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なぜあのチームの幸福度は高いのか?新しい人間関係が始まる今、読みたい一冊

新年度は、新しい人間関係が始まる時期です。慣れない人たちとの関係構築で、疲れが出始めている人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回ご紹介したいのは、チームづくりに必要なエッセンスが詰まった一冊です。

タイトルは『幸せなチームが結果を出す』(日経BP)。執筆したのは、「ポーラ幸せ研究所」の所長であり株式会社ポーラ代表取締役社長の及川美紀さんと日本のウェルビーングの第一人者でもある前野マドカさんです。

「ポーラ幸せ研究所」とは、化粧品で有名な株式会社ポーラが設立した研究所。企業理念に「社会の永続的幸福の実現」を掲げるポーラが、幸福を研究して得た知見を社会に還元するために設立したそうです。前野マドカさんは本研究所のアドバイザーもされています。

フリーランスの方々は、複数のクライアントを持っている人が大多数なはず。中には、複数のチームに所属して、プロジェクトを担っている人もいるでしょう。

もしかしたら、会社員の時以上に「チームで働くこと」の大変さに直面しているかもしれません。

そんな人たちに役立つのが、本書で紹介されている「幸せなチームづくり7か条」です。本書はチームリーダーに向けて書かれていますが、チームメンバーにも役立つ内容だと思いました。

幸せなチームづくりができているリーダーの共通点が7か条あり、「メンバーとの向き合い方」において4か条、「リーダーのあり方」において3か条が挙げられており、各々、チェックポイントが紹介されています。

一つでも、ヒヤリとする項目があれば、あなたが所属するチームはもっと「幸せ」になれる可能性があるということ!

では、どのようなチェックポイントなのか、見ていきましょう。

幸せなチームか分かる、3つのチェックポイント

「メンバーとの向き合い方」

第1条 対話する・目をつむらない

①相手の思っていることや考えをまず聞く
②相手を理解するためにときにはプライベートや価値観についても会話する
③気になる行動があったときは先のばしにせず二人で話す時間をつくる

第2条 ジャッジしない・正解を求めない

①自分の物差しだけで善し悪しを判断しない
②個々の考え方の違いを楽しむ
③過去の前例にとらわれず新しい意見を尊重する

第3条 執着しない・リセットする

①ぶつかったり注意したりしても翌日にはいつも通り接する
②ありがとうと言われることを目的にしたり、見返りを求めたりしない
③気持ちを切り替える自分なりのルーティンを持つ

第4条 任せる・委ねる・頼る

①メンバーそれぞれの個性や良いところを探す、見いだす
②自分が苦手なことは正直に伝えて進んで相手を頼る
③一度頼んだことは介入しすぎず信じて任せる

「リーダー自身のあり方」

第5条 経験を教訓にする

①うまくいかなかった体験は何がいけなかったのか、どうすれば良かったかを考える
②うまくいった体験はなぜうまくいったのか、大事なことは何かを考える
③良い経験も辛い経験もすべて自分の糧であると捉える

第6条 相手を変えるのではなく自分が変わる

①相手の立場や状況にたって想像する
②自分のふるまいや行動で相手や周囲の行動が変わっていくと捉える
③相手に合わせて自分の関わり方を変える

第7条 愛のループを自分から始める

①今の自分があるのはこれまで支えてくれた人のおかげという意識を持つ
②常に感謝の気持ちを持ち周囲に伝えている
③見返りを求めるのではなく与えることに幸せをを見いだす

人は一人では生きられない。チームを通して幸せになれる

本に書いてあったことで印象的だったのは、「人は一人では生きられません。全ての人はチームを通して幸せになるのです」という文章でした。

「仕事に限らず、家族も、友人同士も、趣味のサークルも、地域コミュニティーも、みんなチームです」と書いてありました。

確かに我々は仕事以外の場面でも、何らかのチームの一員であることが多いです。フリーランスは孤独になりがちと言われますが、見方を変えれば、人は誰もがチームの一員ということ。

上で紹介したチェックポイントを読むだけで、チームの一員として自分は何ができるかを考えるきっかけになるように思いました。

7か条の教えは、すぐできることばかり

最後に、7か条の教えの中から、いくつか印象的だったものを抜粋しました。

第1条 対話する・目をつむらない

「お互いの考えや思いを聴く、話す。違和感や相手の嫌な部分が見えたときは黙って我慢せず真意をたずねる」

「大切なことは目をつむらずに対話をすること」だと書いてありました。
小さな違和感をなかったことにせず、「相手を理解したい」という思いで対話することが大切とのことです。

第2条 ジャッジしない。正解を求めない

「自分の物差しで善し悪しを決めず新しい意見を尊重する」

ダイバーシティ&インクルージョンの考え方です。違う意見があるからこそイノベーションが起こります。本には意見を出してくれたこと自体に「ありがとう」と感謝を示してみましょうと書いてありました。今日からでも始められそうですね。

第3条 執着しない。リセットする。

「相手の反応に一喜一憂せず、いつまでも引きずらない。気持ちを切り替える」

人間は感情の生き物なので心のコントロールはとても難しいもの。でもだからこそ、そもそもの目的に返ったり、自分を整えるルーティンを持つことが大事なのだとか。感情のコントロールができるようになりたいものです。

第4条 任せる・委ねる・頼る

「全部自分でやろう・仕切ろうとせず、相手を信じて任せる。自分が苦手なことは進んで周囲を頼る」

本には「余裕がなくピリピリしているリーダーは求めていません」と書いてありました。他者に頼ること、任せることはリーダーにとって、重要なスキルの一つということのようです。

第5条 経験を教訓にする

「自分の行動や経験をきちんと振り返りそこから学びを引き出す」

失敗の振り返りは行うことが多いかもしれませんが、成功の振り返りを行うことは少ないのではないでしょうか。成功の振り返りは成功の再現性を高めるためにとても大切なことです。失敗の予防策を講じると同時に成功を構造化し自分たちのナレッジにできたら、そのチームは強くなるはずです。

第6条 相手を変えるのではなく自分が変わる

「相手のために自分はどうしたらいいかを考え、想像し、行動する」

「相手の立場に立つ」ということは「相手の横に並んで相手が見ている景色を一緒に見る」イメージです。自分の視点を変えたり立っている場所を変えることで見えてくることもあるかもしれません。「あの人が…」と相手を指摘しているその指を自分に向けることが大切ということです。

第7条 愛のループを自分から始める

「周囲の支えに感謝し、自分も周囲に愛情をもって接する。自分自身に対しても愛情を持つ」

本には「リーダーこそ、ご自愛することを大切にしてみてください」と書いてありました。リーダーは特に自己犠牲を自分に強いてしまいがちですが他者を大切にするように自分を大切にすることがとても大切だということです。

近年、働く人の幸せを大切にすることを目指す会社が増えています。CWO(チーフ・ウェルビーング・オフィサー)、CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)など、「幸せ役員」の名称を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

フリーランスは、セルフマネジメントが必須です。CWOやCHOを自分の中に持たねばいけません。そのためにも、この7か条を常に心に留めおくと良さそうですね。

平井圭子
富山県出身。青山学院大学経営学部経営学科卒。
プロフェッショナルファームで10年以上人事業務に従事。妊娠・出産を経て人事系フリーランス&キャリアカウンセラーとして独立。現在はベンチャー企業の人事業務支援、大手法人のダイバーシティ&インクルージョン推進支援、大学・高校での相談業務に携わる。
仕事の目標は仕事が楽しいと思える人を増やすこと。
プライベートでやりたいことは全国の素敵な本屋さん巡りをすること。


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