Q.会社を辞めると、健康診断が受けられなくなるのでしょうか?
こんにちは。社労士の山口あす香です。
フリーランスやパラレルワーカーになりたい、と思っている会社員からよく聞かれる疑問にお答えする本連載。今回のテーマは「健康診断」です。
Q.会社を辞めると、健康診断が受けられなくなるのでしょうか?
→自分で申し込み、自費で受けに行く必要があります。国民健康保険に加入していればお得に受けられることも!
会社員の皆さんにとって健康診断は身近なものだと思います。大半の皆さんは1年に1回定期的に受診している事でしょう。中には「忙しいのに~」と思いつつ、業務の合間を縫って受診するという方、「早く受けてください」と催促されてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
会社は、「常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に医師による健康診断を行わなければならない」と法律で規定されているんです。
会社の義務なので、健康診断の費用は会社が負担すべきものとされており、労働者側にも受診する義務があります。
これは会社に所属していると当たり前に感じるかもしれませんが、毎年定期的に受診することで、昨年との変化を確認できたり、再検査が必要な場合などは通知がきたりと、自分の健康を確認できる有難いチャンスなんですね。
身体が資本のフリーランスだからこそ、健康診断の受診が大切
会社を辞めてフリーランスになると、誰かが管理をしてくれるわけではないので、自分で意識しないと「忙しくて何年も健康診断を受けていなかった!」ということになりがちです。
そして何より、フリーランスこそ身体が資本!ということを頭に入れておかなければなりません。
会社員だと体調不良の時に有給休暇を取得したり、長期の療養が必要な時は傷病手当金(※要件あり)をもらいながら休んだりすることもできます。
フリーランスになると、自分のペースで仕事ができる反面、病気で休む=収入減に直結してしまいます。自分の健康を守ることは重要な「経営課題」「リスク管理」と言えます。
ただ、健康診断の受診は大切なことだとわかっているものの、忙しいとついつい忘れてしまうということもあるかもしれませんね。
そこでお勧めなのは、誕生月に健康診断や人間ドックを受けると決めて、イベント化してしまうというものです。
フリーランス協会の福利厚生サービス「WELBOX」を利用して、ちょっと贅沢な人間ドックを会員特別価格で受診するというのも一つの手です。
また、高い人間ドックを受けるほどでもないし、健康診断の費用が気になるという方は、国民健康保険に加入されている場合、かなりお得な金額で受けられる場合があるんですよ!
例えば、東京都世田谷区で国民健康保険加入している場合・・・
健康診断の基本的な項目を自己負担金500円で健康診断を受けることができるんです!
お住まいの市区町村によって受診できる年齢や自己負担額が違いますので、「国民健康保険 健康診断 ○○市(区)」で検索してみましょう!
健康診断はご自身の健康を守るためにも大変重要なことです。そして、さらに視野を広げてみると、長く生き生きと働くためにも、「健康寿命」の重要性は無視できません。
生産年齢人口の減少と従業員の高齢化 、深刻な人手不足、国民医療費の増加という社会的背景もあり、「健康経営」に取り組む企業も増えてきています。
従業員の活力や生産性の向上は、業績や企業イメージの向上につながるので、経営的な投資として捉えられるようになってきているんです。
フリーランスであれ会社員であれ、人生100年時代と言われる中で長く働き続けるためには、「健康」は切っても切り離せないもの。
「健康経営」というと企業活動に対するものですが、フリーランスは自分自身の健康を守る経営者でもあるという意識を持つことも大事になってきます。
下の表は中小規模の法人向けですが、経済産業省の健康経営優良法人の認定要件などを参考にして、ご自身の事業の決まり事としてて、いくつかピックアップして取り組んでいくのもお勧めです。
例えば、上表の健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件を参考にすると・・・
1.経営理念・方針、2.組織体制、3.制度・施策実行、4.評価・改善、5.法令遵守・リスクマネジメントの5つのフレームワークから構成されています。
5つとも、企業だけでなくフリーランスにとっても大切なフレームワークですが、健康に関していえば大切なのは具体的な「実行」に関すること。
表で言うと中項目の3つです。
☑は評価項目をフリーランスが取り組めそうなものに置き換えてみました。
Ⅰ.従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
①従業員の健康診断の受診(受診率実質100%)
②受診勧奨に関する取り組み
③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
Ⅱ.健康経営の実践に向けた土台づくり
④管理職・従業員への教育
⑤適切な働き方の実現に向けた取り組み
⑥コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み
⑦私病等に関する両立支援の取り組み
Ⅲ.従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策
⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み
⑫長時間労働者への対応に関する取り組み
⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
⑭感染症予防に関する取り組み
⑮喫煙率低下に向けた取り組み、受動喫煙対策に関する取り組み
少し気にかければ、個人でも対応可能ですよね。これらはあくまでも一例です。ご自身の状況に合わせて取り組めそうなものからぜひチャレンジしてみてください。1年に1回チャレンジ結果を振り返るのも良いですね!
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