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高配当銘柄の落とし穴

高配当の株式が人気です。
高い配当金が得られるので、年金プラスアルファとして組み入れたい、というニーズもあるようです。
高配当銘柄へ投資する場合に、注意すべき点はないか整理してみました。


1.「高配当」か否かを判断する基準

まず「高配当」とはどのくらいの配当をいうのでしょうか。

高配当かどうかは投資した金額に対する年間の配当金の割合(配当利回り)でみるのが一般的です。

ちなみに、2024年4月26日時点で公表されている東証プライム市場全銘柄の配当利回り(単純平均)は2.18%。東証スタンダード全銘柄では2.26%となっています。

(出所:2024年4月27日日経朝刊「マーケットデータ」より作成)

このような水準から、配当利回りが 概ね4%を越えてくると「高配当」銘柄といわれているようです。

ただし、注意しておきたいことが二つあります。

ひとつは、「4%」が絶対的な水準というわけではなく、あくまで相対的なものであること。

公表されている市場の配当利回りは、「時価」に対する配当の額を利回り換算したものです。市場全体が大きく上昇すると、配当利回りは下がり、下落すると高くなります。

もう一つは、自分が保有している銘柄の配当利回りは、「その銘柄に投資した金額に対して、どのぐらいの配当が出ているか」、で見たほうがよいという点です。

過去に高いところで購入し、その後値を下げてしまった銘柄は、配当が同じであれば、現在の時価からみる利回りよりも、低い利回りになります。

2.高配当株式を保有することのメリット


高配当の株式を持つことで得られる一番のメリットは、配当で得たキャッシュを自由に使える(消費に回したい)というところにあります。

特にリタイア後の世代は、年金の上乗せとして、配当金を活用したいと考える人も多いようです。

(資産形成に重点を置く現役世代は、配当金を消費に回すよりも、再投資に回して複利効果を狙う方が得策です。)

3.高配当株式を保有することの注意点


このように、一定の魅力のある高配当株式ですが、保有するに際していくつか注意点があります。

一番のポイントは、購入した銘柄が、高配当であり続けるかどうかを見極めること。

高配当を持続できる企業かどうかを見分けるには、過去の配当の履歴や、利益のうちどれだけを配当に回しているか、業績が安定しているか、その企業の属する業界の状況はどうか、といったことを総合的に判断して、継続的にフォローしていく必要があります。

しかし、言うは易く行うは難し。多くの時間と労力をかけて、継続的に情報を集め、分析を行っていくのは並大抵のことではありません。

高配当を出している銘柄の中には、問題を抱えているがゆえに、高い配当を出さざるを得ない「隠れたリスク」を内包している銘柄もあります。また、気付いた時には高い配当は出せなくなっていた、ということもあります。
銘柄の入れ替えも必要になってくるでしょう。

また、高配当銘柄だけを保有していると、業種に偏りが出るなど、分散が効かずにリスクの高い運用になっている場合もあります。

このように、個別の銘柄を自ら選んで高配当を狙うのは、かなりハードルが高いと言えそうです。

個別企業の継続的なフォローにかかる労力を省き、銘柄の分散効果も狙うのであれば、ある程度のコストはかかりますが、高配当銘柄に的を絞った投資信託を活用する、という選択肢があります。





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