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「献身のハーモニー:音楽を通してアンバー・リウの人生の交響曲を探る」 240522 Bazaar Vietnam 日本語訳


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※引用形式になっている部分は記者の文章・考察です。

アンバー・リウがベトナムのファンを訪問する前に、ハーパーズ・バザー・ベトナム2024年5月号のデジタル表紙でポーズをとった。


魂のハーモニーは、音楽への献身と永遠のダンスを奏でる。

2024年5月22日 カロリーナ・オリアーロ 記

アンバー・リウは、音楽と自己表現の融合の象徴であり、この2つが垣根なく絡み合い、芸術的な輝きを放つ唯一無二の存在を生み出している。アンバーは、彼女の音楽に反映されるカルチュアル・モザイク(=社会の中で混在する民族・文化・言語のこと)を体現している。
彼女の芸術性は、個人的な物語(個人的な経験)と集団経験のための導管となる。
彼女のメロディーと歌詞は、アイデンティティ、回復力、帰属意識の物語を紡ぎ出し、世界中の聴衆の共感を呼んでいる。
彼女の音楽は単なるエンターテインメントを超え、内省、エンパワーメント、そしてつながりの器となる。リウは、アーティストと芸術が切り離すことのできない創造性と表現の唯一無二の具現化であり、音楽の変容力の証である。
リウと彼女の多面的な才能は、世界の音楽シーンに忘れがたい足跡を残した。リウの音楽業界での歩みは、彼女の文化的背景と同様に多様だ。
有名なK-POPガールズグループf(x)のメンバーとしてスタートした彼女は、シンガー、ラッパー、ソングライターとしてのスキルを披露し、多才な才能としてその名を知らしめた。
2009年9月にデビューしたf(x)は瞬く間に国内外で人気を博し、リウのユニークなスタイルとカリスマ性がグループの成功に貢献した。
しかし、彼女の芸術的進化はそれだけにとどまらなかった。彼女はソロ活動を開始し、業界で独自の道を切り開いた。今日もリウは一人で踊り、個性を受け入れ、自分の言葉で歌い、世界中の聴衆を魅了し続け、音楽に国境はないことを証明している。

活気あふれるロサンゼルスの街で、中国人の両親のもとに生まれたアンバー・リウは、すぐに西洋と東洋のダイナミックな融合に入り込んだ。この2つの世界の狭間で育ったリウは、二重の伝統の複雑さを乗り越え、その多様性の中に美と共鳴を見出した。しかし、10代で韓国に移り住んだとき、彼女の旅は思いがけない方向へと進んだ。この転機は彼女の人生における新たな章となり、文化の豊かさと多様性の新たな層を彼女に紹介した。賑やかな韓国の街角で、アンバーは韓国文化の光景、音、伝統にどっぷりと浸かり、彼女の視野をさらに豊かにし、アイデンティティを深遠な方法で形成していることに気づいた。


親愛なるアンバー・リウさん
中国にルーツを持ちロサンゼルスで生まれたあなたは2つの異なる文化の間で育ちましたが、10代の頃は韓国でも育ちました。この3つの偉大な国の間で生活したことは、人として、そしてアーティストとして、あなたにどのような影響を与えたのでしょうか?

アンバー:
すべてを振り返ってみると、経験できたこと全てにただ本当に感謝しています。異文化や考え方の違いについて多くのことを学んだ気がします。韓国では10代から20代後半まで、新しい言葉を学びながら毎日仕事をしていたので、基本的なことすら伝えられず、つらいこともたくさんありました。でもその過程で出会った人々、そして築いてきたコミュニティには本当に感謝しています。その人たちの多くを今では「家族」と呼んでいます。そしてここ数年、中国での生活と仕事の中で、私は母との絆を深めてきました。私は幼い頃、中国語を話せなかったのですが、今は母とは何時間でも話せるし、母がどんな人なのかやっとわかった気がします。世界は本当に広く、探求し続けたいですね。


すべてのことは内なるマグマが外に出てくるように、情熱から始まります。あなたと音楽は一体ですが、音楽への愛はどのように始まったのですか?その情熱の原点は何ですか?

