「整える」って、やりたいことをやるためだと思う。~スロージョギングをからめて~
#20240627-424
2024年6月27日(木)
雨天でない午前。
用事がない限り、私は家の周りを走っている。
ペースはゆっくり、息があがらない程度。ひとりで走っているのでわからないが、人と喋っていても息切れしない速さがいいと聞いている。「スロージョギング」と呼ばれるもので、早歩きとそう変わらないスピードなのだが、「走る」と「歩く」とではスローペースでも使う筋肉もカロリーの消費量も違うらしい。
スロージョギングと口にするのも憚られ、私はゆるゆるゆるりの「ゆるジョグ」といっている。
はじめたのは運動不足を自覚した独身時代。かれこれ20年以上前になる。
その後、結婚で実家を出てこの地に越したり、里子と暮らすようになったり、環境が変わったので中断した時期もあるが、なんとなく続いている。
持続できているのは――
走ったほうがむしろ体調がよい。
家の玄関からスタートできる手軽さ。
ジョギングシューズさえあればよい。動きやすい服はなにかしらある。
家がゴールなので、即シャワーが浴びられる。
走るのは20分程度。準備とシャワーを合わせても消費時間は40分。
とにかく手軽なのが大きい。
私は元来運動神経が鈍いのだが、ロードバイクにも乗っている。運動量としてはこちらのほうが大きいと思うが、1人で走りに出るとなると私にはハードルが高い。
バイクは2階に保管している。軽いとはいえ大きさがある。むーくん(夫)のように階段を壁に触れず玄関まで下りる自信がない。
へなちょこライダーなので、外でチェーンが外れたり、パンクしたりした場合、手際よく直す自信がない(ここ何十年も自分でやっていないので、やり方も忘れてしまった)。すぐ近くにサイクリングロードがあればよいが、そこまで公道を1人で走るのが怖い。スピードが出るため、転倒した際の負傷も大きい。
とにかく単独でするには心配事が多い。
その点、ゆるジョグは1人で走っているときに何か――怪我などしてしまっても自力で帰宅可能な範囲なのがいい。住宅街なのでサイクリングロードがある河川敷よりは人通りもあり、倒れても発見されやすい。
とにかく1人時間にする運動だ。私には「安心安全」が最優先となる。
同じコースばかり走っていると、飽きそうだが、これが意外と飽きない。
同じ日が一日とてないと同様に、コースが同じでもすべてが同じであることはない。
道端に咲く花、植物の成長は日々変わる。空模様も違う。肌に感じる暑さ、寒さ、風のあたり具合。刻々と変化する。
あまりにも「同じである」ことがなく、それはもう見事なほどだ。
私の体調も変わる。
足取りが軽い日もあれば、やけに重い日もある。ペースはほぼ変わらないのに、すぐ息が上がる日もある。体の些細な違いは、むしろ同じコースを走っているからこそ気付く。
遠くへ目をやる。
近くを見つめる。
空を見上げる。
足元に目を向ける。
息を吸って、そして吐く。
私は汗をかくのが得意ではない。
すぐ体の内に熱がこもって、のぼせてしまう。鼻血が出てしまう。
ここまで日本が暑くなかった子どもの時分からそうで、学校の休み時間に手足を水で冷やしたりしたものだ。職員室の冷凍庫に保冷剤を入れてもらい、それを握りしめながら授業を受けていたこともある。
年々暑さが厳しくなる昨今。夏日が出現する5月を過ぎて梅雨がはじまるこの季節、私にとってもっとも重要となる。
負荷の軽い運動をして汗をかく練習をしないと、暑さにやられてしまう。
暑熱順化をせねば、酷暑を乗り切れないのだ。
おそらく丈夫な身体に生まれた人にはわからないと思う。不便なことが多かったし、これからもあると思う。だが、だからこそ体のささやかな変化に目を、気を配ることが身についた。
これはおそらく体だけではない。草木の成長や空の変化にも気が付くようになった。まわりを感じ、味わえるようになった。
楽しく元気に夏を乗り切るために。
やりたいことがやれるよう、私は私を整える。
「整える」って、そのためのものだと思うのだ。
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