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【料理の旅人 再現中華6】 羊肉水饺 yang rou shui jiao / 羊の水餃子〜ギョウザの起源

【料理の旅人ー再現中華ー】
2023年3月、既に風天を閉め、会社の清算、廃業申請の認可待ち。
帰国寸前に20年間に及んだ中国との関わり、生活の集大成。
ネガティブな問題の蓄積、結果として離れる中国だが、無駄にせずポジティブな経験とすべく、ギリギリまで中国旅をして郷土中華料理に親しみ、中国の素材を使った料理、日頃距離を置いた( 日本食を扱う仕事の為 )中華の技法を独自に学ぼうと試みた。
仕事と違う側面。日本人料理人による、中華への取り組みを記事にする。
日本人的なアレンジは多少あるが、食べて舌から学んだ料理を再現したもの。
旅の料理人としてのアーカイブ。

再現中華ー寄稿に際してのコメント


ギョウザの起源 ” 祛寒娇耳汤チュ-ハン ジョ-ア-タン "

中国での餃子事情  - 餃子の起源 -
さて ” 饺子 jiao zi ジャオズ "、ギョーザについて少し語ろうと思う。

 餃子といえば、日本では圧倒的に焼き餃子。ところが、本場中国では圧倒的に水餃子が主流である。中国での水餃子人気、それは、おそらく餃子の起源にある。
餃子の歴史、時は中国三国時代まで遡る。

 その時代、三国志を知る人はご存知の伝説の名医,
"医神 yi shen イ-シェン" と呼ばれた華佗 hua ta ホヮタ-(カタ)という人物がいる。其の腕を変われ頭痛持ちの曹操の典医となるが、民衆を思い離れようとして殺されたしまった。彼は、麻酔を使っての手術を行うなど技術に優れた医者だったようである。

そして、日本であまり知られていないように思うが、時を同じくして
"医圣 yi sheng イ-シュン"と呼ばれた張機 zhang ji ジャンジ-(チョウキ)という名医もいた。彼は医療に纏わる多くの書を残し、後世への貢献としてはこちらが上だという見解を今の医療従事者がテレビで語っているのを見た事がある。

実は、この医聖(圣)なる張機が餃子を考案したのだとか。
その時代、飢饉で上に苦しみ、栄養を摂れずに寒空の下凍える人々の耳が爛れているのを見て、栄養のある温まるものをと考える。
山羊でスープをとり、その肉を叩いて小麦粉で作った皮で包み一緒に火にかける。
漢方を処方し、スープとして民衆に与えたという。(ヤギは体を温める効果を持つ)
このスープ、” 祛寒嬌儿耳汤 qu han jiao er tang チュ-ハンジャオア-ルタン"
呼ばれる。" 寒さを除き、耳を良くするスープ "の意味。
”良くする”の意味の” 嬌 jiao"からジャオの響きで” 饺子 jiao zi ジャオズ”になったという言い伝え。
餃子の形が、耳の形に似ているのはタマタマでないような気がしてくる。。。
その起源がスープとしての餃子にあることを知ると、中国での水餃子人気を理解できるのではないでしょうか。

自身のnoteに寄稿した文章  ー和食人、餃子を語る。(其の壱)ー より         


山羊を捌く                         2023.4.11

▼  日本に帰国する前に、山羊肉を塊で購入し、あれこれ戯れてます。


羊肉水饺ヤンロウシュイジャオ  yang rou shui jiao  "2023.4.14

起源とされる餃子が、山羊であったはずなのに。。。
中国といえど、日頃見かける餃子は、牛や豚のものばかり。せっかくの機会なので山羊の水餃子を作ろうと思った。

漢方こそ処方しないが、山羊でとったスープを使い、山羊肉の水餃子を作る。

文献では、” 茹でた肉を刻んで小麦粉で作った皮で包んだ "とあるようだが、
美味しく作るために、ここは生肉も刻んで合わせる。
羊の風味を活かす為に、野菜は控え目。白菜に、少量のニンニクと季節の菜心ツァイシン のみ。


羊汤 ヤンタン で茹で上げる風味豊かな” 羊肉水饺ヤンロウシュイジャオ "。
三国の時代から、1800年。。。


                                 以上
 

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