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第2回・数学は苦手だけど「ばらまき批判」に関する論争を理解したい人のために ~ドーマー条件の数式の手ほどき~

0.初めて読まれる方に向けた前書き

(第1回と同じ内容ですので、第1回を読んでいただいた方は2に飛んでください。)

矢野財務事務次官の寄稿が話題になっていますね。

反論記事等もYahooでよく見かけますが、その際のキーワードの一つが「ドーマー条件」(「ドーマーの定理」とも)です。
小難しい説明と一緒に数式が出てくると、煙に巻かれてしまいそうになりますが、実は数式そのものはいたって簡単です。

正確な理解は建設的な議論の前提ですので、ドーマー条件の説明で出てくる「数式」を思いきりかみ砕いて説明してみます。中1レベルの数学が分かる人には理解できる説明を目指します。

想定読者はタイトルに記載の通り、「関心はあるが、数式を見ただけで嫌になる」という方です。

想定読者の方はこのまま読み進めてください。
想定読者よりも豊富な知識をお持ちの方は、「初心者への説明はここまで詳しくやるのか」(あるいは、「そこまでは必要ないんじゃないか」とか「もっと詳しくやらないと!」)という視点でご高覧いただければ幸いです。

なお、上記が本記事の執筆趣旨ですので、矢野氏や反論者の主張自体は取り上げません。

また、「ドーマー条件」そのものの詳細な説明も行いません。
「よくわからない数式で煙に巻かれる」ことを避けるための記事です。

1.これまでの流れ

前回の記事では簡略化のために、PB(プライマリーバランス)がゼロの場合の数式を説明しました。

今回はPBがゼロでない場合の数式を解説します。

2.今回の本題

<用語について>

GDPには「名目GDP」と「実質GDP」がありますが、本連載で用いるのは「名目GDP」のみです。以下、「名目GDP」の意味で単に「GDP」と表記することがあります。

また、本連載では「債務残高」と表現していますが、他の記事では「国債残高」等の表記が用いられることがあります。本連載を読む上では、同じ意味だと思ってください。

<文字・記号の定義>

文字・記号が多すぎて嫌になるという方は一旦読み飛ばして、必要に応じて参照していただければ大丈夫です。

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<数式解説>

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なお、これはあくまでも「率を比較した増減値」であり、「増減率」ではありませんのでご注意ください。

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式を整理すると、こうなります。

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前回同様の変形を行うと、下記のようになります。

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前回は「PB=0」という条件の下での説明でしたので、下記のようにまとめました。しかし、今回はそのような条件は置いていませんので、単純に下記のようには言えません。

下記で説明している数値と、「PB/当年度GDP」 との大小関係次第で結果が変わる、ということです。

結局は r-g がプラスになる場合、すなわち「r:利子率」が「g:成長率」よりも大きい場合には、「債務残高がGDPに占める比率」は大きくなるということです。

逆に r-g がマイナスになる場合、すなわち「g:成長率」が「r:利子率」よりも大きい場合には、「債務残高がGDPに占める比率」は小さくなります。


<次回予告>

今回の本題は上記部分までです。
次回以降は、やや補足的な内容を扱います。

ドーマー条件を示す際に、ごまかしのない、正確な説明をするためには、「債務残高」や「GDP」がいつの数値なのかを示す必要があります。

この点をあいまいにして、「よく見ると誤った数式」「必ずしも誤ってはいないが、必要な説明が欠けていて不親切・不適切な数式」が散見されます。

具体例を示しながら、今回説明した数式との異同を明らかにします。







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