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ここが(たぶん)私のアナザースカイ、Tiong Bahru(チョンバル)です!

アナザースカイというテレビ番組からインスパイアされてみました。

2018年6月中旬。
やっとのことで決まった就職!まさかのシンガポール移住、そして昔から憧れていた「編集」という職業!おっきな期待と希望を抱えて乗り込んだ、その会社のオフィスはTiong Bahru(チョンバルまたはティオンバルー)という場所にありました。

古き良き低層住宅が並び、高層ビルばかりのシンガポールのイメージとはかけ離れていて、なんだかゆった〜りと時間が流れている…そんなエリア。

歴史風情の残るなか、オサレに敏感な欧米人やヒップスターが好むようなカフェやレストランが並び、なんとなく「中目黒」とか「青山」?かな。

低層住宅の一角にあったオフィスは、奥行きのある不思議な作り。オフィスの中は雑然と、あちこちにプリントされたコピー用紙や試し刷りされた紙面などが並ぶ…というよりは投げられたように置かれていた。オフィスもちょっと薄暗く、外のオサレ感とはまったくかけ離れた対照的な感じ。

仕事のことを話し始めると、長編小説になりかねないので、また今度。

とにかく忙しい仕事で「これって新卒で入ったブラック企業の経験よりもハード…」と、毎日死にそうになりながら働いたのだけど、その殺伐とした日々を救ってくれたのはチョンバルの街並み。タイムスリップしたみたいな懐かしさ。

ランチは決まって、近くのチョンバルマーケットと呼ばれる市場にでかけた。

1階は新鮮な魚・野菜・果物・肉などが買えるいわゆる「市場」で、2階が大きなホーカーセンターになっている。「ホーカー」とは、屋台が室内にあつめられたフードコート的な場所。シンガポールの台所といっても過言ではない。なぜなら、シンガポール人は基本的に自炊しないから。朝・昼・夜と基本的に外食。そんなシンガポール人の胃袋を手軽な値段で満たしてくれるのが「ホーカー」での食事。

チキンライス、ハイナニーズカレー、ホッケンミー、プラウンヌードル、ヨンタウフ、ローミー、ポピア、シュガーケーンジュース、アイスカチャン、大根餅に肉まん、餃子エトセトラエトセトラ、とにかく食べたことのないものを片っ端から試す日々。いまや当たり前に食べてるローカルフードも、初めはここで全部習った。シンガポール人の同僚がいつも解説してくれた。彼女は嫌いのものが多かったけど…

人生で「食べることが一番好き!」と言えるほど食い意地の張っている私は、とにかくこのランチ時間が楽しくて仕方なかった。「チキンライス最高に美味しいけど、プラウンヌードルは行列できる割には微妙だね…」とか、語っちゃう自分。殺伐とした仕事から一瞬解放されるランチタイム、ほんとに最高の昼休み。

とくに外せなかったのは食後の「Kopi(コピ)」。シンガポール独特のコーヒー。スーパー深煎りのコーヒー豆をネルドリップでガバ〜って煎れるスタイル。そのままで飲むとすっごい濃くて、とんでもないパンチなんだけど、アイスで飲むと最強に美味しい!この無糖アイスコーヒーの頼み方もここで習った。
「Kopi O Cosong Ping」(コピ・オー・コソン・ピン)。
いまだに「ピン」の発音がうまくできなくて、たまにHOTで出されたりする。だからコピ・オー・コソン・ピン・アイス!とかダブルでアイスを強調してる。

ある「Kopi(コピ)」のお店に、毎日欠かさず通った。

ちっちゃくてほっそい綾戸智恵似のオバちゃんが、アニメみたいにちゃかちゃか素早い動きでコーヒーを作ってくれる。チョンバルマーケットで1番、いや、シンガポールで1番美味しい!コピ!なによりも、そのオバちゃんの笑顔がたまらなくて、虜になる!いつの間にか毎朝・昼、昼にはお持ち帰り用に2つ買う…とかしていたくらい。とにかく大好きなオバちゃんの「Kopi O Cosong Ping」(コピ・オー・コソン・ピン)。

で、今日。

オバちゃんに…

たぶん1年半ぶりくらいに再会できたのだ!!!

例の会社は、半年くらい働いてから事務所を移転することになり、チョンバルから離れたのだ。それから転職したり…で、チョンバルに来る機会がなくなった。

最近遊びに来ることが数回あったけど、コロナの影響か、どうやらお店を早く閉めてしまうようで、なかなかオバちゃんの「Kopi O Cosong Ping」が飲めなかった。

同僚に何気なく、チョンバルのローミーが食べたい…食べたい!としつこく話していたら、車出勤の彼女がチョンバルマーケットでの食事を提案してくれたのだ。
神様!

念願のローミーを食べた後に、覚えているかな…とドキドキしながら「オバちゃんコーヒー」へ。そうそう。当時そう呼んでた。

お店の前で、こっそり覗いてみる。

いた!オバちゃん!!

相変わらずチャカチャカ動いてる!!

マスクをちょっとずらして「オバちゃん!Do you remember me?!」といったら接客で忙しく急かせか動いているオバちゃんが手を止めて、
「あー!!!どうしたの!!!サクラ!あんたの名前、サクラよね!?」

(…ま、本当は名前、違うんだけど…そう。当時そうやって覚えてくれてた。花の名前と一緒よねって。)

覚えててくれたー!!!ドキドキしたけど、オバちゃん全く変わってなくて、本当に嬉しかった。そして何飲むの?と聞かれ、いつもの

「Kopi O Cosong Ping」(コピ・オー・コソン・ピン)

…とオーダーしたら、あー!そうだそうだ。あんたの定番ね!って、いつも氷を多めに入れてもらっていたんだけど、それもぜーんぶ覚えてた!

もう、めちゃくちゃ嬉しかったのと同時に、2年半前のあの頃の思い出が走馬灯のように…って、たったの2年なのに、とっても昔に感じる…

久しぶりに飲んだオバちゃんの「Kopi O Cosong Ping」(コピ・オー・コソン・ピン)。パンチのある苦さ、コクがあるのにスッキリ。(なんかのCM?)

最高。あぁ。また飲みたい…。

帰る前にオバちゃんに、また来るねってHugしにいった。この時ばかりは、ソーシャルディスタンスクソくらえ…

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チョンバルを歩くと、辛かった仕事も、すっかり笑える思い出に。


そう、ここがたぶん、私のアナザースカイ。

(うん、締め方が甘いね…無理やりだね…ほんとに。感情の赴くままだ…w)


さて、本日のランチですが…

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ローミーです!
ものっすごい濃いドロドロのあんかけスープに麺、魚のフライ、薬味、チリ、そしてニンニクがたっぷり入ってる。完全にスタミナ料理感。めっちゃヘヴィー。
これに、黒酢をたーーーーっぷりかけて食べると、もう完敗。お手上げ。

ローカルはこのヘヴィーな一品を朝ごはんで食べたりもするらしく、ローミーのお店はどこもみんなランチ後(午後2時くらい)には閉まってしまうので、ランチタイムでしか食べられない貴重な一品なのです。特に、チョンバルのローミーは2店舗あるんだけど、どっちも行列必須。お腹を空かせて出かけましょう。ちなみに私、本日もまともな夕飯食べられませんでした…
(アップルパイ食べたけど…ね。)



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