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家計診断 #4(贈与の絡んだ住宅ローンの返済)

ウマいFP山内による勝手に家計診断シリーズ4話です。
これは私個人にではなく掲示板にでている相談内容で、
私だったら、どのようにアドバイスをするかを書くものです。
今回はこちら

質問者様(男性)が返済者、配偶者様が父から贈与を受ける予定で、それを返済にあてる。
その場合の贈与税や登記変更費用や返済の利子の関係上、
どれが一番コストがかからないかを問われる質問でした。
なかなか面白い題材でしたので取り上げました。

相談内容

住宅ローン(セカンドハウス)の返済の方法について
質問者様(男性)の配偶者様の父の住居(2100万円)を購入した。
妻の現金500万円、残りの1600万円を質問者様のローンで購入。
持ち分として質問者様は3/4、配偶者様は1/4とした。
セカンドハウスローンの金利1.02%、借入期間20年。
配偶者様の父から贈与を800万円受けて、繰り上げ返済にあてる。
配偶者様の父の財産は2500万円以内。
繰り越し返済もしながら4年間で返済したい。

①返済方法について、800万円を一括返済 or 分割で繰り上げ返済か
②名義変更の諸費用と利息を加味してどうすれば安くなるか
③贈与の受け方は暦年贈与か相続時精算課税の方法のどちらがいいか
④数年に渡って返済する場合のシミュレーションがわからずにうまく計算できない

補足

① 相続時精算課税制度について
メリットは生前贈与する際に2500万円までは贈与税がかからないのと、
2500万円以上の贈与部分については20%で済む(安い)。

デメリットは暦年贈与が使えなくなる。
(暦年贈与とは贈与する金額を年間110万円以内にすることによって、税金がかからないようにするものです。贈与税は110万円の基礎控除がある)
また、贈与税としては安い(あるいはない)が、相続の際に課税総額にこの金額が加算されるため、課税総額が3600万円以上ある人は要注意です。

また、義理の親からは相続時精算課税制度は使えない。
(養子になれば可能)

② 持ち分変更について

今回は質問者様と配偶者様は住宅の持ち分を75%と25%で設定し、
妻は現金で500万円、残りの1600万円は質問者様はローンで返済予定。
この購入時点での贈与関係は計算上ない。

また、持ち分比率を変える行為は配偶者間でも基本的に贈与になるが、
配偶者間で移動した持ち分をお金で支払えば(持ち分をお金で交換)、
財産の交換なので贈与税は発生しない。

③ 基本的には返済者は質問者様

相続時精算課税制度を使って配偶者様がお金を受け取る場合、
そのお金で配偶者様が銀行に返済するのではなく、

そのお金を質問者様に贈与するか、持ち分との交換に使い、
質問者様が返済する。

④ 贈与の受け方はほかにもある

質問者様が義父から800万円の贈与をうけとる方法もあるし、
質問者様と配偶者様が同時に110万円ずつ暦年贈与をすることもできる。

⑤ 登記変更にはお金がかかる

一度に5万円前後の費用を想定する。何度も行う場合は、
相見積もりをとって、安いところを探す。


アドバイス内容

下記の通りに場合分けをしてコストの低そうな選択肢を選ぶ

① 持ち分比率を変えてもいい場合
(贈与税はかからないが、登記変更をする必要がある)
② 持ち分比率を75対25で維持したい場合
(贈与税はかかるが、登記変更をする必要がない)

① 持ち分比率を変えてもいい場合
A 妻の父から、妻と自分が110万円ずつ合計220万円ずつの贈与を受けて、
その220万円分を繰り越し返済して、110万円分の持ち分を妻に譲渡する。
これを4年間繰り返す。コストは5万円×4=20万円

B 妻の父から、妻と自分が110万円ずつ合計220万円ずつの贈与を受けて、
3年間は毎年110万円分を繰り越し返済して、4年目に550万円の繰り越し返済して、440万円分の持ち分を妻に譲渡する。
これを4年間繰り返す。コストは5万円(利息がAより若干かかる)

C すぐに妻が相続時精算課税制度で800万円の贈与を受けてあなたがそれを受け取って一括返済し、持ち分を800万円分変更する。(贈与税なし) 
コスト5万円(AとBより利子が少ない)

② 持ち分比率を75対25で維持したい場合

D 妻の父から、妻と自分が110万円ずつ合計220万円ずつの贈与を受けて、
妻から自分に110万円贈与してもらって、その220万円分を繰り越し返済。
これを4年間繰り返す。ただし、夫婦間贈与税が発生しないように前もって妻の口座から生活費として使うようにして自分の口座に少しずつお金を動かすようにして工夫する。
コストは特になし。

E 妻が相続時精算課税制度で800万円の贈与を受けて贈与税無しで持ち分変更しない。(妻からあなたへの贈与に対して贈与税が発生する)

贈与税(800-110)×0.3-90=117万円

F 自分が義父から310万円、310万円、180万円の贈与を3回受けて返す。
贈与税20万円×2+7万円=47万円 

G 自分が義父から800万円の贈与を受けて返す。
贈与税(800-110)×0.4-125=151万円

結論


① 持ち分比率を変えてもいい場合

ノーコストのCが当然有利。
次にB、Aとの利息差が15万円未満でしたので
少しBが有利。

② 持ち分比率を75対25で維持したい場合

Dが一番いいです。利息が一番少ないのはEですが、4年で返すなら、
利息は33万円未満のため、Dが総コストが一番安くなります。

結局総合的に見て、Cが利息が一番安くてコストが5万円で、
その次にDがいい。利息がCより少し(10万弱)高めでノーコストである。

今回のように贈与税をかけずに持ち分比率をかけるか、
贈与税をかけて、持ち分比率を維持するかによって結果が変わります。

こういったケースではよく考えて返済をしましょう。

今日も読んでくれてありがとうございました🙌🐴














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