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核兵器禁止条約について

こんにちは。FrancisFrancisです。今日は最近発効した核兵器禁止条約について興味深い議論を紹介したいと思います。まず、核兵器禁止条約の発効にあたり、尽力した市民の方々や被爆者の方々に敬意を表したいと思います。今回は「核兵器不拡散条約第Ⅵ条における核軍縮交渉義務ー核兵器の威嚇または使用の合法性事件と核軍備競争の停止及び核軍備の縮小に関する交渉義務事件に照らしてー」(著・喜多康夫、国際法外交雑誌118巻1号、令和元年5月)を読み、私なりに考えたことの紹介となると思います。

まず、核兵器不拡散条約について。核兵器不拡散条約は、核兵器の不拡散、原子力の平和利用、核軍縮を柱とする条約で現在の核兵器状況に対する普遍的な条約体制と呼べるものです。この条約の中で核軍備の縮小に関する交渉義務が定められています。この交渉義務に関して興味深い議論があるんです。

交渉義務に関して国際的には交渉実施義務交渉達成義務の2つの立場が存在しています。つまり、交渉を行うことそのものに意味があるのか、交渉によって生まれた何かに意味があるのか、という議論ですね。興味深いです。交渉はそもそも結果を求めて行うのだから交渉実施した時点で義務は達成されてるはずだっていうのがいわゆる核兵器国側の主張。結果として核軍備競争が後退していることが見えなければ交渉そのものには意味がないっていうのが非核兵器国の主張。どちらも理があるように見えますね。そもそも交渉に関しても議論があって、核兵器国同士の軍縮交渉なのか、全世界的包括的議論なのか。そのうえで、今回発効した核兵器禁止条約を非核兵器国側の交渉達成義務の結実なんじゃないのかって見方ができるかもしれないっていうのが、この論文を読んでみて僕が得た知見です。つまり核兵器不拡散条約の秩序の中で、核兵器不拡散の実現を目指して交渉を実施した結果として核兵器禁止条約が生まれ、この条約が非核兵器国にとっての核不拡散の手段になるのではないか、ということです。僕からしたら目から鱗でした。核兵器禁止条約は現状の核不拡散条約の不十分さへの反対だとばかり思ってしまい、二者択一的にものを見てしまっていたからです。
今後の世界における核兵器の取り扱いはどうなっていくでしょうか。核兵器不拡散条約が秩序である現状、核兵器禁止条約が発効したという事実、これらを見て私たちはどのような未来を想像するのでしょうか。最後までご覧いただきありがとうございました。

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