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衣料ロスに新たな価値を吹き込むプロジェクト「UpcycleLino(アップサイクルリノ)」

サスティナブルやエシカル、エコなどが一般化したことにより、本来は捨てられるはずのモノに新たな価値を与えて再生する「アップサイクル」が増えています。

以前はパンの耳から作ったクラフトビールをご紹介しました。

今回は裁断くずをアップサイクルした生地を使ったブランド
UpcycleLino(アップサイクルリノ)をご紹介します。


衣料ロスを再利用「UpcycleLino(アップサイクルリノ)」

アパレル業界の中で深刻な問題となっている衣料ロス。
特に洋服を作る過程において裁断くずをどうするかという問題はどうしても避けられません。

一般的に洋服は1枚の生地から作られています。
生地を基に型をとり、裁断、縫い上げることで洋服になりますが、その裁断のときに使われない部分が出てきます。
それが「裁断くず」です。
1枚の生地から出る裁断くずの割合は全体の3割と言われており、その3割は使い道がなかったり、再利用する手間を割けないという理由から廃棄されているのが現状です。

1着の洋服の3割であればくず程度ですが、国内では年間2万トンの洋服が作られていますから、単純計算で約8,500トンもの裁断くずが廃棄されていることになります。
軽自動車に換算すると約13,000台分と、とんでもない量であることが分かります。
(参照:https://www.env.go.jp/policy/pdf/st_fashion_and_environment_r2gaiyo.pdf

そこで動き出したのがアップサイクルリノプロジェクト。
国内メーカーとの共同で様々な生地開発を行っており
・デニム(DENIM)
・ウール混デニム(WOOL BLEND DENIM)
・チノ(CHINO)
・スウェット(SWEAT)
・リネン(LINEN)
といった生地を開発されています。


京都の珈琲専門店とのコラボ商品も開発

京都駅からほど近く、鴨川沿いにあるレトロな珈琲専門店「WIFE&HUSBAND」のこだわりをカタチにした商品も開発、販売されています。
WIFE&HUSBANDのヴィンテージ感を残しつつも、現代の暮らしに馴染むようにと工夫された洋服。

染色はWIFE&HUSBANDで抽出した珈琲の搾りかすを使ったエシカルカラーを展開。
ここにも再利用の工夫が見え隠れしていますね。


とことん再利用にこだわったエシカルプロダクト

無染色の生地であれば再利用することができますが、染色している生地は元に戻すことができません。

そこで、偶発的に集められた色や柄のある生地を混ぜて糸を開発。
いろんな色を混ぜていくとグレーになるそうです。
材料はいろんな色や柄の集合なので、世界にひとつだけの糸になります。
時には赤みがかった服になり、時には青みがかった服になります。

服に再利用できない裁断くずもあります。
どうするのか。
それがハンガーの開発だったそうです。
強度もありつつ、天然素材を原料にしているため再分解され、やがて土へ還ります。


最後に

技術の発展が急成長していることもあり、少し前では再利用できなかったものが次々に生まれ変わり、新たな価値を吹き込まれています。

特に日本はほとんどのものを海外からの輸入に頼っています。
だからこそ資源の再利用化が進んでいるという背景もあるのかもしれません。
ヨーロッパやアメリカではさらにサスティナブルな動きが活発化してきているため、日本もサスティナブル化が加速していきそうですね。

(※トップ画像出典元:https://store.nestrobe.com/upcyclelino/pages/ul_limitedcolor
(※挿入画像出典元:https://store.nestrobe.com/upcyclelino/pages/ul_sweat

林文臣


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