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天地明察 ~異色の時代小説~

写真は、和歌山・アドベンチャーワールドの双子の子パンダ。この子
たちは中国に帰ってしまったが、現在でも、6頭のジャイアントパンダ
が暮らしている日本随一のパンダ王国である。
https://www.aws-s.com/

本日のお題は、パンダのような白黒の碁石で競技する囲碁がサブテーマ
となっている、天地明察。囲碁の名家、安井家に生まれた安井算哲改め
渋川春海が主人公の、「暦」を巡る物語である。

まずはその題材。
時代小説であるが、囲碁、和算、天文学といった異色の分野がテーマ。
形式化した囲碁に飽き足らない主人公が算術の天才、関孝和に触発され、
最終的には改暦、という大事業に挑む。剣戟などのアクションが皆無の
時代小説は異色中の異色と言えるのでは。地味なはずのテーマで読者
をグイグイ惹きつけ、本屋大賞まで受賞した著者・冲方丁(うぶかたとう)
の力量は端倪すべかざるものがある。

次に一種のビルドゥングス・ロマンであること。
ビルドゥングスロマンとは、主人公がさまざまな体験を通して内面的に
成長していく過程を描く小説。多くの共感を得る王道である。主人公の
憎めない性格を多くの先達、同僚、伴侶に支えられ成長していく過程
が感動的。

さらに現代にも通じる「お仕事小説」となっていること。
世の趨勢を見極め、多くの才能を結集し、戦略を練り上げ、機会を
逃さない、といった主人公の取り組み方は、現代のお仕事にも通じる
ものがある。

本作品はそれまでSF作品が主体であった著者が初めて手掛けた時代小説。
この後、大作、「光圀伝」も手掛けている。いきなり幾何学の問題を
冒頭にもってくるなど、非常に新鮮に感じた。ちなみにこの問題を
二次方程式の解法を思い出しながら非常に泥臭く解いてみたのだが、
やはりWeb上では、スマートな解がいくつか披露されており、自分の
数学的センスの無さにガックリきたものである。
https://ameblo.jp/sansu-suisui/entry-11717249519.html
https://sites.google.com/site/seijiimura/home/09-san-gaku-no-mondai-ni-chousen/0-tian-de-ming-cha

お茶うがいの輪を広げてコロナを収束させたい!
https://note.com/from_free/n/n406bc5302094
https://note.com/from_free/n/n98097eb72720


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