ライフプラン&キャリアプラン:これから加速しそうな変化のトレンド
ここのところ、ライフプラン・キャリアプランに影響を与えそうなニュースが続き、改めて変化の波が訪れていることを実感します。
中でも、印象深いものは次の3つ。
①少子化の進展が予想以上
②転職希望者数が着実に増加
③転職しやすい制度への見直し
順に見ていきます。
1.少子化の進展が予想以上
まず、日本の人口の推移予想。
以前から、人口が減少していくことが予測されていましたが、ここに来て予想以上の少子化が進んでいることがわかりました。
2023年6月2日公表の厚生労働省2022年「人口動態統計月報年計(概数)」によると、出生数は7年連続の減少。過去最少だった21年を4万875人下回る77万747人となり、初めて80万人台を割り込んだことが話題となりました。
少子化は、人口そのものの減少や社会保障制度のバランスを悪化させるほか、働く人の賃金にも影響を及ぼす、と言われます。
具体的には賃金カーブのフラット化。
興味深いグラフがあります。
これは労働政策研究・研修機構による「性別 年齢階級による賃⾦カーブ(⼀般労働者、所定内給与額)」。
年齢別に見た賃金の水準をグラフにしたもの(賃金カーブ)で、男女別のカーブをそれぞれ、1976年、1995年、2021年で比較しています。
これによると、男性の場合は50代ピークの山型で、次第にその山は低くなってきている。
一方女性の場合は男性に比べ、もともと平坦(フラット)。
そして、賃金の全体の水準は上がってきている。
少子化が進むと、若手の人手不足で、若年層の賃金が上がりやすく、特に男性で、より平坦(フラット)になっていきそうです。いわゆる年功による賃金の上昇部分はさらに緩やかになっていくものと思われます。
2.転職希望者数が着実に増加
総務省の2022年『労働力調査』(詳細統計)によると、転職希望者数は968万人。各世代で上昇傾向にあることが分かりました。
中でも45歳から65歳の転職希望者が、5年前に比べて3割近い増加。
これは、働く期間が伸び、定年後を見据えてキャリアを見直し、転職を希望する人が増えている影響もあると考えられています。
3.転職しやすい制度への見直し
6/16に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023年」(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023年改訂版」によると、自己都合離職の場合の失業給付の受取りや、退職所得控除の見直しなどが検討項目に上がっています。
例えば、自己都合で離職した場合の失業給付は、これまでは、求職申込後、2〜3ヶ月経過しなければ給付を受けられませんでしたが、リ・スキリングに取り組んだ場合などには、会社都合離職と同じ扱いで給付を受けられるように制度を見直していく方針としています。
また、退職金にかかる所得税に関して、退職所得控除制度(勤続20年を境に、勤続1年当たりの控除額が40万円から70万円に増額される)の見直しも検討されています。
これらは、転職を考えている人からみると、足かせとなっていると考えられてたものを是正していく動きで、新しい環境へ移りやすくなっていくものと考えます。
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ライフプランやキャリアプランを見直す際はこれらのトレンドも踏まえて、幅広く検討していく必要がありそうです。
<参考情報>
日本FP協会 ライフプランについて考える