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私の00smusic#55

#541 Experimental Film by They Might Be Giants

ジョン・フランズバーグとジョン・リンネルによる音楽デュオの10作目The Spineより。話は少しずれますが、ゼロ年代の彼らといえば、児童向けの音楽アルバムやその音楽に盛り込んだアニメーション映像を積極的にリリースしていて、どれもゴールドディスクになるようなヒットになり、グラミー賞でも児童音楽部門で受賞するような評価を受けていたのが印象的。あとは個人的には、この作品の時のライブを観ることが出来て、トークに笑いも絶えず、彼ららしいエンタメ性溢れたライブで、めちゃくちゃ楽しかった。当時自分で残したメモには、地方廻りの営業のよう、と書いてあった。確か訪れた土地についての即興曲とか、さらっとやっていた気がする。

#542 Learning the Hard Way by Gin Blossoms

アリゾナのパワーポップバンドの再結成1作目、通算4作目となるMajor Lodge Victoryのリーダートラック。個人的には彼らを知った時は、もういないバンドでしたので、この10年ぶりの新作はなかなか印象的でした。2作目がヒットしたのは92年の話なので、それがリスタートでどういう風になるのかという興味と、恐怖がありましたが笑、フタを開ければ、何にも変わらない彼ら。むしろ爽やかさが増すという内容だったので、歳食っても相変わらずだなあという結果に。今までになかった青系のジャケットが印象的で、それが全てでした。

#543 Stand Up and Be Strong by Soul Asylum

ミネアポリスのバンドの9作目Silver Liningよりリーダートラック。オリジナルベーシストのカール・ミューラーが癌闘病時に制作され、残念ながらその遺作になってしまった作品。90年代に残したメジャー在籍時の輝かしい4作品から、8年の間を開けて本作がリリースされて、正直フェイドアウトした感覚も否めなかったところに、力強いギターロック楽曲を展開。今一度シンプルな方向に回帰したかのような、気持ちの入れ直し様も伝わる、王道のアメリカンロック。

#544 Can't Get You Out of My Head by Silver Sun

イギリスのパワーポップバンドの3作目Disappear Hereから。独自のボーカルハーモニースタイルのパワーポップと、そこから想起されるファンタジーが印象的だったメジャーレーベル作品のあの2作品から7年、ジェームス・ブロードが1人で全部手掛けたハンドメイドな作品。これだけの間が空いてもなお、単独でこんなかつてと寸分の狂いもないような、完全無欠のクオリティを作り上げてくる才能は、もはやブライアン・ウィルソンやジェフ・リンレベルで凄いんじゃないかと思ってて。以降の作品もずっとそうだけど、自分が遂げるべきスタイル、強みには絶対の自信がある風にも聴こえるし、そういう信念の持ち主という印象でもありました。知る限りのキャリアの最初からずっと完成されてる印象なんですけど、どこでこのスタイルは固まったんでしょうね。

#545 We've Got to Get Out by Maritime

元プロミス・リングと元ディスメンバメント・プランのメンバーで結成されたバンドのデビュー作Glass Floorより。共に解散後に集結した新バンドの作品だったものの、周囲が期待していたものとは違っていたようで、リリース先がなかなか決まらなかったそう。それまでのキャリアとは違った、すっきりしたポップロック作品だったためかと思うんですが、個人的には思いがけず良作に出会った気分。これに続く作品も聴いてみると、良い作品が続きますが、これがやっぱり一番かなあ。ジャケットもおしゃれで好き。

#546 Rifle Called Goodbye by The Minus 5

93年にヤング・フレッシュ・フェローズのスコット・マッコーイを中心に、ポウジーズの2人やR.E.M.のピーター・バックも加わり、サイドプロジェクト的に始まったシアトルのポップロックバンドで、7作目セルフタイトル。参加ミュージシャンは一定というわけではなく、わりと自由な活動スタイルのようです。かつてはウィルコとのコラボアルバムもありました。本作は60年代ブリティッシュインヴェイジョンに影響されたポップロックをやりつつ、スライドギターも入ったアメリカンフォークロックな楽曲なども交えたような作品。

#547 SOOMA (All This Vision) by Jackdaw4

かつてハニークラックや、ワイルドハーツのジョン・プールとダウリング・プールとして活動していたウィリー・ダウリングのパワーポップバンドの2作目Bipolar Diversionsより。クイーン、E.L.O.などと同様のゴージャスなハーモニーに、フックが利いたポップメロディが印象的な作品。あんまり知名度がないかもしれませんが、この完成されたエンターテイメントが好きなら、是非ともジェリーフィッシュとかと一緒に、手元に置いておきたいところ。

#547 Pick Me Up by The Clown

スウェディッシュポップバンド、レイ・ワンダーのソングライター、ヘンリック・アンダーソンの作品Clownismから。まあレイ・ワンダー聴いてた頃から随分時が過ぎてのリリースでしたから、正直、おーまだ生きてたのか!という印象が真っ先に来たのですが(失礼)、こういうクリエイティブな反応の生存確認は嬉しかったりするものです。しかも、あの頃よりクセが少し抜けつつ、ブラッシュアップされたポップレコードということで、佳作を作り上げて帰ってきたことに拍手。

#549 Get into My Life by The Winnerys

スペインのポップロックバンドの2作目Daily Urban Timesから。昔のビートポップやマージービート、パワーポップという、型こそ先人から借りてきたものそのままだけど、そこから自分たちで紡いだメロディとハーモニーを使って、我が物として今に魅力的に聴かせるという姿は、驚くほど潔さも感じつつ、なんて素敵なことだろうとか思ったりして。実際このような露骨な60s憧れバンドは決して少なくないけど、ある程度わかりきったメロディ展開や、そのやり口の中で、それでもこのバンド良いなあって思わせちゃうのは、彼らの実力ですね。

#550 Fast Asleep by The Rosenbergs

ニューヨークからのパワーポップバンドのファーストアルバムMission: Youより。バイオを探しても、あまり見当たらなくて、活動がよくわからないんだけど、アルバム全曲に渡って、こんな切なく彩りあるメロディとキャッチーな楽曲は、もっと数多くいたはずの90年代からのパワーポップファンをざわつかせていたかもしれない。もう5年早ければなあという感じかも。


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