《自作脚本》生きて、愛して、君は笑う

軍人が新聞を読んでいる。
そこへ、音楽家がのろのろとやってくる。

軍人「おはよう。」
音楽家「……うん。」
軍人「もうちょっと寝てて良いんだぞ。」
音楽家「いや、もういい。」
軍人「珍しい。」
音楽家「……嫌な夢を見た。寝るのは良いけど、私は寝れるだけでもありがたいけど、こういうことがあると、きついね。」
軍人「夢はあまり見ないんじゃなかったか?」
音楽家「そうだね。普段は気絶する感じだから、見ないんだけどね。」
軍人「……どんな夢?ほら、口に出した夢は現実にならないって言うじゃないか。」
音楽家「初めて聞いた。」
軍人「そう?」
音楽家「……君がいなくなる夢だよ。」
軍人「……。」
音楽家「爆弾処理班なら、そうなっても仕方ないのは分かるけど、君がいなくなって、それでも普通に生活してるんだ、私は。いつも通り寝れなくて、不眠症で、曲を書いて生きてる。そんな夢。」
軍人「ふうん。」
音楽家「私は君がいなくなったら死ぬと思うんだ。」
軍人「……。」
音楽家「今より寝れなくなって、曲を書き続けて、過労で死ぬだろうさ。」
軍人「そっか。」
音楽家「……なんで笑ってるのさ。」
軍人「愛されていることが分かったら嬉しいだろう?」
音楽家「……良い笑顔なもんだ。」
軍人「後追いなんて馬鹿らしいと思っていたが、自分にもそういう可能性があるって分かると、なかなか。」
音楽家「こっちは悪夢見たっていうのに、呑気だね。」
軍人「悪夢は慣れてるから。」
音楽家「……相変わらずのPTSD。」
軍人「治りそうもないな。」
音楽家「……逆に私があまりの生活習慣で先に死んだら、君どうするの?」
軍人「……普通に仕事するだろうね。」
音楽家「それが良い。」
軍人「いつだって死と隣合わせだから、あえて後を追う必要がない。」
音楽家「……末恐ろしいね。」
軍人「そうかな?俺は死ぬの怖いよ。」
音楽家「私も怖いよ。」
軍人「でも俺が死んだら後を追ってくれ。」
音楽家「そこは、俺が死んでも生きてくれ、じゃないの?」
軍人「それは俺たちには似合わない。」



☆この二人が出てくる脚本はこちら↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?