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ミシンでたのしい小さな絵本のつくりかた

このたび、絵本をつくった。出版社で製作の仕事をしていながら、自分で1からつくるのは初めてだ。
藝大の講義(DOOR=Diversity on the Arts Project)で制作物の課題があり、班の仲間と大きなコラージュ絵本を制作。その流れで、配布用の小さなものをつくることになったのだ。
今回つくったのは、B5の紙4枚を半分に折ったサイズ。思いのほかカンタンでたのしく仕上がったので、手順をここに記す。

1. [構想] お話を考える


どんな絵本にしたいかな?まずはお話を考える。一番頭を使う時間。
今回は、課題テーマ「現場を伝える」に沿って、取材対象である風テラスで見聞きした内容をもとにチーム3人でうんうん唸りながら構成を話し合った。(結局なかなか固まらず、見切り発車で2の行程に入ることに…↓)

2. [制作] 絵と文をつくる


大体の構成を決めたら、絵と文を考える。手を動かすワクワクする時間だ。
今回は、全部で話6頁+表紙+裏表紙で計8頁ぽっきりのみじかい絵本。
絵の部分はコラージュで制作し(なんと、たった6枚に朝から晩まで丸2日作業!)、そのあと絵を見ながら文章を決めていくというやり方をとった。
文章は、想像の余白をのこすため、575の短い文+百人一首の下の句を組み合わせることに。

3. [構成] レイアウトを決める


絵と文をどのように配置するか?フォントはどうするか?頁番号は?サイズは?本のレイアウトは、少し調整するだけで、全体の印象がガラリと変わってくるから不思議。
魑魅魍魎としたコラージュ絵の邪魔にならないよう、文章はグレーで控えめに置いてみる。パソコン画面だけでなく、実際に印刷してみて、感じ方を確かめていく。
構成が終わったら、PDFで1頁ずつ書き出し保存する。

4. [印刷] 順番を整えプリンターで出力

いらない紙を折ってみて頁の順番を確認し、印刷する順番を決めてPDFを配置。今回は、表紙・裏表紙も含めて8頁、左頁は余白とするため、こんな感じの順番↓

両面印刷でこの順番になるように、I♥PDFなどのオンラインサービスを使ってPDFを結合する。本当はキンコーズなどの印刷サービスに出したいところだが、配布用ということもあり普通のプリンターで簡易出力した。
ちゃんと頁が通っていることを確認し、改めて必要部数分を印刷。

5. [製本] ミシンで縫って半分に折る

さて、個人的には、ここが最も楽しい行程であった。
絵本やノートなどで使われる製本手法の一つに、「ミシン綴じ」というものがある。これ、家庭用ミシンでもできないかな〜と思って試してみたら…普通にできた!
真ん中を縫う。2つ折りにする。以上!結構カンタンにできて楽しい作業である。

できあがったのがこちら。最近はZINEなどと言うらしいが。小冊子とか絵本でいいじゃないか。

5+ ミシンのポイント

適当にやっていくうちに見つかったポイントは以下の通り。
①ゆっくり縫う
布より目が細かいうえに破けやすいので、スピードは一番遅くするのが無難
②幅・縫い目は最大
紙はどうしても針穴が大きくなってしまうので、間隔は多めにとる
③表紙・裏表紙を上にする
外側の縫い目の方が目立つので、表紙・裏表紙側に綺麗に縫い目が出るようにする(おそらく糸の調子を調節する方法があるはずなんだが、私は知らない…)
④返し縫いはせず端は切りっぱなし
返し縫いをするとどうしても目立ってしまうので仕方なく切りっぱなしに。
してみたところ、手作り感が出てなかなか素敵な印象に仕上がった
⑤両側からクリップで留める
紙がずれないように、整えた上でクリップで固定(跡がつかないよう握力の弱いクリップがあるとベター)

今回は4枚8頁(表紙含む)B5二つ折りで作ったが、頁数やサイズを変えてもOK。普通のコピー用紙で10枚くらいまでなら縫えると思う。
紙を切る行程が発生するが、正方形でつくっても可愛いのではないか?と次回作を企み中…

●オマケのお知らせ●


ちなみにこの絵本、ほかの班とともに、一般公開の成果展が決定!大型絵本、原画コラージュを展示する予定なのでよかったら覗きにきてください。

<詳細>
|期間:2/19 (火) ~2/25(月) 
|時間12:00~18:00
|場所:DOOR(〒110-0002 東京都台東区上野桜木1-7-5 ハウス上野の山 B1)

また、今回紹介した簡易出力のミニ絵本が欲しい方は気軽にお声がけを!コラージュの著作権上全文公開できないのですが、ご興味あればデータを送ることも可能です!

ありがとうございます。貴殿の貴重なサポートは狐の餌代に回させていただきます。