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私の00smusic#57

#561 To Build a Home by The Cinematic Orchestra

ジェイソン・スウィンスコーを中心に結成されたイギリスの音楽グループで、ジャズとエレクトロニカを合成したジャズトロニカというサブジャンルで知られているグループだそうで、3作目となる本作Ma Fleurは、ストリングスやゲストボーカルも交えて、愛と喪失をテーマにした架空の映画のサウンドトラックとして制作された作品だという。
落ち着いたトーンで、繊細に連なる音描写、そういうサントラの侘び寂び感、光と影のコントラストがまた美しく、心地良い。このアルバムジャケットの写真そのままの世界観とも言えるかも。

#562 Tonight I Have to Leave It by Shout Out Louds

スウェーデン・ストックホルムのインディポップバンドの2作目Our Ill Willsより。
ニューウェーブなシンセとメランコリックなポップメロディで、からっとカラフルに彩られている音色の部分と、何となく憂鬱な気分の部分が両立しているのが印象的。この辺のバランス感覚は、やはりスウェディッシュポップならではという感じなのかな。

#563 The Walls Are Coming Down by Fanfarlo

ロンドンのインディバンドのデビュー作Reservoirより。
室内楽的チェンバーポップを絡めたフォークロックに、電子音も混ぜたり、ポストパンクな楽曲があったり。そうした全体の統一感もありながら、バリエーションも用意されていて、聴き飽きない。ゼロ年代後半には、比較されやすいアーケイドファイアのようなアート音楽集団がちらほら登場してくるけど、そうした中でもこの作品は、名作の部類なのではないかと。
ジャケットの右側の女性は、かつてシガーロスというバンド名に起因することにもなるヨンシーの妹さんなんだそうで。アルバムデザインセンスとそういう意識の高さも、なんか良いですね。

#564 Everyday by Vetiver

90年代のサブポップは、オルタナロックやポップパンクレーベルのイメージが強いですけど、ゼロ年代の後半終盤あたりになると、フリート・フォクシーズを始めとする良質なインディフォークもサポートしていて、このグループもそういった流れにあったんだと思います。
アンディ・キャビックというシンガーソングライターを中心に結成されたサンフランシスコのフォークグループで、本作は4作目となるTight Knitより。フォークらしい風通しの良さとゆったりした空気に加え、ビートが乗ったキャッチーなポップスのセンスも持ち合わせてて、とても良い作品。

#565 I'll Believe in Anything by Wolf Parade

カナダ・モントリオールのインディバンドのファーストフルアルバムApologies to the Queen Maryより。これはこの年代の代表的なインディ作品の一枚と言っていい秀作ですね。
作曲センスも、全体の出音のバランスも、緊張や緩急の作り方も絶妙な感じ。ボーカルに少々クセはあって、展開も少し独特だけど、終始鳴っているキーボードの絡みは、楽曲に色とキャッチーさを与えている感じで、聴きやすさがある。
ピッチフォークなどのメディアからは絶賛されていて、カナダの音楽賞でもアルバムがノミネートを受ける快挙。

#566 Hurricane Judy by Future Clouds and Radar

アメリカ・オースティンのポップロックバンド、コットン・メイザーの中心人物ロバート・ハリソンが、その解散後に作ったバンドのセルフタイトルの2枚組作品。
前のバンドと同じように、得意とするビートルズから影響を受けたようなポップロック曲と、さらに広げたようなサイケな世界観とサウンドエフェクトが展開されてるような作品。
バンド解散後の作品制作で、アルバム分量を2枚組に広げていったということを考えると、もっとやりきってやろうという強い意欲を感じずにはいられないかも。
それにしても、ジョン・レノンにも似たボーカルということで繋がり続けるミュージシャンとしての運命みたいなものを、この人からは感じるなあ。まあ実際、とても好きなんだろうけど。

#567 You and Me by Vega4

北アイルランド、アイルランド共和国、カナダ、ニュージーランド出身のメンバーからなるロンドンで結成されたバンド。メジャー作品が2作出ていて、本作は2作品目You and Others。プロデューサーはジャックナイフ・リー。
コールドプレイやスノウ・パトロール以降の澄んだ歌ものUKロック。この手の感じは、ゼロ年代にメジャーレーベル主導で、多くのヒット楽曲を生んでいったイメージだけど、彼らの場合はあまり上手くいかなかったようです。アメリカのテレビドラマに曲が使われたり、良い曲もあったんですけどね。

#568 I Am Warm & Powerful by Someone Still Loves You Boris Yeltsin 

ミズーリ州スプリングフィールドのインディポップバンドのファーストBroomより。これはたまたまSpotifyで流れてきたのをキャッチしただけで、何にも彼らのこと知らなかったんですけど。
何となく90年代のウィーザー、ペイブメント以降を感じさせつつ、まあまあヘロヘロなんですけど笑、メロディセンスもあって、アレンジのハーモニーも、素朴でのんびりした空気も含めて絶妙で、全編聴いてて心地良すぎて、これはヤラれたなあと。アコギも鍵盤も使い方が素敵。まさに良質なインディポップ。

#569 Heavy Lifting by Ambulance LTD

ニューヨークで結成されたインディバンドのアルバムLPより。
レーベルが破産したり、メンバーが脱退したりして、その後上手くいかずに、出ているアルバム作品はこれだけですが、個人的には名作に挙げたい1枚。
かつての60年代や70年代のイギリスのロックバンドやベルベット・アンダーグラウンドにあったような独特な空気を多分に含みつつ、ドリーミーなレイヤードロックを展開。

#570 Peace and Hate by The Submarines

ボストンでそれぞれ活動していた2人のミュージシャン、ジョン・ドラゴネッティとブレイク・ハザードは友人の紹介で知り合うことになり、一緒に活動を始め、やがて恋仲に。
それから4年後、ロスへ引っ越した頃には破局。別々の活動の形になるも、ブレイクはその後もジョンの個人スタジオを使っていたこともあって、お互いがお互いの書いた曲で、別れた悲しみを知ることとなり、二人で形にすることを決意。そして復縁して結婚することに。
結婚祝いのマスタリングをしてもらって、デビュー作Declare a New State!の完成。心は離れても音楽では繋がっていた、まるで恋愛映画の筋書きのようなお話。


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