リタイアの時期を決めるに当たって、考えておきたいことはたくさんあります。職場の環境や家族の状況、自分のやりたい事や思いなど。 どこから考え方を整理していけば良いか、迷います。 そのようなときには、まず ①リタイア後にはどのような生活をしていきたいか、 そして ②その場合の生活資金は足りるかどうか、 という順に考え方を整理していくと良いと思います。 ①を始めにイメージするのは、リタイア後の生活の満足度を上げるためです。会社勤めをしていた生活から、自分で生活をマネジメントする
新NISAやiDeCoなど、資産形成に関する話題が溢れています。 日本の株式や世界の株式が高値圏にあることも影響して、資産運用に関する本やネット情報も多くみかけます。 これらの情報の中心テーマは主に「お金を増やすこと」。 一方で「お金を使うこと」に関する考え方や情報は、どちらかというと少数派。 「本来お金は使うためにあります」といわれると「その通り」と思うのですが、その前に「まずは先立つもがなくては」という気持ちのほうが強く、使うことには抵抗がある、という人も多いのではな
FPとしてライフプランやファイナンシャル・プランの相談に関わっていると、お金と心の間にはとても深い関係があると感じます。 例えば、退職後のお金に関する不安。 リタイアしたあと、生活費は足りるだろうか。 医療費、介護費はどのくらい準備しておけば良いだろうか。 人生の途中で、金融資産が尽きてしまうことはないだろうか。 これらは将来が見えないことからくる不安=心の働き です。 また、資産の運用でも、 市場が下落を始めるとだんだん心配になってくる。 (どこまでも下がっていきそう
高配当の株式が人気です。 高い配当金が得られるので、年金プラスアルファとして組み入れたい、というニーズもあるようです。 高配当銘柄へ投資する場合に、注意すべき点はないか整理してみました。 1.「高配当」か否かを判断する基準 まず「高配当」とはどのくらいの配当をいうのでしょうか。 高配当かどうかは投資した金額に対する年間の配当金の割合(配当利回り)でみるのが一般的です。 ちなみに、2024年4月26日時点で公表されている東証プライム市場全銘柄の配当利回り(単純平均)は2
「タイミング投資」「つみたて投資」に続く3番目の投資スタイルは「ポートフォリオ運用」です。 ちなみに、「ポートフォリオ」というのは、「持ち運ぶための袋」や「書類や書物を収めるための袋」を意味することば。 「ポートフォリオ運用」というときは、複数の異なる金融資産を組み合わせて運用することをいいます。 国内株式や海外株式、国内債券、海外債券など、動きの異なる資産を一定の比率で保有していく運用スタイルです。 この投資方法の1番のメリットは、収益の振れ幅が安定すること。 マー
前回の記事「金融資産の運用 ライフプランの視点から見た3つのスタイル(1)」で、代表的な運用スタイルとして「タイミング投資」を考えてみました。 今回はその続き。2つ目のスタイル「つみたて投資」です。 つみたて投資と言えば、新NISAでもよく言われる「長期・分散・積立」の投資スタイル。 これは、ライフプランと、とても相性が良いです。 何故なら、積み立て額の推移を予想して、キャッシュフロー表などに落とし込むことができるからです。 例えば、毎月1万円を積み立てて、年率3%
令和6年度の年金額改定が公表されました。 厚生労働省 「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」 このお知らせによると、年金額は令和5年度に比べ、2.7%増 インフレが気になるところで、昨年に続きプラスの改定でした。 昨年と同じプラスの改定ではありましたが、改定の仕組み(パターン)は昨年と少し異なります。 昨年と比較しながら、要点を整理してみました。 1.本来の改定率(賃金と物価の組み合わせパターン) 年金額の改定パターンは、賃金と物価の変動率の組み合
2024年1月、新しいNISA制度がスタートしました。また、昨年の株式市場も大きく上昇したことや、国の「貯蓄から投資へ」の掛け声もあって、金融資産の運用への関心が高まっています。 株式をはじめとして、金融資産の運用のしかたや手法はたくさんありますが、ライフプランの視点を入れて考えてみることも大切だ、と感じます。 代表的な運用スタイルとして、「タイミング投資」「つみたて投資」「ポートフォリオ運用」の3つをとりあげて、ライフプランの視点から、運用の考え方を整理していきたいと思
