、違いはそれだけです。
なすべきことは個人であれ企業であれ、社会に対して良い変化を起こすことです。
自分たちの利益のためだけに事業を行うのであれば、他人の資産を搾取する詐欺集団と何が違うのでしょう……言いすぎでしょうか? でも、その事業は誰のために行っているのでしょう? 社会に対してどのような良い変化を起こしているのでしょう?

何か始めよう!! と考えたとき、ワクワクする未来を描いていたと思うのです。
そんなワクワクする未来に到達するために、こんな状態を目指そう!! と使命感を得たと思うのです。
その使命感を事業という形に落とし込んで、資金を集め、人を集め、知識・技術を集め、組織となって動き始めたと思うのです。
根っこには、「こんな地域・社会になってほしい!!」という強い想いがあったはずです。
それだけで、その活動は地域・社会のためを思って動き出しています。
「公」のための活動を開始しています。

「われわれのミッションは何か」を問い続け、見失わないようにすることが、事業により成果をあげる組織・個人のあるべき姿であり、「公器」としての組織の存在理由だと思うのです。


「企業は社会の公器である」と聞いたときに思い浮かべるものは何でしょう。
わたしはホンダの輸入工作機械購入のお話を思い出します。

本田宗一郎氏の逸話は、いろんなメディアで拝見しますが、ホンダ社のHPに掲載されている記事を読むと、なんだか高揚感が違う気がするのは私だけでしょうか。
もちろん、自社のHPですので自社をより良く見せるためのページではありますし、ライターさんが関与されてるのかな、とは思うのですが、自社のHPに掲載されていることで、社員のみなさんにも本田イズムが注入されてる気がしてワクワクするんです( *´艸`)
本田氏や松下幸之助氏はそれぞれの組織の宝というより、モノづくりを行う、組織を運営する、国の発展を考える、その地域に住む人のことを考える、という視点から見ても、日本の宝だと思うのです。
より多くの方に知っていただけると、何かが引っかかり、飛躍のきっかけにつながるのでは、と思っています。

1950年代、資本金600万円の組み立て工場でしかなかったホンダは、4億5000万円の輸入工作機械を購入しました。
他の書籍では、たとえホンダが倒産してしまったとしても、日本に輸入工作機械は残る、その機械で日本は飛躍できるから、日本として損はない、というお話でした。
組織の将来を考えるときに、地域・社会の未来も一緒に考えることができる人が日本にいたのか!? とびっくりしたのと同時に、ものすごく誇らしくなりました。
利益とは何かを考えるとき、自社のことだけ考えているようでは、その範囲の中でしか成長は見込めません。
社会の中でどのように成長するか、社会の発展にどれだけ、どのように関与するかを考えるからこそ、大きな飛躍を遂げられる、ということですよね。
「企業は社会の公器である」というこの言葉を見るたびに、本田氏のエピソードを思い出します。


社会において、地域において、そこに住む人たちや動植物にとって良い変化を起こすことが、その地域・社会において幸せな生活を続ける原動力となります。
その原動力が、組織の継続的な存在を求めます。
その組織に対し、社会における資産(人財、資財、インフラ……)を適切に活用・運用することを求めています。
組織が抱えている利益・人財・資財などは、私腹を肥やす道具ではありません。
組織が抱えている利益・人財・資財などは、社会からの預かりものです。
適切に活用・運用することができないのであれば、地域・社会に対して人財などを放出してもらう必要があります。
飲食店やコンビニなどで提供されるお惣菜だって、お惣菜の材料となる食材を生産者さんからお預かりしており、それを適切に活用しお惣菜という形にして顧客に提供しているものです。
お預かりしている財産を、売れ残ったからといって簡単に廃棄してしまうような生産計画を立ててはいけないのです。
購入したからといって、食べきれなかったからと簡単に廃棄してはいけません。
地域・社会からお預かりした大切な財産だから、大切に美味しくいただく、丁寧に関わるという責任があると思うのです。

SDGsとか、ESG投資とか、資本主義の流れの中で生まれたもので測る以上に、手にしているモノを大切に扱うということを、社会としても、個人としても考えていく必要があるんだ、と感じています。
社会において発生する損失は、その社会に生きるものすべてにとっての損失です。
損失ではなく成果として、みんなの手元に渡るようにするために、「公器」として何をなすべきか、考えていけたらいいですよね。

あなたの組織の特有の使命は明確になっていますか?
その使命を果たすために、どんな財産を集めますか?
その財産をどのように活用しますか?
適切に活用されているか、どのような尺度で測定しますか?


実践するドラッカー【利益とは何か】』 
chapter2 われわれのミッションは何か p38 #16


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