見出し画像

読書記録。~繊細な心と共存して~

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
武田 友紀・著
飛鳥新社

TV番組で武田さんの解説を見てからずっとほしかった本。
高校2年生の時に書店で見つけて購入しました。

HSP、通称「繊細さん」について、この本が教えてくれたこと。
今日は大学生活に関連したエピソードに焦点を当てようと思います。

前回は大学以前の話をしています。

「要領が悪い」と思っていたけれど


私は要領が悪いから、大学の勉強についていくだけで精一杯。
それが私の口癖でした。
課題に試験勉強に、1日何時間も費やす毎日だった一方で周囲の学生はサークルやアルバイトといった活動にもたくさん参加し、遊びにも行っている。
あぁ皆は理解が早いから、きっと私みたいに時間をかけなくても勉強できるんだ。
そう思っていました。

大学の授業で課される
「レスポンスシート(課題)は埋める」
が当たり前でした。

ところがこの本を読んで、一概にも遅い・要領が悪いとは言い切れないのでは?と思うようになりました。

繊細さんから見ると、仕事のゴールまでには多くの落とし穴——潰しておくべきリスク——があります。先回りしてリスクに対応しようとするので、リスクに気付かず突っ走る同僚と比べると時間がかかるのです。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
p.167

たくさんのリスクや改善点に気がつき、1つ1つ対処する。
課題1つ取っても、「ここの助詞が連続している」「引用の書き方が間違っている」「この部分、なんとなく内容のつながりが悪い」…といったことを見つけては直し、足りない所は調べて、また書いて、また改善点を見つけて…の繰り返し。
それでも「とりあえず完成した。形だけでも提出してしまおう」という思いで提出するのですが、そこに至るまでの道のりが既に長かったのかもしれません。

でもそれは単に要領が悪いからではない。
繊細な感性でいち早く、そして多くリスクに気がつき、丁寧に対処しているから。
確実に課題の質は上がっている。

課題でも試験勉強でも、時間がかかってしまうのは負担になります。できるなら時間をかけたくない。
でも「単位を取れなかったらどうしよう…」という不安から、片っ端から勉強に明け暮れる日々。
だったら気のすむまで勉強すればいい、と思ってあらゆるすき間時間で勉強していました。

今後はできるだけそんな不安を低減しながら、自分の精一杯の勉強をしたい。
でも不安なんて、どう対処すればいいのだろう。

得意なことを活かして

頑張っても自信が持てないとき、この本は「得意を活かすがんばり」を勧めています。

得意を活かすがんばりは「自然ながんばり」です。もともと得意だから自然とできるし、努力がそのまま結果につながる。カヌーでスイスイと川を下るようなイメージです。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
p.188

仕事と同様に、課題や試験勉強でも得意なことを活かせば自然と頑張れると思うのです。

どんな方法で試験勉強をしたら私は楽しめるだろうか。
どうやって課題のレポートを書けば私にとってやりやすいだろうか。

そういったことを見つけておくだけでも、「時間がないからとりあえず片っ端から調べてとりかかろう」と言う感じで苦労することは少なくなります。

私はノートまとめが好きですが、すべての科目で時間をかけてノートを作る時間はありません。
もらった授業資料に直接書き込みつつ、暗記できるような色のペンを使って暗記ノートにする。
急いでいて乱雑になった字は帰宅してから書き直す。
別のノートに改めて重要語句だけを覚える暗記ノートを作る。

課題の主旨に沿いつつ私自身の興味があることや、調べてみたいことをメインの内容にしたレポートを書く。
アウトラインから、何について調べるかについてまで細かく決めておいて、図書館で調べるのは必要最低限にとどめる。

夏休み前にも似たようなことをやっていましたが、対面授業がほとんど初めてだった私は手探り状態で自分に合った勉強法を探し、苦し紛れに絞り出した方法として、やり方としては未完成のまま勉強せざるを得ませんでした。

でも9月末からの授業ではきっと大丈夫。
勉強が大変な理由を、勉強内容そのものに充てる必要がなくなったから。
勉強内容は大変かもしれないけれどそれは皆同じ。ただ、私が得意を活かした勉強をすればいい。

本音を大事に

「こうしたい」を大事に。
この本を初めて読んだ時からずっと、そのことが印象に残っていました。

でも、自分の本音を大事にすることって、どんなに難しいんだろう。

自分へのご褒美や遊ぶ時間はおろか、食費や食事量、休憩時間さえ限界まで削り続けるような日々を過ごして、心のどこかで「本音は”甘え”だからできるだけ抑え込んで、本音と真逆のことをするのが美徳」という思いが強く貼りついていたのだと気がつきました。

私たちは我慢すると、「我慢して偉い!」と褒められてきたから、本音に逆らうことを良しとしてきたのかもしれない。
だからといって、そこまでして自分を傷つけて、追い込んで、そんな状態で限界を迎えて、私は何をしたかったのだろうと考えなおしました。

心の底では、本音を叶えたい。
でも、もう自分の力ではどうすることもできない。
だから誰か、本音に逆行しながら迷走する私を止めてほしい。
助けてほしい。
でも、「助けてほしい」も本音だから、助けを求められない。

その繰り返しでした。

繊細さんにとって繊細さは、自分を構成する大切な一部分。繊細さを「いいものだ」と受け止めることは、自分を「いいものだ」と肯定することにつながります。
「私には、繊細なところも大雑把なところもあるよ。それが私」
そんなふうに、自分をまるごと引き受けて生きていけたらいいんじゃないか。そう思っています。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
p.208

自分を引き受けることができるのはただ一人、自分自身だけではないんじゃないかなと思います。
だから、仕事や勉強がどうであれ、家庭環境や経済的事情が何であっても、とにかく「これが私」と受け入れ、あとは無理なく、「こうしなきゃ」ではなく「こうしたい!」という思いに従って自分をより良くする。
そうすればきっと、今よりももっと豊かに繊細さと共存した生き方ができるのだろうな、と。

繊細さんは、自分の本音を大切にすることでたくましくなっていくのです。
『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』
p.222

HSP=敏感=弱い=配慮が必要。
自分の敏感さが劣等感だった私は、HSPに対しても無意識にそう感じていたのかもしれません。
ところがHSPはそうではないのです。

生きづらいのならその対策が必要ですが、その対処法を知っていれば、より繊細な感性を色々な場面で、たくさん、自分の思うままに活かしていけるのだと気がつきました。

私も今以上に他者に自分の思いを伝え、頼ることができるのならば…
今では想像もつかないくらいに強くなれるのかな、と想像します。

だから、自分を強く育てるためにも、少しずつ自分の本音を叶えてあげたいと思います。
昔の私が、「そんなに自分を甘やかすなんてありえない!」と思うほどに。

そうすればきっと、いつの日か、生きやすい世界が広がっていることに気がつけるような気がして。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?