ここのところ、ライフプラン・キャリアプランに影響を与えそうなニュースが続き、改めて変化の波が訪れていることを実感します。 中でも、印象深いものは次の3つ。 ①少子化の進展が予想以上 ②転職希望者数が着実に増加 ③転職しやすい制度への見直し 順に見ていきます。 1.少子化の進展が予想以上 まず、日本の人口の推移予想。 以前から、人口が減少していくことが予測されていましたが、ここに来て予想以上の少子化が進んでいることがわかりました。 2023年6月2日公表の厚生労働省2
『人生は迷いと決断の協奏曲』という本を読みました。 この本は、10人の「人生の先達」が自身の経験を通じて書いた「自分史」です。 それぞれの幼少時代の出来事、進学、就職、家庭、職場での経験などを通し、人生の岐路でどんな「決断」を下したか、様々な場面が描かれています。 人生の大きな決断は、そのときどきの状況で判断しているような気がしてましたが、この本を読んでいると、実は、そこに至るまでの様々な出来事や思いが伏線になり、ここぞというときに、それが背中を押しているのだ、という気が
以前、新しく買った本を電車の網棚に置き忘れ、後になって駅員に回収をお願いしましたが、結局見つからず、がっかりした経験があります。このような忘れっぽさは年齢によるものなのかと不安になることもありますが、最近読んだ『忘れる脳力』(朝日新書 岩立康男 著)という本では、脳があまり使われていない記憶を積極的に消去する仕組みがあることが紹介されていました。 脳は容量に限りがあるため、新しい情報を取り込むために必要のない記憶は自動的に消去されるという仕組みがあるそうです。実際、新しい情
つみお) 積み立て投資のあとは、資産の取り崩しと管理だね。 資産寿命を伸ばそう、という話はよく聞くよ。 たて子) 運用しながら取り崩すほうが資産が長持ちする、という話ね。 つみお) そうそう。運用益が加わる分、長持ちするというんだけど。 たて子) 例えば、こんなグラフを見たことない? 手元に1,000万円あるとして、運用せずに毎年100万円ずつ取り崩す場合と、運用して収益を得ながら100万円づつ取り崩す場合の比較。 つみお) あるある。運用しないと10年で残高ゼロにな
つみお) 株式で、毎月1万円づつ積み立て投資して、年率7%で運用できたとすると、10年間でどのくらいの額になるんだろうね。 たて子) 元本は1年間で12万円、10年間で120万円。 年率7%で運用できたとすると、10年間の合計で173万円ね。 つみお) なるほど。元本の約1.4倍になるんだ。 でもこれは真っ直ぐに7%ずつ上がっていく場合・・・だよね。 実際の株価は上がったり下がったりするよ。 10年後の株価が同じ水準で着地したとしても、積み立て投資の場合は、上がり下がりに
令和5年度の年金額改定が公表されました。 厚生労働省 「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」 このお知らせによると、 年金額は令和4年度に比べ 67歳以下の人: 2.2% 増 68歳以上の人: 1.9% 増 インフレが気になるところでのプラスの改定。 (よかった!) ただ、実際の賃金や物価の伸びには追いついていないという声も聞かれます。 そこで、今回の改定のしくみと要点を整理してみました。 1.年金額改定のパターン 年金額の改定パター
公的年金の繰下げを考える場合に気になるのが、年金の受取総額。 65歳以降75歳までの間であれば、年金の受け取り時期を繰下げることができます。1ヶ月繰り下げる毎に0.7%の年金増。ただし繰り下げている間の支給はありません。 受け取りを開始した後、どの時点から当初の受取総額を超えてくるのか、気になります。 そこで、基礎年金・厚生年金合計で月額15万円(額面・単身世帯)の場合をモデルケースとして試算してみました。 1.70歳まで繰り下げた場合の損益分岐年齢 以下のグラフをご
今月(2022年10月1日)から、75歳以上の医療費の自己負担割合に、新たに「2割負担」が加わりました。 75歳以上の人は、これまで現役並みの所得のある人を除き「1割負担」でしたが、 所得が一定の額を超えると「2割負担」になるというものです。 団塊の世代が75歳以上となり始め、医療費の増大が見込まれる中、現役世代の負担(支援金)を少しでも抑えていきたい、というところが制度改正の背景です。 そこで、 ■医療費自己負担割合が2割となる判定基準 ■年金繰下げと2割負担の試