見出し画像

サボるなって言うあなたは?



この前久しぶりに大人用の大きいゴールを手で持って運びました。最近は軽いものができていたり下にローラーがついていたりして運ぶ作業が楽になってきていると思っていたのですが、今回の大きいゴールはその期待をトッテナムに鳴り物入りで入って来たパウリーリョくらい裏切ってきました。




めちゃめちゃ重かったです。


行きは四人で運んだのですがあまりにも重いので、片付ける時はもっと人が必要だと感じ練習が終わり次第屈強な男たちを何人かスカウトして倍の約8人くらいで運びました。




この時です。違和感を感じたのは。



違和感というのは行きで運んだときに感じた重さと片付けの時の重さが全く変わった気がしないのです。(両方なぜか一番重い角をやらされたのもあるけども)



仮にも時々スカウトもしている自分が(このためではないけども)選んだ選りすぐりの屈強な男どもを従えていざ満を辞して大きいゴールを片付けようとしたのに、持ち上げ始めの第一声で「ふざけんな、全然重いじゃねーかよ」と盛大に声を荒げてしまいました。



(絶対これより重い)




心理学で社会的手抜きと言うものがあります。グループの人数が多くなればなるほど個人のパフォーマンスが減少していく現象のことを言っています。他にもリンゲルマン現象とも言われたりしています。


リンゲルマン先生はこの現象を綱引きで実証したことで有名です。さっきのゴールを運ぶのと一緒で人数が多ければ多いほど一人当たりの力が小さくなっていることを発見しました。


この実験が行われた後に、ラタネさんとその仲間たちの心理学者が「おいおい、それはグループとしてしっかりコーディネートされてなかったから起きただけだろう」と考え、大学にいる男たちを対象に視覚と聴覚を遮断した状態で「君の周りには他にn人いる」と嘘の情報を伝えて行った実験では、自分しかいない時と5人周りにいると言われた時を比べると74%の力でしか一人に比べて叫んでいなかったという結果になりました。


他にも色々な実験が行われており、この社会的手抜きは身体的および認知的知覚的な活動にも影響が出ることがわかりました。



(これで勝ったら大したもん)



では、これをチームを作る上でどう対処していくべきなのか。


コーチが全力全力、集中集中、サボるサボるな、と練習などで声を荒げても無意識下で起こることなので本人たちは全力でやっているつもりです。ないとは思いますが「じゃあ試合も11人じゃなくてもう少し少ない方が他の選手が力を発揮できるじゃん!お前とお前は試合始まったら何かしてレッドカードもらって退場しなよ?やらなきゃ意味ないよ?」ともならないでください。




まずは対処する上でなぜこの現象が起きてしまうのかを考えていきます。



自分の中では今の所見つけた論文ではこの五つ?くらいが原因ではないかなと思っています。(全部の論文を見たわけではないのでもちろん他にもあると思います。教えて欲しいです。)



1. 役割や責任の分散
グループの中で自分がどういう立場なのかがわからない。単純にやらなければいけないことがわからず努力をする場所がわからなくなる。グループの人数が多くなるにつれて自分という人間のアイデンティティがなくなっていくように感じてきて、自分という人間(個人)が評価されないと思ってしまうこと。


2. モチベーション
当たり前に関わってきます。あまり気乗りしないことは必然的に手を抜きます。


3. 努力の必要性
自分の努力が果たして本当にグループのために必要なのかどうか明確でない時。グアルディオラ監督が掃除係や全てのスタッフのおかげで戦えていると言っていたのが印象的です。その努力の価値を伝えていることができているか。努力を正当に評価できているか。


4. Sucker Effect / フリーライダー効果
簡単にいうとチームまたは個人としての努力の水準が低い。


5. ゴール設定
目指すべき目標が簡単すぎる、単純すぎると努力が不要になってくるので次第に手を抜き始める。


などになります。他にも文化性別国民性年齢なども影響してきます。



グループのマネジメントというのは思っている以上に難しいです。実際に2人のグループ、4人のグループ、8人のグループ、16人のグループと分かれてもらい一つの課題に取り組んでみてもらうと顕著にあわられます。人数の少ないグループの方が明らかに取り組むスピードが早くかつ明確な役割分担をしています。人数の多いグループはまず役割分担をするところから時間がかかり、そのあとそれをまとめる作業にも時間を要するのでもう大変な騒ぎです。


チームとして活動をしていれば必ずと行っていいほどこの上で挙げた5つのうちどれかは何処かのタイミングで問題として上がってきます。



原因がわかれば自然とどうすればいいかもわかってくると思います。もしかしたらそれは練習以外のことで解決することもありますし、もしかしたら練習または試合に何かしらの工夫を入れることによって解決すると思います。




実際に自分のチームで新加入選手が来た際にチームで行なっていることもありますし、選手のパーソナリティに委ねてみることもあります。前の記事でも言っているのですが大切なのは「目の前の選手を知ろうとすること」それはサッカー選手としてだけではありません。人として知ろうとすることに意味があります。


社会的手抜きができるだけ発生させないようにする具体的な方法ももちろんありますが、それを無責任にここで言ったとしても自分は画面の向こうの選手のことがわからないので本当にそれが効果的であるかがわかりません。のでやめておきます。大事なのは「なぜそれがおきているか」を知って「今、目の前にいる選手たちとどう解決するか」だと思っています。




ちなみにこの社会的手抜きは絶対悪ではないと何人かの心理学者は考えています。何事にも全力というのは一見めっちゃ漢って感じがしますが、実際問題全てで100%を維持するって大変なことです。手抜きというと言葉が悪いかもしれませんが、力を他のために蓄えておくという風に言い換えることもできるかもしれません。


付き合っている彼女に対して常に完璧な自分でいようとすると疲れます。毎回のデートでがっつりおしゃれをしてしっかりデートプランも組んで、夜はお店を予約して、、、etc。たまには何も計画せずにおでかけをしたり、家でダラダラすることも必要です。でないとお互い疲れてしまい、燃え尽きてしまいます。そうやってたまには手を抜いて、今度はどこに旅行に行こうかであったり、何をしようかをのんびりと二人で話し合うのもいいかもしれませんね。














自分は彼女作るところから頑張ります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?