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「若いうちに頑張らなきゃ」ってなんだろう

フルスタックマーケティング株式会社の代表取締役CEO・清水優志(@fsm_shimizu)です。
企業のマーケティング活動を支援しています。

最近、知り合いと「(ビジネスの世界では)若いうちに頑張っておかないと、あとで困るよね」みたいな話をしました。

僕はもうずっとこの感覚と一緒に生きている(仕事をしていないと落ち着かないワーカホリック人間です)ので、当たり前すぎて考えたこともなかったのですが、「若いうちに頑張らないとあとで困る」理由を説明するのは意外と難しいことに気づき、このnoteを書いています。

「頑張る」「困る」みたいな言葉って、中身がわからないのでなんとなく不安になって終わっちゃいませんか。
このnoteを読んで、そんな漠然とした不安が解消し、何をどう頑張るのかが明確になったら嬉しいです。

「頑張る」ってなんだろう

ビジネスにおいて「頑張る」というのは、極限まで単純化すれば「資本を増やすこと」です。

個人に紐づくような「資本」は、大きく分けると「財務資本」「人的資本」「社会資本」の3つに分類されます。
平たく言えば「財務資本」は「投資できるお金」のこと、「人的資本」は「ノウハウや能力」のこと、「社会資本」は「人間関係や信頼」のことです。

つまり、「お金を貯めて、ノウハウを増やし能力を高め、人間関係を築いて信頼を得る」というのが「頑張る」の中身になります。

そして、若いうちに頑張っておくと、溜め込んだこれらの「資本」に基づいて効率のよいビジネスができます。
「お金」を使って人を雇ったり、「ノウハウや能力」を活かして役職者になったり、「人間関係や信頼」を使って仕事を得たりできるのです。

逆に、こういった資本を持たないまま歳をとってしまうと、永遠に「時間」という資本を投資し続けなければならなくなります。
「時間」という資本は誰にでも平等に与えられているため、差別化できません。したがって、他の資本を持たない場合には低賃金での労働を強いられます。

「いい資本」と「わるい資本」

頑張って資本を増やしたとして、実際にはビジネスにおける投資対効果の高い「いい資本」と、ビジネスにはあまり意味のない「わるい資本」があります。

「財務資本」における「いい資本」は自己資本、「わるい資本」は負債(借入金)です。
借入が悪いというわけではなく、借入金それ自体はビジネスに有利にはたらくことがない、ということです(「借入金が◯億円あります!」というアピールは成立しないですよね)。

「人的資本」における「いい資本」は実務的なスキルや希少性の高いノウハウ、汎用性の高い知識などです。
「わるい資本」は有名無実の資格、誰でも持っているようなノウハウ、断片的な知識などです。

「社会資本」における「いい資本」は資本家やハイスキル人材とのつながり、ビジネス上の実績やそれに基づく信頼です。
「わるい資本」はすぐに接点形成ができるような人とのつながり、ビジネスとは関係のない実績です。

「いい資本」を意識的に集め、それを投資することでより大きな「いい資本」を獲得するのがビジネスの本質です。

若いうちに「時間」を「いい資本」に変換しておけ

若いうちにはこの「いい資本」がほとんど手元にないので、まずは「時間」を投資して「いい資本」に変換する必要があります。
そして、「いい資本」を蓄積できたらそれを使った資本の再生産を行い、「時間」の投資割合を減らすことで自由を手にします。

歳をとってからでも同じように「時間」を投資することで「人的資本」たるノウハウや能力を集めることはできます。
しかし、人間の思考力や記憶力は老化に伴って低下していく(下図を参照)ので、同じ時間を投下しても得られる人的資本には差が生じます。

横断研究による知能と加齢(Salthouse(2004)4)より引用)

また、歳をとったほうが「社会資本」たる人間関係は構築しやすいと思うかもしれませんが、仮にまったく同じ能力を持った若年者と中年者がいたとして、若年者のほうがより多くの「時間」という資本(あるいは気力や体力)を持っている以上、若年者のほうが有利だと言わざるを得ないでしょう。

まとめると、「(ビジネスの世界では)若いうちに頑張っておかないと、あとで困るよね」とは、以下のように言い換えることができます。

若いうちに「時間」を「いい資本」に変換しておかないと、歳をとってからも「時間」を投資し続けることになり、さらにその投資効率はどんどん下がっていく。

会社は「資本」を共同保有するための装置

ちなみに、会社というのは、この「いい資本」を共同保有することによって、効率よく投資活動を行うための共同体です。

「財務資本」は資本金を投じるファウンダーが、「人的資本」は役員や従業員が、「社会資本」は会社という看板がそれぞれ担うことにより、個人ビジネスよりも高い投資収益性をあげることが可能になります。

したがって「いい資本」が蓄積するまでは、会社に入って会社の保有する「いい資本」を活用するのは非常に合理的な判断です。
逆に経営者の視点に立つと、会社をつくることの意味は、従業員の「いい資本」を活用させてもらえるところにあります。

こうして、従業員と経営者が互いに資本共有の契約を結び、Win-Winの関係を築けるのがいい会社と言えるでしょう。
よく「会社は従業員を搾取している」なんて言葉を耳にしますが、従業員にとっても会社員になることには多大なメリットがあります。

ただし、入社する会社が「わるい資本」しか保有していない場合には、あなたの「時間」を投資しても「いい資本」が手に入らない可能性が高いので注意してください。
「わるい資本」しか保有していない会社とは、例えば、借金経営・自転車操業を続けている、優秀な人材がすぐに流出し社内にノウハウが蓄積していない、よい顧客基盤を持っていない、といった特徴を備えています。

今日のあなたがいちばん若い

そんなわけで、若いうちに頑張っておくことは、ビジネスにおいてとても大事なことだと思っています。
でも「俺はもう若くないから」と言いたい人にも、手垢のつきまくった言葉ですが、以下の名言を贈りたいです。

Today is the first day of the rest of your life.
(【訳】今日は、残りの人生の最初の1日!)

チャールズ・ディードリッヒ(薬物中毒患者の救済機関創設者)

過去は変えられない。未来もわからない。
自分の力でなんとかできる、今この瞬間を、頑張っていきましょう。

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