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【読書メモ】THEやんごとなき雑談/中村倫也

結構前に買った中村倫也さんの初エッセイ。

さくさくと読み進めていた。
けれど、本が自宅内で迷子になっていたせいで、読み終わるまでに時間がかかってしまった。

備忘録がてらメモしておこうと思う。

とても読みやすいので、気になる方はぜひ‼︎


一番ミステリアスな動物は人間だ。本能と社会性と飽くなき欲の狭間で揺れ惑い、次の瞬間どんな感情になるのか自分でも予測できない生物。
『メタモルフォーシス・ストレンジマン』


コンプレックスというのは鎖に似ている。気付くと首からジャラッと垂れ下がっていて、過去という名の杭に繋がれている。だから、普通に日常生活を送って時間が経っても、忘れていた頃に鎖を引っ張られて、何度も同じ悩みに直面する。
『種と鎖』


よく言えばストレス耐性が高く、悪く言えば鈍感な、三十二年間付き合ってきた自身の性格を彼はよく知っていた。だからこそ、こうして身体が発するサインに敏感に反応して向き合い、その悩みの元を丁寧に取り除かないと、後々取り返しがつかなくなるという情けない確信があった。
(中略)
大人になると好きなだけじゃ、ダメになる。好きだったものを仕事にし、それを続けるには、時に色んな口実で自分を奮い立たせる必要がある、作り笑顔だって増えていく。
『呼吸』


僕は「マイペースな人」だと思われることが多いのだが、これは生まれつきそうだったわけではなく、外的圧力から自分を守るために後天的に身に纏った一種の”結界”のようなものだと考えている。
『結界』


丁度よく筆の進む面白いエピソードにはほとんど出合えないから、毎回自問して心の中の深いところまで潜っていき、光の届かない場所に生息するグロテスクな”自分”という生き物の細部まで観察しなくてはならない。作家というのは孤独な職業だなと、この二年間で骨身に染みた。
『やんごとなき者たちへ』



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