アンバー:

私は変わった子供のように感じて育ちました。学校になじめず、いじめられっ子でした。音楽を聴いていると、不安が消えていくのを感じたんです。リンキン・パークの "Somewhere I Belong "は、幼少期の混乱や孤独を救ってくれた曲です。周りの人たちが私のことを理解してくれなくても、音楽があれば孤独を感じませんでした。

実際、情熱は創造性に火をつけ、表現する原動力となる内なる炎である。それは、アート、音楽、あるいはあらゆる表現形態として世に噴出するまで、創造的なプロセスに燃料を供給しながら、内面で煮えたぎる。アンバー・リウのようなアーティストが、自分の感情、経験、信念を作品に注ぎ込み、深みと信憑性を吹き込むための、容赦ない力なのだ。この情熱の内部燃焼が、自己発見の旅に燃料を与え、境界線を押し広げ、自分の真実を世界と共有するために障壁を突破する。要するに、すべては情熱から始まるのであり、内なる燃えるような核が、私たちの最も内なる自己を解き放ち、美しく意味のあるものを創造するよう促しているのだ。



音楽があなたの人生と仕事に不可欠なものになると理解するきっかけとなった瞬間は何でしたか?

アンバー:
音楽を仕事にするという選択肢はないと思っていたけれど、韓国行きのスカウトを受けたとき、やってみなければと思いました。音楽が自分にこれだけの力を与えてくれて、自分も誰かにその力を与える機会があるのなら、やってみようと思ったんです。こうして年月が経つにつれて思うのは、若い頃の自分自身に歌うことをいつも心がけることです。




あなたは才能あるソングライターでもありますが、あなたにとって書くことは癒しのセラピーや治療のようなものですか?感情や出来事を言葉にすることで、それらをうまく処理したり、十分に感じたり、解放したりすることができるのでしょうか?

アンバー:
私は仕事に関してはいつもノンストップなので、自分の身に起こったことを処理できないことが多いです。作曲は私にとって一種のセラピーでもあります。そして、何度も稿を重ねるまでは、たいてい "理解 "できない。時折、デモの古いバージョンやリリースしていない曲を聴いて、当時を振り返り、自分自身を深く掘り下げることもあります。

書くことで、思考や感情を外在化し、具体化し、より明確な視点を持つことができる。経験を言葉にすることで、感情をより深く掘り下げ、その起源や影響についての洞察を得ることができる。このプロセスはカタルシスをもたらし、自分の感情を認め、向き合うことで解放感や安堵感を得ることができる。自分の体験を自分の言葉で枠にはめることで、その体験に対する主体性を得ることができる。



曲作りにまつわる特別な思い出で、共有したいことはありますか?また、一般的に新曲を作るとき、何からインスピレーションを得ますか?

アンバー:
「hatemyself」を書いたとき、私はツアー中で、ツアーバスの後部座席でスマホにひたすら絶えず
「嫌いだ。自分が嫌い。何もかもが嫌いだ。」と打ち込んでいました。
自分が沈んでいくような気がして、いつしか出てくることすら嫌になっていました。その言葉のメロディを適当にプロデューサーのビッグ・バナナに送ったら、2、3日のうちに彼から美しいピアノ・アレンジが送られてきた。

数ヵ月後、私は一人で山にハイキングに行き、山々を眺めながら、今ではこの曲のサビになっている部分を歌ったのを覚えています。「But I'll hold on to every piece of me 」と。私は脳がカチッと音を立てたのを感じすぐにスタジオに行き、この曲を書き上げました。

この時、長い間感じたことのなかったエネルギーと活気が押し寄せてきました。落ち込んでいた時期もあったけど、音楽がすべてを良くしてくれた。プロデューサーに "ロボット・バラード、ロボット・バラード、ロボット・バラード "と言ったのを覚えています。そんな暗い気持ちから生まれた曲だったけど、書いていて本当に楽しかった。私の曲の90%は、ただ独り言を繰り返し、それをつなぎ合わせることから始まっています。




音楽的な混入(コンタミネーション)は集合体の要素であり、時代や場所をほとんど超越します。あなたが "コンタミネーション "を体験してみたい音楽ジャンルはありますか?

アンバー:
この15年間、いろんなジャンルをやってきたけど、自分のルーツに戻りたいし、自分がどれだけロック好きなのかを知りたいです。
私はポップミュージックから作曲を始めましたが、今後どうなっていくことか笑笑

音楽は、自分の感情や創造性を境界なく表現できる自由な空間のようなものだと感じますか?

アンバー:

もちろん、アートは私たちが楽しんだり、問いかけたりするためにあるものだと感じています。私は友人と番組や映画について議論したり、歌詞を解剖したり、聞いたり見たりした2つのもののマッシュアップを考えたりするのが大好きです。

