ポエ文(ぶみ)その4

微睡みの国の領土に半身突っ込んで、今日も呼吸の仕方を確かめる。境界線上を行き交うトビウオを見送って、私という魚群の干からびた一匹一匹を、思考にならない思考に集わせた。どこに行けばよいのでしょう、とつぶやくと、無数の方向に散らばって私は少し小さくなった。そうして戻らない密度を寂寞が音もなく通り過ぎていく。悪意のない嘘がつけるようになったこと、悪気もなく嘘がつけるようになったこと、2つの領土を行ったり来たりして、さまよった選択肢は二股状で、どちらも概ね同じ方角に向いているの、だから、せめて、体を動かすことが大切ですよ。と言われて。

日常におけるパレットには、わずかばかりの動詞が用意されていて、混ぜたり薄めたりして知らない色を作る。xとyの連続的な組み合わせが私を行き惑うこともできるようにしてくれる。しょっちゅう降る雨を避けて、傘の壊れた日はくぐもった音の響く地下道を渡って遠くの街まで買い出しに出る。パレットがぐしゃぐしゃにならないように、天井から漏る水に気をつけて歩く。目先のぬかるみだけ気をつけて歩く。夕飯のことを考えながら歩く。歩く。



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