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教えの中身を変えるのでなく伝え方を変える

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東京出張の際に築地本願寺に行ってきました。
築地本願寺の改革は、カンブリア宮殿にも取り上げられたもので、お寺から発信していくという点で注目していました。
改革を手がけたのは、三和銀行やコンサルティング会社の島本パートナーズなどを経て、偶然の機会から築地本願寺の宗務長に就任された安永雄玄さんです。

境内に鬱蒼と生えている木々を伐採し、フラッとやって来た人でもどこに行けばいいのか分かるようにインフォメーションセンターを設けたりしました。
また以前から発行していた広報紙を手に取りやすいサイズに変更したり、アプリを開発して一定回数お参りするとメリットが合うような仕掛けも作られました。
改革の途中では、お寺は商売じゃない!と反対もあったようですが、成果が見えることで理解も深まったそうです。

安永さんが改革の中で大事にされたのが、「価値の根幹になる部分を大事にする」ということです。
会社で言えば経営理念でしょう。お寺であれば仏教としての考え方になります。
仏教を利用するのでなく、仏教の教えに根ざしたお寺の運営・経営を図っていくということだと思います。

先日のコラムでも書きましたが、お寺が「死んでから」関わりを持つところになってしまっています。
そこを生きているうちに興味を持って来てもらえるようにした取組が築地本願寺なのだと思います。

私がうかがってインフォメーションセンターに行くと、ちょうど定例の法話会が開かれるところだったので聴聞しました。
入り口のプリントを取ってみると、法話会の進行が書かれ、読まれるお経も全て書かれていました。
また、法話が始まる少し前にスタッフの方が今日の講師の方の話す内容のプリントを配られます。
会場は、それほど大きくない会議室のような所でしたが、小さい机がついた椅子が配置され、その机の上にはタブレットが置かれていました。
タブレットはGoogleフォームの画面になっており、今日の法話会の感想が入力できるようになっています。

法話会そのものは私の所属する真宗大谷派の本山などでも開かれています。
ただ今まで縁が無かった人にどうやってアプローチするか、その人達がやってくる気持ちのハードルをどう下げるか、十分な体験をして帰ってもらえるか、というところは築地本願寺のようにはいっていないと思います。
築地本願寺にしても、ウチの本山にしても、私のお寺にしても、仏教を中心として仏教の教えを大事にしているところは変わりません。
その教えの伝え方について、現代に合わせたやり方に変えていっているのだと思います。

春に親鸞聖人の御遠忌法要に合わせて、京都国立博物館で親鸞展が開催されていて、可愛い可愛い嫁と一緒に見に行きました。
その時に様々な仏様や高僧を一枚の軸に収めて描いたものがありましたが、中央から周りに向かって光線が表現されていて、現代的なポスターの様にも見えました。
また、親鸞聖人は自分の研究成果は教行信証として漢文で書かれていますが、民衆に対しては和讃という節を付けた唄で伝えています。

教えそのものの中身を変えてしまうのはもっての外ですが、どうすれば今の人に伝わるのか、それを考えたのが親鸞聖人であり、築地本願寺なのかな、と思いました。

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