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【見えてきた日本のD2C】D2Cブランドにおいて「テック」が強みにならない未来

こんにちは、フラクタPRチームです。今回は【見えてきた日本のD2C】3連載の第2弾をお送りします。D2Cブランドにおいて「テック」が強みにならない未来についてお伝えします。

D2Cブランドを語る上で、デジタルネイティブであることやテックイネーブルド(=テック的に可能)であることは欠かせない要素です。

成功しているD2Cブランドの多くがデジタルマーケティングに長けているマーケターやエンジニアを抱え、データ分析を活用しながらブランド活動を進めています。D2Cブランドの大きな成長には、かれらデジタルマーケターやエンジニアの活躍があってこそである、といっても過言ではありません。

「テックを使う」の一般化

一方で、段々とテックが一般化していることも事実です。エンジニアが足りない、デジタルマーケターが取り合いだ、という話はもはや当たり前の話で、日本、米国共にデジタル周りの人材はかなりの売り手市場といえます。
しかし、テックを使いこなすことが当たり前となり、テクノロジーのコモディティ化が進んでいくと、ブランドのコアとなる要素に、テックイネーブルドであることを組み込むことはリスクが出てきます。
それは、テックを使うことが「当たり前」になりすぎてしまうからです。当たり前になったものをわざわざ話すのはクールではありません。

また、たとえデジタルマーケティングを最大限使いこなし、テックイネーブルドな状況を実現する事で「モノを売る」ことには長けたとしても、商品を供給する側を疎かにされがちです。
自社のブランドと商品への需要が高く、供給が追いつかないという事実は、その瞬間は喜ばしいものです。しかし、顧客はすぐに商品を手にできず、長く待たされてしまうことも考えられ、彼らがほかのブランドに流れて行ってしまうリスクは否めないでしょう。

テクノロジーを商品の供給、すなわち生産管理やMDにも活用することも、これからどんどん必要になってきます。

株式会社FABRIC TOKYO 代表の森さんのブログにて、Glossierの組織戦略に触れられています。

Glossierの組織戦略は「従業員の37%はテクノロジスト」。
未解決な顧客ニーズを特定するためにより適切なデータ収集を目指し、デジタル分野に特に力を入れている。顧客ニーズが特定されないと商品の開発をスタートさせないという徹底ぶり。

引用元 - D2CコスメブランドGLOSSIERが、全米の若い女性のハートを鷲掴みできた理由。D2C(DIRECT-TO-CONSUMER) マジメな話 2018/11/26

また、こちらの記事ではスニーカーの『Allbirds』について語られています。
『Allbirds』はテクノロジーを活用する、というだけでなく、シリコンバレー発祥という文化的背景を活用し、シリコンバレーのテック関係者たちに支持されるブランドとして成長しました。

ブランドがデジタルネイティブであることが当たり前に

テクノロジーに関するあらゆる側面を最大限活用する。このような状況下ではもはや「テック」は強みや差別化ポイントではなく、完全に「当たり前のもの」「なくてはならないもの」になっていくとも言えます。

そうなれば、D2Cにおいて「テック」はもはや強みにも何もならないでしょう。ほとんどの事業者がECを活用しているのと同じように、D2Cブランドでは、データサイエンスやCRMの活用も併せて当たり前のように活用される。
テックを活用することを目的とするのではなく、あくまで手段とし、あらゆることに適応していく。
大手企業がデジタルトランスフォーメーション *を進めていますが、これらはいかに過去から積み上がってきた成功フレームワークを現代に合わせて最適、変形化していくかが重要なテーマになっています。しかしD2Cブランドやスタートアップブランドはデジタルネイティブなブランド作りが可能です。

テックがあることがもはや当たり前。
デジタルネイティブだからこそできるブランド作りが今後D2Cの世界では求められていくと私たちは考えています。そのためには、ブランドの立ち上げ段階からデジタルネイティブであることを前提とした組織体制の構築が必要不可欠といえます。

* デジタルトランスフォーメーション
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という意味を表す概念

▽【見えてきた日本のD2C】3連載第1弾はこちらからご覧ください