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コワーキングスペースの開放性と閉鎖性のバランス

はじめましての方も、いつもお世話になってる方も、こんにちは。
3.11に伴う原発被害により一度はゴーストタウンになった状態から再興途中の町、福島県南相馬市小高区にある泊まれるコワーキングスペース「小高パイオニアヴィレッジ」のコミュニティマネジャーを務める野口福太郎(のぐち ふくたろう)と申します。

働き始めてはやくも9ヶ月ほどたって、ある程度知見が溜まってきたのでコワーキングスペース運営者のアドベントカレンダーなるものに参加させていただきます。

僕が運営者となって感じるコワーキングスペース運営者に求められることの要素に、タイトルにも書いた「開放性と閉鎖性」のバランスを保つことの重要性を提唱したいと思います。

主に3つの観点からお話します。

①心理安全性
②機能とエネルギーの集約
③誰がバランスを保つのか

①心理安全性

コワーキングスペースはCo-Workすること、必ずしも協業をすることはなくとも空間やその場所に集う価値観を共有する、ゆるい共同体、コミュニティが生まれます。

会員制などにしている場合は顕著ですが、その空間が物理的な使い勝手の良さもさることながら、精神的な居心地の良さをどれだけ持つかがリピートを生み出す上では重要です。

ここが「いつもの場所」だったり「サードプレイス」だったり「私のナワバリ」だったりグラデーションはあれど、「ここに自分がいてもいいんだ」と思ってもらうことが重要です。

それにはある程度の閉鎖性が必要です。
例えるなら学校のクラスみたいな感じ。20~40前後の人が、性格も価値観も違えど○年○組、一緒のクラスという箱にいる、それだけで共同体として成り立ちます。
10人ぐらいは仲いい人や気さくに話せる人がいるし、別に喋らなくてもいつものあの人、顔なじみのメンバー。
体育祭とか行事ごとのときは一体になってがんばる。

コワーキングスペースも「いつメン」になっていきます。
しゃべることはないけど、いつもあそこの席に座っている人。
あれ、今日はいないけど大丈夫かな。なんて思いを馳せるぐらいには,顔の見える距離感似人々が集まり、自分がここに所属しているんだという所属感が生まれます。

しかし、閉鎖性が行き過ぎてしまうと、「ダレ」が生まれたり、内輪感が生まれてしまいます。
家の中と外ではの自分に大なり小なり振る舞いに違いは出るものですよね。
逆に外の人からすれば、家ぐらいまでの閉鎖性は、居心地がいいとは言えないでしょう。
他人の家とかに行くと、佇まいを気にしちゃいますよね。

対して、開放性、これはある程度の空気に「ハリ」を生んでくれます。
緊張感とでもいいましょうか。

例えばカフェで作業をする時など。
僕もよくやりましたが、家ではすぐに寝っ転がってしまったりするから、作業に集中したいときは人の目による緊張感を求めてカフェに行きます。

これが公民館だったり図書館だったりすると、公共性の極地になります。
カフェ以上に老若男女、不特定多数の人がいて、目線があり、空間の専有すらままなりません。
「みんなの場所」であり、あまりにも開かれすぎていて、「私の場所だ」とは思えませんよね。
どうしても「公共の人」として振る舞おうとせざるをえないので、空気のハリが強すぎます。

心理安全性のまとめ
コワーキングスペースには家とカフェの間ぐらいの開放性と閉鎖性のバランスを兼ね備えるのが、「仕事場所としての心地よさ」のベストポジションです。

②機能とエネルギーの集約のバランス

コワーキングスペースの良さの一つに、多様な活動をする人が人どころに集うため、コラボレーションや共創、インスピレーションが生まれやすい、というところがあります。

人の活動が集うため、高い熱量があると思います。

けど、その多様な人が最大のパフォーマンスを生むためにはある程度機能分けが必要になります。

料理系の活動をする人、ものづくりをする人、デジタルサービスを作る人が一同に一緒の空間にいると、求めているものは全く違います。

ある人はキッチンを求め、ある人はものづくりスペースや工具を求め、ある人は個別ブースを求めたとしましょう。

それを一つの箱に詰めてしまうと、かえってお互いのパフォーマンスが相反してしまいます。
「ものづくりの音や粉塵がジャマで集中できん!!とかとか。」

「ならばものづくりに特化したコワーキングを作ろう!」
「個室ブースしかないワークスペースを作ろう!」
「キッチンスペースは別の建物に用意しよう!」

と考えたくなりますが、同質化した集団からはイノベーションは生まれません。
完全なる分断を生んでしまっては、コワーキングスペースの人が集うエネルギーも分散してしまい、価値が半減するでしょう。

②まとめ
「お互いが不便やストレスを被らない、ギリギリの距離感まで近づけること、導線を生むこと」このバランス感を意識する

③そのバランサーを運営者がやれるのか...?

上記に述べたことは一見建物の構造などに依存するかのように見えます。

けど実際には運営者の工夫や取り組み次第=ソフトスキルで賄うことができます。
ルールを作ったり利用者とのコミュニケーションの取り方などなど。


コワーキング運営者と一口に言ってもオーナーの場合や、雇われた運営者の場合やただ受付対応の場合や、コミュニティマネジャーとして携わっている場合など、多岐にわたります。

それぞれの場がもつビジョンも異なれば、その人に課せれれるミッションも異なります。別に無理にやる必要はないです。

あんまりそういう定性的な部分をがんばると、けっこう消耗します。
利用者同士の気遣いやそういうポジションを積極的に任せちゃうというのもありですしね。

けど、より担当する場所がみんなに愛され、収益もしっかり挙げられて永続的になることをみんな願っているはず。

全部を一気にやったり大変革を起こすことは難しくとも、一回のコミュニケーションやちょっとした工夫の連続から変化は起こります。

特に働き方がより多岐にわたってくる2020年〜コワーキングスペースに携わるすべての人は、①心理安全性と②エネルギーの集約と機能の両立 この2点を明日から意識してみてはいかがでしょうか。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
なんか最後結論がフワっとして歯切れ悪いですが、お許しくだされ。
むしろご意見や感想いただければ嬉しいです。そうやって補完していきたいですね。
あと、アイキャッチ画像をちょっとだけ凝ってみました。
Twittterをやっているので、よければ絡んでください。

小高パイオニアヴィレッジにも遊びに来てくださいね〜






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