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小説

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あまり長いものはありません。あなたにも同じような経験があるかも? 世にも奇妙な物語風のものも。
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#シロクマ文芸部

手紙には

手紙には心揺さぶられる。今までいろいろな手紙を受け取ったが一番印象に残っているのは、Mか…

チズ
2週間前
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青写真#シロクマ文芸部

 青写真を描いていた。30歳までに結婚、子どもは2人、幸せな家庭を築くと。しかし実際は職場…

チズ
5か月前
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危険な恋 #シロクマ文芸部

 新しい恋に落ちた。相手は15歳年下の素敵な男。澄んだいたずらっぽい瞳、ちょっとデカダンで…

チズ
6か月前
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最後の日 #シロクマ文芸部

最後の日は今日かもしれない・・・シンデレラはベッドに横たわり、窓の外に遥かに広がる冬空を…

チズ
6か月前
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紅葉鳥 #シロクマ文芸部

紅葉鳥さん・・・ そう呼ばれたよなうな気がして見上げると、真っ赤に色づいた紅葉の葉が僕を…

チズ
8か月前
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箱たちの話#シロクマ文芸部

 りんご箱は自慢げに言った。  「僕がいるからりんごたちを遠くまで運ぶことができるんだ。…

チズ
9か月前
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小諸の旅 #シロクマ文芸部

秋桜の丈まで霧が降りてくると小諸は秋だ。 恋人まゆとのたった一度だけの旅、それはこんな秋の日のことだった。 まゆと僕は同級生、僕たちの高校は芸術が音楽、書道、美術、の三科目に分かれていて、僕は一番楽そうな音楽を選んだ。そのクラスでめぐり会ったのがまゆだった。彼女は成績が良く、運動ばかり得意で劣等生の僕からは、なにか気安く近づけない雰囲気を持っていた。そう、あの日までは。 二年三学期最後の歌唱テストは、「千曲川旅情の歌」を一人ずつ皆の前で歌う、というものだった。藤村の詩「小

水晶体 #シロクマ文芸部

月めくり、祖母はカレンダーのことをそう呼んでいた。月が変わると、祖母の手で今までのページ…

チズ
9か月前
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文化祭

文化祭の花形といえば、間違いなく私たちの演劇部、忘れられない思い出は、菊池寛の「父帰る」…

チズ
10か月前
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文芸部

文芸部卒業合宿は、私が女子大3年の夏、箱根塔ノ沢の宿で行った。この合宿で4年生は引退し、私…

チズ
11か月前
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戸崎了の講演#シロクマ文芸部

書く時間は心を澄ませる時間です。 今日はそのことについてお話したいと思います。 皆さん、…

チズ
1年前
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消えた鍵 #シロクマ文芸部

消えた鍵はもう見つからない。でも、どこかに存在することは確かだ。それが心の中だけであって…

チズ
1年前
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街クジラ #シロクマ文芸部

街クジラとはわたしのこと もうすぐお母さんになるよ おへその下のあたりから お腹がだんだん…

チズ
1年前
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海砂糖 #シロクマ文芸部

海砂糖の味は幻になった。 取材で海辺の町を訪れた僕は、さびれた和菓子屋を見つけ、色褪せたのれんをくぐった。老婆が一人菓子ケースの後ろに座り、ぼんやり店番をしていた。 「この辺りに昼ごはん食べられるお店ってないでしょうか?」 「ないねぇ~」 老婆は嗄れ声で答えた。ケースの中に売れ残りなのか、薄桃色の饅頭が二つだけ並んでいた。しかたがない、これを昼食代わりにしよう。 「そうですか・・・それでは、このお饅頭二つください。ここで食べたいんですが」 「ああ、いいよ、そこの椅子使ってい