音楽は、感情や創造性を表現するための無限のキャンバスを提供してくれる。それは言語の壁や社会的規範を超え、個人が深い感情レベルでコミュニケーションをとり、つながることを可能にする。歌詞であれ、メロディーであれ、リズムであれ、音楽はアーティストが心の奥底に秘めた感情や経験を、具体的で親しみやすいものに変換する手段を提供する。
他の表現形態とは異なり、音楽には境界のない独特の自由がある。アンバー・リウは、判断や制限を恐れることなく、喜びや愛から悲しみや絶望まで、膨大な数の感情を探求する。さらに、音楽の中にある創造的な可能性は無限であり、メッセージを伝えるためにさまざまなジャンル、スタイル、テクニックを試すことができる。
このように、音楽はリウにとってもリスナーにとっても聖域の役割を果たし、人間の感情や想像力の深みに浸ることができる空間を提供してくれる。心に響くバラードの親密さであれ、アップビートなアンセムの爽快さであれ、音楽は、私たちみんながつながり、自分自身を表現し、共有する経験の美しさに慰めを見出すことができる普遍的な言語を提供してくれる。



成功は一夜にして得られるものではありません。多くの献身的な努力、愛する人と過ごす自由な時間の不足、冷静になること、ハードワーク、肉体的・精神的ストレスがあると思います。アンバー・リウがキャリアの追求に集中し、バランスを保つのに役立っているものは何ですか?

アンバー:
いつでもどこでも眠れる才能が身についた気がします。スケジュールがタイトで圧倒されるようなときは、昼寝に本当に救われています。呼吸を整え、沈黙の時間を楽しむといったシンプルなことが、集中力を持続させるのに役立っています。

ステージに上がる前の不安はありますか?また、ファンからアイドルとしての「プレッシャーや責任感」を感じることはありますか?レンズの下で生きることは少し難しいことだと思いますが、「大勢の視線の下」で生きる唯一の方法は、ただ流れに身を任せ、その瞬間を信頼し、浮き沈みのあるプロセスに感謝することです(それは自身をよく知るための貴重なものです)。常に100%ポジティブでいることは不可能に近いですが、不安やプレッシャーに打ち勝つのに役立つものはありますか?

アンバー:
今、私が感じているプレッシャーは、人々が私に期待していることではなく、私自身が私に期待していることだと感じています。たくさんの公演を見てきたし、うまくいかない公演もしてきました。でも、自分がなぜ音楽が好きなのか、なぜこの道を選んだのかを思い出すよう、自分を律してきました。それはいつも、若かりし頃の自分に歌って聞かせることに戻ってきます。



現在、ワールドツアー「NO MORE SAD SONGS」を開催中ですが、あなたにとって観客とのライブの関係はどれほど重要ですか?ツアー中は様々な感情が渦巻いていると思いますが、ライブ中に最も沸き起こる感情はどのようなものですか?

アンバー:
コメントやファンのコミュニティで見かけた名前と顔を一致させることができるのは、本当に幸せなことです。私のパフォーマンスを見るために10年以上待っていたというファンの方にもたくさんお会いすることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。今回のツアーは、私にとって初めてのワールド・ツアーだったので、初めての場所での公演が多かったんです。

ツアー中のアンバー・リウの1日は?

アンバー:
クルーと私は通常、朝4時に電話を受け、空港に行き、通常は正午ごろまでに次の都市に飛じます。そのあと1時間から2時間くらいで身だしなみを整え、少し仮眠をとり、サウンドチェックをして、食事をして、ファンとのグリーティングをします。短い休憩時間だから、メールを見たり、その日のパフォーマンスをメモしたりすることもあります。それからショータイム!ショーが終わると、クルーとミーティングをして、ショー中に起こったことを振り返り、改善点や違うやり方を見つけます。それから寝る時間になって、また同じことを繰り返すんです!ハハハ



あなたのEP3部作『X』(2020)、『y? 』(2022)は大成功を収め、昨年は『No More Sad Songs』をリリースしましたね。この曲は、ユニークな自分を見せたいというあなたの願望をさらに発信するものであり、聴衆に同じことをするよう誘うものです。自分自身に正直になること...時に人は、たとえプロであっても、より多くの観客や名声を手っ取り早く得るために、魅力的かもしれない都合のいい仮面の後ろに隠れがちですが、長い目で見れば、それは取り返しのつかないダメージとなり、観客は騙された、裏切られたと感じます。外見に支配されがちなこの世界で、自分らしくあり続けることは、あなたにとってどれほど簡単な(あるいは難しい)ことでしたか?

