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夏夜のマジックを聴きながら

偶然が重なり恋に落ちた気がした夏の日。

indigo la End の「夏夜のマジック」を聴きながら、ふと、ものすごく好きだった人のことを思い出してしまう。

5年前のクリスマスイブに、日本に住むヴァイオリニストの私に、ドイツからボイスメッセージを送ってきたピアニストの彼。

ある日、突然、私に会いにくると飛行機に乗ってやってきた。

強引に彼の国を見てほしいと言われて彼の国に飛んだあと、コロナ禍は突然やってきた。

3年会えない間に、苦しくなった彼から、日本で良い男を探せと言われたりもした。

彼以上の男性に出会えなかったから、私は、ひたすら会えることを信じて頑張ってみた。

日本で再会できたあと、何度か2人で演奏した。

彼に招かれて船の上でも演奏した。

彼は、彼のいる世界をたくさん見せてくれた。

そんな彼とは、海外と日本ということもあって、付き合うこともなく。

ただ、ずっと連絡を取り合ってきた。

彼からは、連絡を取り合おうと言われていた。

ただ、私はすでに気づいてしまっていた。
彼と釣り合わないことに。

そして、距離を取りはじめて半年。
彼からの連絡に答えないなか、新たなピアニストに出会ってしまった。

誰よりも強く真っ直ぐに私の瞳を見るピアニストに。

新たな恋は、ふとした瞬間に訪れるもの。

新たな恋に進もうとした瞬間、完全に終わらせきれていないドイツの彼が心に浮かんできた。

出会って5年。

たくさんの思い出があって。
たくさん大切にしてもらった思い出もあって。

激務すぎて、3ヶ月話せない日もあったし。
お互いに連絡を取り合うため、5年努力し続けていた。
でも、付き合うことはしていない。
彼のピアノを世界で1番愛していた。
彼も私のヴァイオリンが好きだと言っていた。

まだきちんと終わらせられていないのに新たな恋に進んでいいのか。

ドイツにいるピアニストの彼は、きっと私が新たな人に行くとは思っていない。

新しいピアニストの彼は、私に惹かれ始めている。

ドイツのピアニストの彼のことが思い出されてしまったとき。

「夏夜のマジック」を聴きながら、自分が新しいピアニストと先に進みたいのか、ドイツのピアニストの彼を先が見えなくても愛し続けたいのかを泣きながら考えてしまった。

ドイツのピアニストは俺様で、自信の塊で、自分が王様でいないと気がすまない人。
王様でいられるくらい実力がある人。
私にたくさん彼の見た新たな世界を見せてくれた人。

日本のピアニストは実力はあるのに控えめで、決して前に出ようとはしないシャイな人。
優しく忍耐強く、でも自分自身に絶対的な自信はある人。

人生の流れに身を任せるしかないかもしれない。

これからどうなるのかは、もう分からない。

もうすぐ日本の彼のピアニストと初めて一緒に弾く。

演奏してみたら、結論出るかな。

音楽が私に答えを出してくれる。
そんな気がした。


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