デジタル改革関連法=デジタルの必要性を知ってもらう3つの鍵

菅首相が、かねてから看板政策として掲げていた「デジタル庁」の創設。そして、デジタル改革関連法案が2021年5月12日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立しました。

デジタル庁は2021年9月に創設予定。大方針である「オープン・透明=結果や活動の見える化」の一環として、2021年5月13日には、noteでの発信も開始しています。

個人的には民間の方が参入(約2割)することによる、思考や行動の変革に期待していますし、平井大臣も記者会見で語られていましたが、やる気の維持や仕事への評価など、うまく官と民の融合が実現して欲しいなと。とても楽しみです。

今回はそのデジタル庁について、および可決された法案からその必要性を知ってもらうための3つのポイントをまとめました。


1:方向性を合わせる=デジタルという言葉にピンとこない人をなくす

まず1つ目は、「方向性を合わせる」こと。
個人的にデジタル庁の「デジタル」の解釈にバラつきがあることに問題意識を持ちました。小6の家の子供に「デジタル庁のデジタルってなんだと思う?」と聞いたら「時計」「スマホ」と答えたからです。

デジタルと聞いて連想する言葉としては決して間違ってはいませんが、デジタル庁における方向性とは合致しているとは言えません。自分なりに噛み砕いてこのように伝えました。

「たしかに困ったを解消させるために時計も使うし、スマホも使うこともあると思う。
ただ、デジタル庁のデジタルは、分かりやすく言うと自分たちでは作ることができない最先端の技術のことなんだ。デジタル庁はそれを駆使して、日本国民の「困った」や「面倒くさい」を解消させ、そして、これからの未来を生き抜くためにつくられたと考えるといいかな。
たとえば、前に海外に行くときにパスポートって証明書作ったでしょ?
覚えてるかなあ。あのとき、わざわざ駅前の証明写真機で写真撮って、その後申請所に行って、そしたら写真がダメだとか言われてまた撮り直して、、とか面倒くさかったけど、今回のマイナンバーカードはスマホで写真を撮って申請できたのもその一例になるかな。
あと、旅行で香港のマックに行ったときに、日本では見ない注文の仕方にビックリしてたでしょ?ああいう凄いことも日本でもできるようにならないと置いていかれてしまう。
そして、〇〇(子供の名前)はフォートナイトやっててボイスチャットやDIscord使ってあたり前のように会話ができるけど、あれはすべてアメリカの凄い人たちが作ったもの。
LINEは韓国。他の国のものばかりを使って、日本自らがそういうことができないと、どんどん舐められてしまうんよ。」

子供なりに考えたことを否定はせずにまずは受け入れる。そのうえで、なるべく噛み砕いて、そして子供自らの実例を踏まえて伝えたことで納得していました。

この辺りにおいて、デジタル庁のnoteでは、図も踏まえながら、わかりやすく書いてくれています。
個人的にはとても分かりやすいのですが、身近な例を踏まえてもうちょっと噛み砕いて説明をして方向性を合わせる必要があるかなとも思います。実際家のような田舎の一家庭ですら噛み合わない事実。きっと他のところでもそうなっている可能性がありますし。


2:世界視点=技術においても世界に比べると遅れを取っていることを知る

2つ目は「世界視点」です。

法令内にも記載がある通り、歯止めの利かない人口減少に対して技術で補うという考え自体は正しいと思います。しかし、その技術において世界と比べると日本はまだまだ遅れを取っていると感じてしまいます。

以前に勉強したDX検定で世界の動きを知ったこと、また以下の記事で世界の動きが進んでいると感じさせられたからです。

電子政府ランキングで上位に名を連ねるデンマーク、韓国、エストニア、、この辺りの取り組みを知れば知るほど、日本はまだまだ発展途上にあるということを痛感するわけで。

たとえば、デンマークで主流となっている「NemID(デンマーク政府が発行する電子署名や認証を行うためのIDサービス、日本でいうマイナンバーカード」)によって、公的な手続き、お金の送金、ネットショッピング、病院予約など、生活における数々の便利を実現させています。

同じアジアの韓国でも「国民IDと呼ばれるものを連動させた政府24というオンラインで行政手続きを完遂できるポータルサイト、日本でいう未来のマイナポータル)」で、市役所に行かなくてもオンラインでほぼ手続きをすることができています。

日本が今やろうとしていることはデンマークや韓国では既に当たり前になっているという事実。そして、他の国でも急速に進展しています。今さら遅いという声もありますが、何もしないよりはやった方がいいと考えたいところです。


3:相手目線=デジタルにおける意識の醸成に欠かせない

3つ目は「相手目線」です。

デジタル庁に期待されているのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)。つまり、従来の事業を最先端の技術を駆使して、前述のデンマークや韓国のようなことを実現させるということ。

そのうえで重要となるのが、それを考え実践する人自身の変革だと考えます。以前記したヒューマントランスフォーメーション(HX)にも繋がります。

法令の実現において肝になるのがマイナンバーカードの普及です。
マイナポイントキャンペーンで、増加傾向にあるとはいえ、未だ30%弱となっています。政府は2022年末までに完全普及を目指していますが、かなり厳しい状況です。

デンマークのNemIDがすごいのはその導入率。90%以上を占めています。その背景には安心のセキュリティや使い勝手の優れたアプリ、そして何よりもユーザー視点で常に改善を続ける姿勢があると言われています。

この相手目線の追求こそが、意識の醸成においても鍵になるのかもしれません。

ほとんど認知、普及が進まなかった住基ネット、そしてマイナンバーの反省をさらに活かしたうえでの相手目線に立った継続改善はとても大切だと思います。


方向性を合わせ、世界視点、相手目線で

なぜデジタル庁ができるのか。ベースとなる情報はあり、そしてnoteなどでも今後多角的視点で発信してくれます。
その相手によって的確なカタチで伝えてあげることが大切でしょう。

そして、世界の動きを見据えてアンテナを持つことも大切です。インターネットやスマートフォンの普及で今や国境などあってないようなものですし。

そして相手目線です。これがどこまで追求されるかで、伝え方、表現の仕方などは大きく変わると思います。

たらればにはなってしまいますが、「2025年の壁」というのも、もっとベターな伝え方があったのではないかと。

ネットにアップされている、デジタル改革関連法案や、デジタル庁のWEBサイトにもアップされている法令も、見る人が見たら分からないように思うので、身近な小学生の子供にどうやったら分かってもらえるかを追求していきたいと思います。


WEBディレクター5年、WEBプロデューサー3年、WEBアドバイザー(コンサル)3年を経て、現在は自社部門のWEBマスターをしながら、デザイン、ブランディング、動画編集スキルなどを勉強中のゼネラリスト。