スタートアップが、サービスローンチから1年で「グッドデザイン賞」を受賞するまで。リコマースサービス「Retailor(リテーラー)」
こんにちは。フリースタンダードの黒木主唯(クロキシュイ)です。2020年8月創業のフリースタンダード株式会社にてデザインのすべてを担っています。
この度、弊社が提供するリコマースサービス「Retailor(リテーラー)」が、GOOD DESIGN AWARD 2023を受賞しました。今回は、サービスのローンチから1年でグッドデザイン賞を受賞するまでのプロセスをご紹介したいと思います。
Free Standard株式会社はこちら▼▼▼
第1章「やばい、応募期限が迫っている。」
みなさんはグッドデザイン賞を知っていますか?noteで多く紹介されていますし、ロゴマークをいろんなところで見かけるため、なんとなく知っている方も多いのではないでしょうか。
グッドデザイン賞は、1957年に創設されたデザイン賞です。ヒト/産業/社会/時間、4つの視点でデザインと向き合いながら未来を豊かにすることを目的としています。
本記事は、フリースタンダード株式会社が提供するリコマースサービス「Retailor(リテーラー)」が2023年度のグッドデザイン賞を受賞するまでの流れを、実際の写真等を踏まえて語っていきます。
2023年4月末日、フリースタンダードのオフィスでこんな言葉が聞こえてきました。
「やばい、グッドデザイン賞の応募期限が迫っている!」
フリースタンダードはスタートアップです。社員もまだ少なく、デザイナーは私1人のみです。日々の業務の中でグッドデザイン賞のエントリー期限を見落とし、締切が迫っていることに気づいていませんでした。そんな中、締切に気がついたメンバーから飛んだ一声でした。
ここから、フリースタンダードのグッドデザイン賞がはじまります。
エントリー期限の5月24日までの3週間で、エントリーに必要な文面や画像を作成する必要があり、その情報量は多く、制作に時間がかかるものでした。グッドデザイン賞のエントリーには下記の情報が必要です。
・申込者情報
・サービス概要
・画像資料(最大6枚)
・説明テキスト(約2000文字)
※項目数が多いため概要のみ記載
リテーラーはサプライチェーンの長いサービスです。また、リコマース市場をつくるという新しいビジネスに挑戦しているため、社会背景から説明する必要があります。画像資料や説明テキストをしっかりとつくり込むため、社会背景、目的、サービス詳細、つくりたい世界の整理をはじめました。
リテーラーのサービス内容については、こちらのnoteにて立ち上げの背景からまとめていますので、よければ合わせてお読みください。
第2章「グッドデザイン賞を取る!」
そもそも、なぜグッドデザイン賞に応募したのか。はじまりは創業初期に戻ります。
会社が創業してまもない頃。数名のメンバーで、フリースタンダードで成し遂げたいことを語り合う場がありました。その時に唯一のデザイナーである私が言ったことが「グッドデザイン賞を取る!」でした。
デザインの良し悪しを明確に定義することは非常に難しいです。売上や利用者数といった数字は、事業の大事な尺度ですが、必ずしも売上や利用者数の多い事業が良いデザインとは限りません。かつ、スタートアップは発展途上のため武器が少ないです。
そこで、グッドデザイン賞という第三者から定量的なアプローチが可能な成果として宣言しました。
第3章「シンプルにするために。」
弊社が提供するリコマースサービス「リテーラー」は、ブランド様がリコマース事業を公式で実現することを支援する事業です。具体的には、すでに販売した商品をお客様から下取りするところから、査定、返金(現金orポイント)、管理、販売、配送までをフルパッケージで提供する事業です。
品質の良い製品は長く使用することができます。そのため、使用されなくなったものをブランド公式の手法でメンテナンスを施し、次のお客様に提供する事業が「リテーラー」です。
現在は多くのブランド様にご理解いただき、大手ゴルフアパレルブランド「パーリーゲイツ」様、鋳物ホーロー鍋で有名な「ストウブ」様、レザーシューズの「パラブーツ」様といったブランド様へ提供しています。
リテーラーは、ブランド自らがリコマース事業を行い、社会に流通する商品を循環させることに大きな価値があります。明確に事業と思想を伝えないと、従来の中古事業と同じに見えるリスクがありました。
そのため、機能だけではなく、社会環境やこれからつくりたい未来を盛り込むことに決めました。
1次審査では4枚の画像を提出しました。①概要、②価値、③機能、④循環の4つです。
製品のイメージ画像や写真だけで伝えることが困難なため、文字や図で説明する構成にしています。上記4枚の画像を並べると文字が多く見えますが、1枚1枚の見出しの文字数にこだわって設計しています。見出し(太文字)の箇所は必ず2行以内に収め、初見で内容が理解できるようになっています。また、それぞれのレイアウトや色味が重ならないようにすることで、情報の緩急が伝わるようにしています。
第4章「やり切ろう!」
1次審査を無事に通過した「リテーラー」は、東京ビッグサイトで行われる2次審査に進みます。2次審査では、与えられた一定の区画を利用し、サービスや製品の特徴を存分に伝えるものです。弊社は、1区画でもよいところを、しっかりとサービスを説明したいため倍の2区画で展示しました。
「リテーラー」は、ひとつの機能を見せるだけで説明が完結するようなサービスではありません。
どのように商品を下取りするのか、
どのように商品がメンテナンスされるのか、
どのように商品が管理されるのか、
どのように商品を販売するのか、
この流れがリテーラーの価値になります。横2メートルのブースエリアで、これらを説明する必要がありました。ボードやムービーだけでは説明ができないため、実際の商品は管理画面など幅広く用意し、それらをわかりやすく展示することが2次審査のポイントでした。
実際に展示したもの
・サービス説明ボード
・お客様用:下取りフォーム
・ブランド様用:商品管理画面
・リユース商品販売サイト
・サービス紹介ムービー
・実際の下取り商品(メンテナンス前)
・実際の下取り商品(メンテナンス後)
展示物の量が多いため、オフィスで様々なレイアウトを試しています。ものを置くだけではなく、ボードの見やすさや、PCやタブレットの配線を綺麗に見せるためにトライ&エラーを重ねてたどり着きました。
最終章「そして。」
弊社フリースタンダードはまだまだ発展途上です。グッドデザイン賞という第三者評価いただくことができ、非常に嬉しい一方で、事業としてさらなる飛躍を目指しています。
この機会を一歩目に、デザインだけではなく、プロダクトも企業としても磨いていきますので今後ともご期待いただけると嬉しいです。
引き続き、フリースタンダードのnoteをよろしくお願いします!
Free Standard株式会社
黒木主唯