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女性が役員になれるのは仕組みのおかげでもダイバーシティ世相のおかげでもなく、その人が役員としての価値があるから登用するのでは?とスタートアップ女性役員だったからこそ思う。退職有休消化中だけど。

5年半勤め、最後には執行役員をしていたベンチャー企業を辞める決意をし、有休消化中の夏休み。こんなに長く何もしない(無職)なのは久しぶりなので、自分に何かを課す意味も込めて、心境の変化や日々の過ごし方について書いておこうかと思ったり、今だけ思ったり。


「ダイバーシティな世の中だから、女性を役員に入れておきたいんだよね」「男ばっかりの経営陣じゃダメだからさ」

女性の私が39歳の冬に執行役員になったとき、打診の場や全社向け朝会で、CEOが実際に言った言葉である。
役員9人のうち、女性は私だけだった。

上記の発言だけの理由での任命でないことを、当然ながら私はよく知っている。

私はよくスタートアップ界隈にいるキラキラ系のバリバリ経歴ではない。もともとは最低ジョブグレードで入社している。役員ポジションありきの採用ではいったわけでもない。
末端イチ社員が、マネージャーになり、副部長になり、部長になり、執行役員になり、とこの5年半、やるべき仕事を頑張って事業に貢献した自覚もあるし、私を「戦友だ」とCEOが高く評価してくれていたからのポジションだ。
他の人にどう思われようと、能力の評価であることを、任命当事者のCEOと拝命した自分が一番よく知っている(それでも辞めるのだけど)。


であるからこそ、前述のCEOの発言に嫌な思いはないし、上場後を見据えてダイバーシティ的企業としてのアピールは必要なのはいたしかたないのだから、そういう側面で会社の役に立てるならそれはそれとして別にいい。

実力評価の登用だからこそ、「ダイバーシティな世の中だから女性を役員に入れとかないと」みたいな概念や理想主義ばかりが目立っているのは残念だ。
「女性役員が必要だからなれたんでしょ」なんて、絶対に思われたくない。

事実、自分が女性として優遇されたこともないし、女性であることを意識したことはまったくない、フラットな会社だった。
女性、女性、って、その発言がすでに女性を何かの枠組みに入れてないかしら、と思う。
女性が役員になれないのは、女性が活躍しにくい仕組みのせい?
女性が活躍する仕組みが必要だ、というのを目にするけど、具体的にどんな仕組みだろう。別に思い当たる仕組みはなかったけどそれなりに活躍はできていたと思う。仕組みがないと活躍できないなんて、そんなの誰が決めたんだろう。
子育てが〜家事との両立が〜とか、色々事情はあるかもしれないが、実際になってる人はそういう事情は凌駕している(関係ない)し、そういう事情がない人がみんな役員になれるわけでもなかろう。
仕組みがないとなれないなんて、そういう目があるから女性役員が増えないんじゃないかなぁ。

「女性だから役員にした」
ではなくて
「役員にしてもいい人だ、それが女性だっただけ」
「役員にしてもいいくらいの能力のある人のうち、女性の割合が多くなってきたよね」
であってほしい。

2030年に女性役員比率を30%にする社会的目標はべつにいいし、それについていろんなコメントや記事があふれるのはいいけど、女性役員云々いうなら、こういう本質(なぜこの人が役員なり得たのか、どういう能力があれば役員になれるのか)にもっとフォーカスして、そこを掘り下げ、個々の能力をどうのばすのかの議論に時間使ったほうがいいのではないかなぁ。

なんてね。
フェミニストでは全くないけども。だからこその。

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