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機械化していく人間

ターミネーターを観て、『いつか、こんな世界が現実になるんだろうか。』と幼心に不安な気持ちになったことを覚えています。ターミネーターに対して、好奇心や恐怖感を持った方は多いのではないでしょうか。

AI、機械学習、シンギュラリティなどのバズワードは落ち着きを見せているように感じますが、『まるで人間のようなロボットができる日はそう遠くない。』と皆さんどこかで思っているのではないでしょうか。

無人コンビニができたり、自動運転ができるようになったり、
機械が人の仕事を代替し、機械がどんどん人に近づいているような気もします。

しかし、本当に機械が人に近づいていっているのでしょうか?

このNOTEでは、機械が人間に近づいているのではなく、人間が機械に近づいていっているということについて書きます。少し角度の違った視点だと思いますが、面白おかしく読んでいただけると嬉しいです。

✅1、養老孟司のYoutube動画

養老孟司先生を知っていますか?400万部以上を売り上げた『バカの壁』の著者で東京大学名誉教授の方です。

『養老孟司の部屋』という養老先生の講演やインタビューの切り抜きをアップしているYoutubeチャンネルの中にとても興味深い動画がありました。

5:10からが、もっとも興味深い部分です。
※この動画では使われている『ロボット』『コンピュータ』をこのNOTEでは『機械』と表現しています。

機械が人に似てくるのではなく、人が機械に似てくると説明しています。
そのことを養老先生は、昔のカラオケと今のカラオケを対比させながら説明しています。昔のカラオケでは歌い手に対して、バックバンドがリズムを合わせにいっていましたが、今のカラオケは人が機械のリズムに合わせにいきます。精密採点機能を使ったことがある方はよく分かるかと思います。音程のバーに人間が合わせにいっています。

同じことがコンビニでも言えると思います。
今は店員さんを介さず自分自身で生産できる機械がコンビニでは導入されています。この時、買い手は機械の指示する手順で買い物をやっていきます。
機械に人が合わせにいっているのです。

マニュアル化された機械の手順に従って、マニュアル的に反応していく我々は、まさに機械に似ていっているともとらえることができると思います。

✅2、コーヒーショップでの出来事

コミュニケーションが重視される有名コーヒーチェーンの店員さんですら機械化してきていると思った出来事がありました。

機械化されない、機械化できない、というのは臨機応変に対応することができるということだと考えています。コンビニのマニュアル化された自動精算機は臨機応変に対応することはできません。多少イレギュラーパターンが想定されているかもしれませんが、例えばお金を先に投入することはできません。商品のバーコードの読み取りが先です。

そのコーヒーショップのスタッフはお客さんとのコミュニケーションを大切する文化を持っています。そういう意味では、臨機応変に対応するということがハイレベルでできています。

コーヒーショップに行ったとき、持ち帰りか店内で過ごすかを私はいつも先に伝えるようにしています。持ち帰りであれば、『お席の確保はお済でしょうか?先にお席の確保からお願いします。』と案内されることがなく、店員さんもそれを言う手間が省けるからです。

いつものように、『持ち帰りです。ドリップコーヒーのアイスをトールでお願いします。』と注文しました。店員さんは『ドリップのアイス、トールサイズですね。○○円になります。店内でお過ごしでしょうか。お持ち帰りでしょうか。』と言いました。

『あれ、最初に言ったのに。』と思いました。
『言ったこと聞いてないじゃん。』と言いたいわけではなりません。
おそらく、マニュアル的には最後に店内か持ち帰りかを聞くことになっていたのでしょう。店員さんはそれに従っただけだと思います。

しかし、そういったマニュアルに従うのではなく、臨機応変に対応できるということが人間だと思うのです。有名コーヒーショップの店員さんですら、臨機応変に対応できず、機械化していっているんだなと少し恐怖を覚えました。

✅3、まとめ

養老先生の仰ったように、機械が人に似てきているのではなく、逆に、人が機械に似てきているのかもしれません。マニュアル通りのオペレーションしかできない場面に遭遇することで強くそれを感じました。

だからといって、『機械化していくことが悪いことだ』と言いたいわけではありません。マニュアル通りにやるということは品質を一定に保ち、思考する手間を省くことができるメリットもあります。

ただ、人が機械に似てきているのかもしれない、という視点を持っていると世の中少し違ったように見えるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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