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私の00smusic#51

#501 Hyperdrive! by Devin Townsend Project

当時のデヴィンは、アルコールやドラッグで、クリーンな状態を保つのが難しかったようで、彼のバンドやStrapping Young Ladも止めてしまい、一線からしばらく身を引く選択をしてしまう。その後、落ち着きを取り戻しながら、楽曲制作を始め、2年ほどの間に60曲程度の曲が集まり、それらは4つの異なるスタイルに分かれていることを発見し、自身のProject名義でこれら4作品をリリースすることになった。これはその2作目Addictedからで、元The Gatheringのオランダ人女性ボーカリスト、アネケ・ファン・ギアースベルゲンをゲストに迎える。この4作品の中でも最も商業的な作風で、これまで続いてきた精神的でプログレッシブなスタイルから、突然かなりキャッチーさを戻してきたため、Infinity時代が帰ってきた!というような印象を持つリスナーも多かった。

#502 Sparkle Me by Buffseeds

イギリスのインディポップバンドの唯一作The Picture Showから。当時の聴いた印象からすると、ジャケットの印象も含めて、音楽のスタイルは違えど、Mewと重なる美的センスを感じたというか。物憂げな感じや中性的なボーカルもそうだし。グラントンベリーに出演したり、それなりの活動はしていたようですが、間もなくチェリストも加えたIkoというバンドに活動を移行させていったようです。

#503 The Day It Snowed by Amusement Parks on Fire

イギリスのミュージシャン、マイケル・フィーリックのソロから発展したバンドのセカンドアルバムOut of the Angelesより。作品はいくつかの録音の後に、シガーロスが所有するスタジオに移って、1ヶ月かけて完成させたのだとか。個人的には、00年代のシューゲイザーの代表的な作品の1つだと思っていて、冷えたサウンドスケープと、エモーショナルで澄んだわかりやすいメロディが絡んで、美しい作品。ジャケットに日本語で「見かけの大きさの変化」と書かれていますが、今だ意味はわかってません。

#504 Unreachable by John Frusciante

00年代のジョンは、レッチリでの活動と平行して、ソロ作品の制作に意欲的に取り組んでいて、中には半年の間に6作品を次々リリースするという時期もありました。こうした中で、この年代一番最後にリリースしたのが、本作The Empyreanであり、個人的には彼の集大成的な位置付けの作品だったりします。内省的で彼の精神世界を繰り広げたコンセプチュアルな作風で、全体的にサイケなムードが漂っています。これまでもどれもジョンらしい佳作が多かったですが、ここではさらに熱のこもった内容とギタープレイが聴けます。そして、このリリースの後、ジョンは二度目のレッチリの脱退をします。

#505 Pretty (Ugly Before) by Elliott Smith

ミュージシャンの訃報は、いつだってショッキングなものです。そして、その後にリリースされる遺作は、喪失感に引っ張られて、それが印象に強く残ります。また彼の楽曲は、繊細にして、生前の苦味やトラウマが深く、その事実が一層染みてしまうような雰囲気だったりします。このアルバムFrom a Basement on the Hillは、2枚組の大作になる予定だったそうで、その制作の途中段階での未完成の編集作ということで、ゴールになるはずだった未知の完成品が、知る限りだけでも傑作の予感がしていただけに残念でした。どうか安らかに。

#506 We Can Have It by The Dears

夫婦2人を中心にして結成したカナダ・モントリオールのインディロックバンドのセカンドアルバムNo Cities Left より。ボーカルがやや似てるのも手伝ってか、モリッシーと比較的されたりしてるみたいだけど、ポストロック的要素があったり、バロックポップ的な装飾があったり、聞き所が多く楽しめるのも良いとこですね。こう聴くと、アーケイド・ファイア始め、モントリオール周辺のバンドは、結構共通の音楽的な個性がある気がします。観に行ったカナダのバンドが集結していたイベントCanada WETにも出演していましたね。

#507 Empty by Metric

カナダ・トロントのバンドのセカンドアルバムLive It Outより。本国の音楽賞からのノミネートや、NMEを始めとするメディア筋からも称賛を受けていました。00年代らしくシンセを使ったニューウェーブ感もありつつも、かなり尖ったオルタナギターロックを交えたりしていて、結構これがかなり格好良くて、新鮮な感覚をもたらしていました。この年代のアルバムリストの中の上位に入ってきてもいい作品。

#508 Home 0207 by Plastic Operator

カナダ人とベルギー人によるエレクトロポップデュオのデビュー作Different Placesより。あんまり情報がないけど、チープでシンプルなエレクトロサウンドに、ポップを掛け合わせて、軽快に爽やかに鳴らされるチューンの絶妙さ。エンターテイメント意識も高くて、聴く人を笑顔にして、和ませていく。こういうのはもう人柄とセンスなんだろうな。

#509 Such Great Heights by The Postal Service

Death Cab for Cutieのベン・ギバードとステージネームDntelで活動するエレクトリックミュージックアーティストのジミー・タンボレロによる作品Give Upより。当時デスキャブに引っ張られて手に取ったので、まさかエレクトロだとは思ってなかったのが第一印象。でもベンが運ぶ歌心とトーン、優しく奏でる弦楽器が、エレポップとこんなに気持ち良く溶け合ってるのはすごく印象的で、また100%デジタルになっているわけではなくて、その時に混じり合うデジタルとアナログの心地好さみたいなとこが良い印象。これ、アメリカではミリオンセラーアルバムなんですね。良い音楽、良いアルバム。

#510 What Will Give by The Radio Dept.

スウェーデンのドリームポップバンドのセカンドアルバムPet Griefより。当初はきちんとリズム隊もいたバンドで、デビュー作を飾り、NMEなどのメディアから絶賛されていたものの、その後メンバーが次々抜けてしまい、抜けた分はデジタルな音作りで対応しながら、次の本作を完成。メディア受けは前作ほどは良くなかったものの、ネットの口コミで次第に支持を得た模様。個人的に受けた印象は、淡いトーンの映画のサウンドトラックが似合いそうな、リヴァーブの利いた冷めた景色で、良い感じに親しみやすく、また良い感じに脱力出来る好盤という感じ。


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