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また君と出会う未来のために 読了《読書感想文➆》

仙台の大学に通う青年・支倉爽太は、人には秘密にしている過去があった。
失意の底にいた小学校三年生の頃、幽霊が出ると噂のある海で溺れたことをきっかけに、
遠い未来――2070年――
へと時間を超えたことがあったのだ。
そして現代に戻れたあとも、未来で出会った年上の女性を忘れられずにいた。再会する方法など分かるはずもなく、気持ちを押し殺して大学とアルバイトに明け暮れていた爽太。
しかし、大学の室内楽サークルに入っている友人達の揉め事に関わる中で親しくなった八宮和希という青年に「おれは、過去から来た人に会ったことがある」と告げられて…?

大好評を博した『どこよりも遠い場所にいる君へ』に続く、様々な「出会い」の物語!  
     
                    
「出会わないことが正解だなんて、そんなの絶対に嫌だ」                   

また君と出会う未来のために

2011,3,11の地震で両親を亡くした 支倉爽太はぜくらそうた

2011,3,11の地震で弟を亡くした 西城さいじょうまどか

室内楽サークルに支倉と一緒に入っていた ヴィオラの早坂千晴はやさかちはる チェロの日野原圭ひのはらけい

過去から来た人にあったことがあるという 八宮和希やつみやかずき

支倉と同じバイト先の先輩で和希と同居している尾崎幹也おざきみきや

支倉が2070年に迷い込んだときに助けてくれた五鈴いすず

また君と出会う未来のためにの前作、どこよりも遠い場所にいる君へを読むと尚更面白いと思う。

神隠し、マレビトなどファンシーな感じの題材を、
地震、震災孤児、いやがらせ、などリアリティがあることで包んでいるのでとても読みやすい。

支倉が

未来に来ていると知ったとき
五鈴にここにいていいということを言ってもらったとき
生きていてくれて本当によかった。と言ってもらったとき
ヴァイオリンを弾いてもらったとき
五鈴に突き放されたような気がしたとき
初めて七緒のお墓の前に立った時の和希の気持ちを考えたとき
五鈴と再会することを諦めたとき
和希の言葉が胸のずっと深いところにしみこんだとき
和希のピアノを聞いたとき
五鈴のことで希望が見えたとき

様々な場面で涙が零れてしまう支倉が、
とても心が綺麗で素敵だと思った。
感受性が豊かでそれを躊躇いなく表に出すことが出来るのが
僕には真似できないから、素敵だと思うし羨ましくも感じる。

ほかには支倉のツッコミや言い訳のワードセンスがとても好きだ

例えば、高所恐怖症ぎみの支倉が和希と入り江を囲む崖に上りしゃがみこんでしまったときの

「……全然よゆうっす。ちょっと草の観察したいんで、十秒待ってもらえますか。」

などの脊髄反射で会話できる感じの空気感がとても好きだ。

是非
どこよりも遠い場所にいる君へ
と続けて読んで欲しい。


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