フランスバレエとロシアバレエの違い
フランスバレエの専門家、harukaです。
今回はバレエの世界で代表的なロシアバレエとフランスバレエについて紹介していきたいと思います。
バレエ大国といわれるロシアとバレエ発祥の地といわれるフランス。
ボリショイバレエ団とパリ・オペラ座バレエ団。
ワガノワメソッドとオペラ座メソッド。
両国ともバレエの長い歴史を持ち、独自の進化を遂げてきました。
しかしそもそもロシアバレエとフランスバレエは何が違うのでしょうか?
ロシアバレエとフランスバレエの違いは各バレエのメソッドにあります。
ではバレエのメソッドとは何なのか?そこから解説していきます。
バレエのメソッドとは?
バレエのメソッドとはずばり「バレエの教育システム」のことをいいます。
バレエメソッドの違いは単なるバレエスタイルの違いではなくバレエの指導法の違いを指します。
本来バレエには厳格に決められた教授法が存在します。
世界の3大バレエ団であるフランスのパリ・オペラ座バレエ団、イギリスのロイヤル・バレエ団、ロシアのボリショイバレエ団、そして各バレエ団に付属しているバレエ学校では
・ パリ・オペラ座バレエ団 オペラ座メソッド
・ ロイヤル・バレエ団 RADメソッド
・ ボリショイバレエ団 ボリショイメソッド
というように厳格な教育システムがあります。
メソッドが違えばバレエに対する考え方、練習の仕方や方法が変わります。考え方、練習の仕方や方法が違えばバレエダンサーの育て方が変わります。
その結果体の使い方や踊り方にも様々な違いが生まれてきます。
体の使い方など目に見えて分かる違いだけではなく、「なぜそのような動きになったのか」という根本的な違いも含めて「メソッド」といいます。
ロシアバレエのメソッド
ロシアバレエの一般的なメソッドはワガノワバレエ学校のワガノワメソッドです。
ワガノワメソッドの特徴は力強い動きによって作り出される華やかさです。
例えばアラベスク(後ろに足を上げる技)をするとき、足を高く上げるために上体を少し傾けてもオッケーです。
上体を真っ直ぐにしたまま足を上げると90度以上上げることは難しいです。
しかし上体を少し倒すことで足を90度以上高く上げることが可能になり華やかさが増します。
ワガノワメソッドを完璧に習得するのは身体条件に優れていなければ難しいといわれています。
フランスバレエのメソッド
フランスバレエのメソッドは世界最古のバレエ団、パリ・オペラ座バレエ団のオペラ座メソッドです。
オペラ座メソッドは優雅さや気品を重視しています。
先程のアラベスク(後ろに足を上げる技)の例でいうと、足を高く上げることよりも正しく足を上げることを重視します。そのため足が高く上がっていても上げ方が悪ければ低い位置から始めるように注意されることも。
オペラ座メソッドは華やかさよりもバレエの基礎を追及します。基礎ができていなければ次のステップに上がることは難しいです。
オペラ座メソッドを習得すると伸びやかな表現ができるようになるため、気品が生まれます。
【結論】 ロシアバレエとフランスバレエの違い
ロシアバレエとフランスバレエの違いはバレエの教育システムの違い、つまりメソッドの違いにあります。
ロシアバレエのメソッドの特徴は美しく魅せる。
フランスバレエのメソッドの特徴は正しく踊る。
ロシアのバレエダンサーとフランスのバレエダンサーを見比べてみると違いがよく分かるかもしれません。個人的には女性ダンサーの方が違いが一目瞭然かなーと思います。
今回はロシアバレエとフランスバレエの違いについて触れてみました。
フランスやロシアなどのバレエの本場では、定められたバレエ教授法があり、バレエ教師になるためには専門教育を受けた後、国家資格を取得しなければいけません。
しかしそもそもバレエが盛んではなかった日本では体系化されたバレエ教育が存在しません。そのため全てのメソッドの「いいとこ取り」のような教育になっています。
同じ国内で異なるメソッドが体験できるというメリットもありますが、プロを目指すのであれば各国のバレエメソッドを理解することが重要になってきます。