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エッセイ

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エレベーター・やさしい人(中島みゆきの歌によせて)・分身の術など あれこれ
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2021年11月の記事一覧

バス

バス

 家の近くの駅前には、広い乗り場があり、いろいろな方面へのバスが発着している。行きたいバス停の名前さえわかっていれば、止まっているバスまで行き、運転手さんに「○○、行きますか?」と聞けば、「ああ、それは○番乗り場ですよ」と教えてくれる。スマホで調べておけば、問題ないが。

 ほとんどがノンステップになり、乗り口が低く平らで、楽に乗れるようになった。バスの乗り口は2段のかなり高い段になっていたから、

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主人が倒れた!

主人が倒れた!

 以前、テレビ番組で、主人が倒れたら、雑種の犬はどういう反応を示すのか、という100例の紹介がありました。

 倒れるとき犬の目をみること、犬の名前を呼ぶこと、というルールのもとに100人の飼い主(全員男性だった)が、10分間倒れている間に
犬たちは、どんな反応を示すかが、映し出されました。

 近くで遊ぶ犬、おしっこやウンチをする犬、楽しそうに海に入って
泳ぐ犬、いろいろですが、どの犬も、主人

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キッチン

キッチン

 吉本ばなな、は大好きな作家だ。なにか感性が合う感じがする。作品を読むと心がほっと和むのだ。

 ほぼ全部の作品を読んでいるが、登場人物が、実に個性的で、「ふつう」ではない。そして、小説全体に死のイメージが、降りてきたばかりの霧のように、漂っている。死は生のほんの一部であるかのように。

「キッチン」は、ばななの処女作で

 私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う。

 の文で始まる。主人公桜井

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大河の一滴

大河の一滴

 五木寛之の、「大河の一滴」を読みました。

 人生というものは、おおむね苦しみの連続である、という書き出しで始まっているこの本の内容は・・・

 人はみな大河の一滴である。現世に生れ落ち、人生という川の流れに他の無数の一滴たちとともに身を任せて、いつかしら海(あの世)へと注いでいく。この一滴であるかけがえのない命を、どんな形で全うしていったらいいかを、たくさんの例や仏教の教えをあげて紹介している

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ブランド名は難しい

ブランド名は難しい

 

 三年ほど前のことです。

 ブラウスを買いに思い切ってデパートに行きました。でも、売り場に行くと、買うことに決めてあったブラウスが見つからない!売れちゃったのか!とあせったけれど、どうも売り場の感じがこの前と違う・・・落ち着いてコーナーの名前をみなおしたら、なんと「ジェフェリービーン」と「ジェラールダレル」をみまちがえていた!

 ブランドの名前っていろいろあってややこしい。
もしあなたが

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ロンドンでの出会い

ロンドンでの出会い

 ロンドンは4回ほど訪れた。父のお気に入りの街だったからだ。大英博物館、ロンドン塔、バッキンガム宮殿、タワーブリッジ、ハイドパーク、ウエストミンスター寺院、有名な箇所はすべて行ったが、妙に記憶に引っ掛かって忘れられない場所がある。

 ロンドンの銀座通りともいえるリージェント通りから、少し横道にはいったところに、Sという日本料理店がある。引き戸の入り口をはいると、右手に順番待ちの人が座るための籐椅

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そっくりですが

そっくりですが

 左が日陰好きのインパチェンス、右が日向好きの日日草です。そっくりと思いませんか?こうして並べれば、違う種類とわかりますが、別々に見れば、あれえ、この花はどっちだっけ?と思ってしまいます。

 インパチェンスは、日陰を好むので、庭の片隅の木陰などに植えると四方に手を伸ばし、こんもり、ふんわりと花の傘を作り、楽しませてくれます。
ちょっと寂しい日陰を彩ってくれる優しい花、花言葉は豊かさ、鮮やかな人で

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美容院襲撃?

美容院襲撃?

 思い切ってショートカットにしました。気分転換です。今は近所のごく普通の美容院に行っていますが、以前仕事をしていたころは、けっこうこだわって、デパート内に出店している高級風なところに行っていました。以下はその頃のお話です。

 指名していた店長さんがやめたそうなので、新しい店長さんを指名してみた。ジャニーズタイプ?の話し上手な前の店長さんと全然違って、坊主頭の泉谷しげるタイプの新店長は、ノソリ、と

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銀色ジャンパー

銀色ジャンパー

 新車を買った知り合いから、古い方をゆずりうけ、初めて車のオ-ナ-になった頃のことだ。免許をとって3年たっていたから、運転の勘もかなりあやしくなっていた。

 初めてのドライブは近くの駅まで、と決めた。自動車学校で教わったとおり、ハンドルの10時10分の位置をきっちり握り、正面の信号をにらんでいた。口はかわき、手足はシンと冷え、胸は重たく脈うった。目の前の横断歩道を楽し気に歩いて行く人たちが羨まし

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にんげんと申します

にんげんと申します

 マンションの廊下を歩いていると、いた!ゴキブリだ!背中にはこげ茶色のぬめぬめした羽をたたみ、しゅるしゅると排水口の方へ・・・「あ、あ」と思う間もなくこんなときのために平たいのよ、とばかり、その身体は隙間をするり、抜けて消えた。

 11階まで、どうやって上がって来たのか・・・蚊は人の身体について上がってくるというが、ゴキブリは・・・そうだ、引っ越しの家具についてきたのかも。昨日一件引っ越してきた

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