投資は”自分の時間”を犠牲にせず豊かさを手に入れられる方法|ファイナンシャルプランナー・武藤貴子 前編
ファイナンシャルプランナーの武藤さんに、保険に比べて日本で投資文化がなかなか広まらない現状、その解決アイディアなどについてお話を伺いました。前編、後編の全2回です!
武藤貴子 / ファイナンシャルプランナー
http://t-muto.com/
埼玉県出身。立教大学大学院修了。会社員時代にお金の知識の大切さに気付き、独学でFP資格を取得。並行してネットでできる副業を始める。退職後、FPとして活躍の場を広げ、一方で、ネットでできる副業・起業の方法を情報発信。数多くの成功者を生み出す。
―ファイナンシャルプランナーとしてどんな悩み相談を受けることが多いのでしょうか?
相談内容として多いのは、「今加入している保険で保障に過不足がないか?」というものです。その他の相談としては、
・子供の教育費をどう積み立てしていくのが良いか?
・学資保険はどこがいいか?
・貯金ができないので体質改善が、コツはないか?
・つみたてNISAやiDeCoは具体的にどうやれば良いか?
なども多いですね。
また、最近の傾向としては、「働き方改革」の流れもあり、
・現在の働き方をどう変えるのが良いか?
・今は共働きでやっているが、妻が辞めても大丈夫そうか?
・「副業」に興味があるが何からはじめるのが良いか?
などの相談が増えています。
―やはり「学資保険」は根強い人気があるんですね。なぜ「保険」はここまで人気なんでしょうか?
教育資金を貯める方法といえば「学資保険」という認識ががっちりできているのが強いのだと思います。実は学資保険以外の備え方もあるにもかかわらず、学資保険のなかでどれが良い商品か探している状態です。保険は元本保証ではないにも関わらず“安心感”というものがあり、株式や投信のような金融商品と同列には思われてないですね。
―保険はここまで普及したわけですが、「投資」はなかなか広まらないですね。それはなぜだと思われますか?
バブル崩壊前までは郵便局の定期預金は8%の時代がありましたし、それゆえに「貯めさえしていればとりあえず大丈夫」という意識が刷り込まれてしまったのかもしれません。さらに、当時は終身雇用制度で給料も右肩上がりでしたから、自ら「リスク」をとる必然性はなかったんだと思います。
現代だと、特に若い人の所得は相対的に少なくなってきていますし、給料が上がっていく保証もありませんから、将来に対して希望がなくなるのは当然ですし、損するかもしれないことはしたくないという感覚はむしろ正常なのかもしれません。なので、増やしていくより「無駄遣いしない」という保守的な考えが主流になるのでしょう。
また、色々な方の相談に乗っていて、本質的に人と違うことをするのが苦手な人が多いと感じます。そういう意味で、投資については単純に周りでやっている人があまりいなかったので、はじめるきっかけがなかったのかもしれません。さらに、自分自身で考えて自己責任でやっていくことに苦手意識がある人が多いのかもしれないですね。もうしそうだとすれば、自己責任のマインドが重要になってくる「投資」をやるのはちょっと厳しいですよね。
あと、若い共働き夫婦の場合、投資に興味があると言っても、結局は「頑張って2人で働けば良いじゃん!」という結論になることが多い傾向にあります。「お金をどう増やすか?」よりも、「どうしたらもっと着実に貯められるか?」に気持ちが向いているのだと思います。
投資については、やる人は色々な商品にどんどん手を出しますが、やらない人は全くやらないという2極化が起こっていますね。そして、「やらない」と言っていた方がなんとかはじめたとしても、すぐに止めてしまうことも多いです。止めてしまう理由は多種多様ですが、主に価格が日々動くことがやはり気になってしまってストレスに感じることや、数カ月(短期間)で目に見える成果が出ないからですかね。実は初心者ほど短期志向だと思います。
―それだけ伺っていると投資の普及への道のりはなかなか厳しそうですね。そんななかどうすれば投資文化は日本で広まると思いますか?
そもそもの問題として、子供の頃からお金の話に触れる機会が圧倒的に少ないですよね。学校のカリキュラムの制約上、お金について深掘りして取り上げられることもないですし。ゲームなどを通じて、自然と楽しく知識が身に付く仕組みができると変わってくるのではないかと思います。
あと、根本的に日本人には「貧しいことが清いこと」という「清貧」の思想がどこか色濃く残っていると感じています。人前でお金の話をするのは良くないことと考える風潮は若い人にもあるのではないでしょうか。「お金儲け」はそもそも悪いことという認識があるようなんです。
―投資は「汗水垂らす」必要がないお金儲けですからもはや最悪の印象なんでしょうね(苦笑)。武藤さんにとって“投資”とはどういうものですか?
当たり前のことですが、人生は有限です。ですから、自分自身の時間を使って際限なく頑張っていたら、必然的に自分の時間はどんどんなくなってしまいますよね。自分自身の時間を犠牲にせず、豊かさを手に入れることができる方法の一つが投資なんではないかと思います。投資は自分の人生を大事にしながら、同時に豊かさも求めることができる便利な方法なわけですね。
(後編につづく)
武藤貴子 / ファイナンシャルプランナー
【前編】投資は自分の時間を犠牲にせず豊かさを手に入れられる方法
【後編】投資を継続するコツは忘れてしまうことかもしれない
※取材・文・編集/野水瑛介(FOUND編集部)、写真/荻原美津雄
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