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「食いっぱぐれがなさそう」と語学の道を進んだものの、絵を描く仕事への未練が捨てきれず…!?

イラストレーター・漫画家の小島さなえさんは、得意な語学を生かして10年間会社勤めをしたあと、イラストレーター・漫画家として独立するというユニークな経歴を持っています。
本記事では、「語学力を生かして働きたい」と思っていた小島さんの就職活動のエピソードを、著書「外国語をつかって働きたい」から転載。
さらに、「サラリーマンとして仕事の経験を積んでおいて本当によかった」振り返る小島さんに、「フリーランスとして働く」ことについて教えてもらいました。

「コミュニケーション力」の壁にぶつかった小島さん、一体どうなる…?
続きは「外国語をつかって働きたい」で!

フリーランスになってから生きた「会社員経験」

はじめまして、小島さなえと申します。漫画にも描いたとおり、大学卒業後は外国語を使って仕事をしていましたが、35歳で脱サラし、今はフリーランスでイラストや漫画を描く仕事をしています。

私は学生時代から、「いつかフリーランスの翻訳者として1人で仕事をできるようになりたい」と思っていました。子どもの頃から集団になじめない性質だったので、会社勤めよりも在宅で仕事をすることに早い時期からあこがれていました

とはいえ新卒でそれを実現するにはスキルも経験も資金も度胸も足りず、一旦就職した後は約10年間サラリーマン生活を続けました。結局35歳の時に(翻訳者ではなくイラストレーターとして)独立したのですが、今振り返ると、サラリーマンとして仕事の経験を積んでおいて本当によかったと思います。

フリーランスは一人で何役もこなさなくてはいけない

フリーランスという業態は、社長と社員の仕事を自分一人で兼任しているようなものです。翻訳者は翻訳だけ、イラストレーターはイラスト制作だけすれば良いというわけではなく、経理や広報などを含むあらゆる面に目を配らなければなりません。

ですので、独立願望がある人こそ数年間会社勤務を経験する方が、遠回りに見えて実は近道かもしれない、と思ったりもします。発注する企業側の視点なども学べますし、一つのプロジェクトにどれだけの人が関わるかを知ることで、フリーランスとして独立した後も、自分の後の工程を担う人のことを想像しやすくなる気がします。

会社員として「ダメ」でもフリーランスなら輝けることも

ただ、たまにSNSで「会社勤めができない人がフリーランスになれるわけがない」みたいな書きこみを見かけると、「よくそんな風に断言できるな」と引いてしまう自分もいます。もちろん「フリーランスは楽だ」などと安易に考えてはいけませんが、会社よりフリーランスが向いている人はそれなりにいると思うのです。

例えば、『外国語をつかって働きたい!』の第2章に登場した外注翻訳者のHさんは極端な口下手で、電話が苦手なので平時の連絡手段は原則メールのみでしたが、その代わり返信は常に早い人でした。Hさんの翻訳は質が非常に高く、納期もきっちり守り、予定外のことがあったら早めに相談してくれるなど、いつも誠意のある対応をしてくれていました。Hさんのように会話が苦手な人には会社勤めは苦痛でしょうが、フリーランスという業態であれば彼の長所を最大限発揮できるだろうと思うのです。

やりたい仕事があり、1人で働くことに魅力を感じるのであれば、最初から「できるわけがない」と決めつけず、まずは関連本を数冊読んで、(できれば働きながら)勉強を始めることを私としてはお勧めしたいです。

小島さなえ(こじま・さなえ)
1980年生まれ。大学で中国語を専攻し、1年間の語学留学を経験。卒業後は翻訳・校正スタッフや大学職員として10年間サラリーマン生活を送る。35歳でイラストレーターとして開業し、書籍や広告など様々な媒体にイラスト素材を提供。本書の出版にあたり、漫画家「小島さなえ」として活動開始。

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