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「老い」は克服せずにシェアしよう

たいへんなデータがあります。日本人の死亡率はどれくらいか知っていますか?…100%です。
上智大学・デーケン神父が話の導入につかう、十八番のフレーズだ。私たちは、みな、いずれ死ぬ。デーケン氏は、死をタブー視する現代日本人に、死生観形成の大切さを説いてきた。
そんな全ての人にやがて訪れる死の前に、ほとんどの人が迎えるものがある。「老い」だ。人間は生まれた瞬間から老いる運命にある。そして、その老いも、現代では負の意味付けをされることが多い。ましてや高齢化は進み、自身の「老い」のみならず、歪な社会構造としての「老い」とも向き合わねばならない。

先日、「つながりが切り拓く未来#01 テクノロジー×シニア 変わる僕たちの働き方」と題したイベントが開催された。三人の登壇者、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュさん、東京大学先端科学技術研究センター専任講師・檜山敦さん、ランサーズ株式会社代表取締役社長CEOの秋好陽介さんを迎え、テクノロジーを駆使したシェアリングエコノミーが可能にする、シニアを巻き込んだ働き方の変化について語り合われた。(イベントレポートは以下)

興味深いデータや事例の中、特に印象的だったのは、「テクノロジーで人口ピラミッドをひっくり返す」という檜山さんの言葉だ。石山さんが伝導する「シェアリングエコノミー」、檜山さんが実践する「GBER」なるシニアの社会参加を促進する取り組み、秋好さんが経営するオンラインマッチングビジネス。ほかにも三者三様の話において共通するのは、テクノロジーの有用性だ。
27歳にしてテクノロジーに置いてけぼりになりがちな私は、片仮名が登場するだけで一歩引いてしまう。
しかし、社会の構造上、隅の方に溜まっていってしまいがちな「老い」を爆発的に変換させるには、なるほどテクノロジーの力が欠かせないのだと納得する。そこで可能になるシェアというのは、一つのものを共有できるだけでなく、物事の見方に二面性を持たせられるのか。たとえば、余りがちなシニアの労働力も、即した場があれば経験の詰まった貴重な財産だ。

どれほど医療技術が発達しても「死」には抗えないのと同様に、我々は、「老い」もどうやったって克服できない。ならば、死生観を形成するように、老成観も養いたい。
さようならアンチエイジング。グッバイ若づくり。「老い」をシニアに独り占めさせず、テクノロジーによって社会でシェアする。そこで映し出される新たな価値観こそ、これからの生涯の働き方を変えるかもしれない。

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