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2022年の相談データ・速報(月刊風テラス:2023年1月号)

新年あけましておめでとうございます。NPO法人風テラスの坂爪です。

2022年の風テラス、一年間で合計2,267名の方のご相談をお受けすることができました。

全国各地から風テラスにご相談してくださった皆様、寄付で活動を支えてくださった皆様、そして相談員・スタッフ・インターンの皆様に、改めて感謝いたします。

全国に約40万人いると言われている風俗で働く女性全体から見れば、まだまだ十分につながることのできていない人や地域がたくさん残っている状況なので、2023年も引き続き、一人でも多くの女性に適切な支援を届けていけるよう、チームで頑張ってまいりたいと思います。

以下、2022年の相談データ・速報をお届けします。

1.一年間の相談件数

一年間の相談件数(月ごと)

風俗業界において、一年間で最も厳しい閑散期である2~3月に相談件数が増える傾向がある。一年間で最大の稼ぎ時の一つである大型連休のある5月は最も相談件数が少ない。夏のボーナスで客足が伸びる7月も、同様に相談件数が減る傾向がある。

9月以降の閑散期~12月の年末にかけては、相談件数が高止まりしている。クリスマス~お正月の時期は業界の繁忙期であるが、「年末年始は、いつも指名しているお気に入りの女性と過ごしたい」という男性が多いためか、5月や7月とは違い、「稼げる女性(本指名客をたくさん持っている女性)」と「稼げない女性(指名が取れず、フリーの客だけを相手にしている女性)」が明確に分かれてしまう時期であると言える。

2.相談者の年齢

相談者の年齢

20代前半~後半が多く、30代後半から急速に減少する。10代よりも40代、50代の女性からの相談が多いのは、風テラスの特徴だと言える。

50代後半以降は極めて少数である。2010年代には「40歳の壁」=40歳を過ぎたら風俗で働き続けることは困難になると言われていたが、人妻・熟女デリヘルをはじめとした中高年女性を採用する店舗の増加に伴い、40代~50代の女性も働き続けることは可能になった。

20代後半から30代後半にかけて一気に人数が減少することと比べると、40代の減少率は比較的緩やかである。こうした傾向は、昼職などのセカンドキャリアに移行できないまま40歳を超えると、好む/好まざるに関わらず、そして稼げる/稼げないに関わらず、風俗の世界で働き続けるしかなくなってしまう、という状況に追い込まれる女性が一定数存在することを示唆している。

しかし、それでも50代後半を過ぎて風俗の世界で働き続けることは、非常に難しい。また熟女系のデリヘルは(特に地方において)違法行為を含めた過激なサービスを低価格で要求される傾向が常態化している地域もあり、決して働きやすい環境であるとは言い難い。

3.現在働いている業種

現在働いている業種

2000年代以降、風俗業界の主役になっている無店舗型=デリヘルが圧倒的に多い。コロナ禍で開業や摘発が相次いだメンズエステ(風俗・非風俗含む)がソープと並んだことも興味深い。出店が規制されているソープの店舗数がこれ以上増えることはないので、今後はメンエスがデリヘルに継ぐ第二位の業種になることが予想される。

また相談件数としては少数であるが、女性向け風俗で働くセラピストからの相談も増えている。ちなみに「業種不明」は、694件であった。

4.都道府県

住所

風俗で働く女性の4分の1(約10万人)が集中している東京都が最も多い。新潟県が8位に食い込んでいるのは、風テラスの事務局があり、県内の店舗への食料支援を定期的に行っているためである。

5.相談経路

相談経路

LINE971件のうち、384件がLINE公式。2022年4月から開始したLINEチャットボットによる情報提供から有人窓口への相談、という流れが確立している。

ツイッターのフォロワー数・相談者数がこの一年鈍化している傾向があるので、来年は新たにYouTubeなどの窓口を設ける予定である。

6.障害・病気

障害・病気

精神疾患・知的障害・発達障害など、何らかの障害がある(障害者手帳を持っている・通院歴や入院歴がある)という自己申告のあった件数は、406件。相談件数全体の約18%だが、申告のないものも含めると、相談者の3~4割は、うつを始めとする何らかのメンタルの不調や障害を抱えている可能性が高い。

7.相談の内容

相談内容

生活困窮=「風俗で働いても稼げない」「生活ができない」に関する相談が多く、その次に店舗トラブル(退店をめぐるトラブル、違約金や罰金など)が続く。それらの背景にある誹謗中傷/身バレ、借金、税金、メンタルの不調の相談も多い。

8.食料支援の件数

食料支援の件数

2022年は、地元のフードバンクからのお米の寄付、Amazonほしいものリストからの食品寄付を活用して、毎月25世帯前後に食料支援を行った。食料支援の傾向としては、「どこにもつながれない」状態=精神疾患や知的障害などの理由で行政や民間の支援団体とうまくつながれず、風テラスに支援を求めてくるという人が少なくない。つながりづらい人とつながるためのツールとして、引き続き食料支援を実施していきたい。


2022年の相談データの全体と分析、後ほど2022年の活動報告書にて、正式にまとめて公開いたします。

【告知①】寄付者の方々とお話する「ふ~サポカフェ」開催!

今年から、理事長の私・坂爪と事務局の米盛が、寄付者の皆様に直接お会いして、日頃のご支援のお礼+現場の活動報告をお伝えする場をスタートいたします。題して「ふ~サポカフェ」!

これまで風テラスにご寄付をくださった方であれば、金額や回数を問わず、どなたでも参加可能です。(READYFORコングラントCAMPFIRE単発寄付Amazonほしいものリストなど)

1月は、東京にて、以下の日程で開催いたします。会場は、駅近くの喫茶店を予定しております。

1月20日(金)15時~18時 @JR大塚駅近郊

1月21日(土)12時~13時30分 @JR鶯谷駅近郊

参加希望の方は、風テラス事務局(info@futeras.org)もしくは風テラスのツイッターDMより、①お名前②寄付をしてくださった媒体(READYFOR、コングラント、Amazonほしいものリストなど)を明記の上、ご連絡ください。

今後も3ヶ月に一度程度のペースで開催してまいりますので、今回ご都合が合わなかった方は、また次回、ぜひご参加頂けるとありがたいです。

【告知②】夜職サミット「同人AV最前線」3月18日(土)に開催!

今年最初の夜職サミット、3月18日(土)18時30分~20時30分に池袋にて開催いたします。

今回のテーマは、「同人AV」です。

同人AVとは、個人や同人サークルが制作したアダルトビデオ(動画)で
2010年代半ば以降、撮影機器の発達とSNSの普及に伴い、スマホ一台で
「個撮」=個人でも簡単に動画の撮影・配信が可能になったことを受けて、この世界に参入する人が増加しています。

誰がどう考えてもトラブルしか起こらない世界だと思いますが、風テラスでも「生活に困って、同人AVに出演してトラブルに巻き込まれた」という
ご相談が最近増えております。

適正AVがAV新法で規制されたこともあり、今後は同人AVの世界に流れる人が増え、チャットレディやパパ活と並ぶ規模の「困窮した若年~中年女性が集う世界」になる可能性があるので、専門家の方々からお話を聴いて、我々も勉強せねば!という目的で企画しました。

同人AVについて勉強したいという方は、ぜひご参加ください。

⇒詳細・お申し込みはこちら

それでは、2023年も、風テラスを何卒よろしくお願いいたします!

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