アンバー:

正直に言って、簡単だとは言えません笑笑
この業界には、確かに人の心を変えるような誘惑がたくさんあります。私にとって、もう一人の "他の人 "でいることは疲れるし、常に批判がある。私は、自分でないことで愛されるより、自分であることで嫌われる方がいいと思う。繰り返しになるけど、私は子供の頃から自分の見た目のせいでいじめられてきたし、馴染めなかったから仲間外れにされてきました。私はそれに対処することを学んだ。私はただ、"変な子供たち "が、自分たちは一人ではないと感じる手助けをしたいだけなのです。

これらの感情は、本物であること、そして自分自身に忠実であることの重要性を物語っている。本物のつながりや人間関係は、他人の期待や理想に合わせようとするのではなく、正直さや誠実さの上に築かれるという認識だ。欠点も何もかも含めて本当の自分を受け入れることで、本当の自分を認め、受け入れてくれる人を引き寄せることができる。たとえ批判や拒絶に直面することになったとしても、自分に正直になることを選択すれば、より充実した本物の人生を送ることができる。他人からの承認や評価を得るために、見せかけの自分を見せたくなるかもしれないが、正真正銘の自分でいることから得られる幸福感や充実感は、自分でない誰かに愛されるという一時的な満足感をはるかに上回る。最終的には、本当の自分を受け入れることで、自分の価値観、情熱、信念に沿った人生を送ることができ、より深いつながりと、正直に生きることから得られる充実感を育むことができる。

現在ワールドツアー中とのことですが、2024年に向けて何か準備していることはありますか?今後、何かヒントになるようなプロジェクトがあれば教えてください。

アンバー:
このワールドツアーが終わると、次のアルバムを作る時が来ました!ツアー中に少しプレビューすることができたし、デモもいくつか演奏した。厳密にはまだ正式に着手していないけど、すでに何曲か制作中です。

社会的な期待や規範に沿うよう個人に圧力をかけることが多いこの世界で、本物であることを受け入れることは反抗の行為であり、自己価値と誠実さの宣言となる。アンバー・リウが自分の音楽のビートに合わせて踊るように、私たちも自分らしく堂々と生きることを選ぶことができる。それが音楽の力であれ、書き言葉であれ、あるいは単に日常生活での選択であれ、名言の言葉を思い出そう: "私は、自分が誰でないかで愛されるより、自分が誰であるかで嫌われる方がましだ"。本当の自分を受け入れることの中に、真のつながり、個人的な充足感、そして正直に生きる自由への道があるからだ。だから、私たちは臆することなく、世界に大胆に足を踏み入れ、私たちがなるべくしてなったユニークで卓越した個人として輝こう。

アンバー・リウの旅は、本物であること、そしてたくましさを持って夢を追い求める勇気を持つすべての人々へのインスピレーションの道標となっている。ロサンゼルスでのささやかな始まりから、世界の音楽業界での急成長まで、リウの揺るぎないコミットメントと才能は、世界中のファンから賞賛と尊敬を集めてきた。既成概念にとらわれず、自らの文化的遺産を受け入れながら、独自の道を切り開き続けるリウは、どんな困難に直面しても、自己表現の変容力を私たちに思い出させてくれる。しばしば順応を求める世界にあって、リウは勇気と真正性、そして私たち一人ひとりの中にある無限の可能性の輝く模範として立っている。だからこそ、私たちは彼女の模範を見習い、あえて人と違うことをし、未知の世界へ旅立つ本当の自分を受け入れよう。そこにこそ、私たちの最大の可能性を解き放ち、目的と充実感のある人生を送る鍵があるのだから。
リウの音楽におけるユニークな才能は、国境を越え、カテゴライズされることを拒む。

魅惑的なボーカルから衝撃的なステージ・プレゼンスまで、彼女は信憑性と革新性の融合で聴衆を魅了する。シンガーとして、ラッパーとして、ソングライターとして、リウの多才ぶりはとどまるところを知らず、ジャンルやスタイルを軽々と超えていく。しかし、彼女を際立たせているのは音楽的な才能だけでなく、アーティストとして真に際立たせているのは自分のアイデンティティを受け入れることだ。型にはまったパフォーマーが飽和状態にあるこの世界で、リウは個性と芸術的誠実さの輝かしい見本となっている。彼女の音楽は楽しませるだけでなく、リスナーに自分自身のユニークさを受け入れ、多様性の美しさを祝福するよう促す。リウが音楽業界に足跡を残し続ける中、彼女の遺産は、真の偉大さとは、自分たちと異なるものを受け入れ、それを用いて真に非凡なものを創造することにあるということを思い出させてくれる。



Muse: Amber Liu @amberliu.
Photographer: Reinhardt Kenneth @reinhardtkenneth
of ARTCODED @art.coded.
Production: CM Agency @agency__cm with Ari Kilian of Miller PR @millerpr.
Article: Carolina Ogliaro @carolinaogliaro.
Creative Director: Ari Friedman @arimandias.
Hair & Makeup: Salvador Mejía @zalvadorbeauty.
Stylist: AJ Verma @ajbeverlyhills &
Natasha Sanghera @nataasshhhaaa
of Lotus Beverly Hills @lotusbeverlyhills.
Lighting Director: Calvin Hite @calvinhite.
Retouch: Valeria Mediana @medianaretouch.
Digitech : Suimay Lee @suimaylee.

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