〘自作詩〙春興と春愁
1
「明日はいい日になるよ」
そんな言葉信じてなかったけど
あなたが言うから
僕もそうなのかもしれないと思うようになりました
2
「桜は妖艶だよね」
妖艶という言葉を知りたてな子供のような無邪気さでそう言ったあなた
ああ桜よ頼むから攫うなら僕にしてくれ
あの人の笑顔はこの世界に必要だから
3
死を考えた時に
詩を作ってください
そしてどうか生き延びて
4
「だいじょうぶ」
その言葉はとても優しいから
目が真っ赤になって
涙が静かに湧いてきます
「だいじょうぶ」
そう言って肩を叩く手が温かくて
もうだいじょうぶと笑いかけたいのに
どんどん涙は溢れてきて
優しい作品が作りたくなりました
5
「桜は散っちゃうのが哀しいよ」
「散るのが良いんじゃないかな」
「なんでさ」
「散るから桜だからだよ」
6
「僕は夜桜の方が好きなんだ」
黒と白のコントラストがいいね
星か月とのツーショットもいい
そして道路
花びらが発光した絨毯のよう
いつもと違う道
どこか遠くへ連れて行ってくれ
7
「桜、入学式に間に合ってよかったね」
私は頷く
君は笑う
近所の学校の入学式の文字を見る
おめでとう
おめでとう
ああ晴れやか
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