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営業の得意/不得意を分析し、下り続ける集客数のなか受注率を改善した話

課題は山積み!まずは集客から…しかし…


今回は奈良の狭域マーケットで4店舗を展開するA社の取り組みです。
商品の仕入れはA社本部が行い、広告で集客し店舗で販売するBtoCのモデルです。

狭域マーケットということもあり4店舗が競合している状態であり
店舗間で敵対意識を持っていました。

売上を大きくするために、色々なヒアリングをさせていただくものの
課題はたくさんありましたが、まずは着手しやすい広告からメスを入れることになりました。

大きく改善できそうなB店を取り上げ広宣費の適正化
適切な媒体への投資を実施し、集客数は昨対比大幅アップを実現できました。

次は更に追加投資をいただき集客数を増やすフェーズだ!と思っていた矢先
B店のB店長から連絡がありました。

「本部から広告予算が削減されてしまいます。」

投資の結果、集客できていたのになぜ…?

理由をお聞きすると、集客数は伸びたものの受注が少なすぎたこと
これを受けて全店舗の予算削減の通達があったという経緯でした。

とは言いつつも丁度一年前、同様に広告費を下げたことがあったのですが
集客数が減り連動して受注も減った過去
がありました。

B店長も「広告を減らすともっと成約が下がってしまうんですよね…」というご意見でした。

ここでようやく、A社では集客数も課題でしたが、それよりも受注率の方が課題だと感じました。

課題の原因を深掘るも「あいつが悪い!」


ではなぜ受注率が低いのか?色々な方にヒアリングを行います。

店長「本部が仕入れる商品力が悪い。」
マーケティング部「集客は悪くない。その後の営業力に課題がある。」
社長「店長のマネジメント不足だ。」

皆様から聞かせていただいたもの、様々な角度から出てきて課題の真因が掴めませんでした。

まずは定量的なファクトがある面から切り込みます。

マーケティング部にはこれまでの資料請求〜受注までの全データがあるので
過去3年分のデータをお借りしました。

店舗別・個人別の受注率、媒体別の受注率、、など分析します。
結果をもとにB店長にお聞きすると「やっぱり受注率が悪いね…」とのご意見です。

営業の方々にも普段の追客についてヒアリングをします。

「電話しても全然繋がらないんですよ」が多数。

ここに課題がある可能性があったので、了承を得て私が覆面顧客として資料請求を行ってみます。

数回に分けて調査をしてみましたが、資料請求後3日以上経過するとほとんど連絡がこなくなりました

また追客以外の別の原因がないか?も平行して調べます。
(追客の詳細は後述します。)

なぜ受注できなかった?お客様からは辛辣な声…


皆様にヒアリングをさせていただくなかで色々なご意見が出てきましたが
「お客様のために」ということは一貫して仰っていたので、お客様にヒアリングする施策を提案しました。

これまでの成約者に関するデータは既にあるので、
その逆である資料請求があった顧客、初回会ったが受注に至らなかった顧客など
過去のリストに対して失注者アンケートという名のもと
回答者には景品を送付する特典を付けアンケートを行うというものです。

社長からOKいただきアンケートを仕立てます。

店長陣にはリストを頂き送付対象のリストクリーニング、
マーケティング部とは質問項目の擦り合せを行い用意を進めます。

ちなみにアンケートには以下のような項目をセットしました。
・資料請求時の送付資料満足度
・接客満足度
・問い合わせ理由
・他決理由 など

施策の結果、1ヶ月で約550件の送付を行い、約120件の返送がありました。
その中には辛辣な意見もありました。
・営業さんの対応が悪い
・他社の悪いところではなく御社で買うメリットを教えてほしかった
・対応が雑に感じた
・プランが希望通りではなかった
・口コミが悪かった
・求めていた商品と違った など

これを営業プロセス毎に分類します。

・資料請求時
 ・安っぽい資料だと感じた
 ・お店のことがよく分からなかった
 ・問い合わせ時、特に連絡がなかった
・初回アポイント
 ・気に入った商品がなかった
 ・他の店舗の方が提案がよかった
 ・要望が汲み取られた提案内容ではなかった
・商談
 ・親身になっていただいたが金額が高く他で決めた 
 ・決めかねていたが、御社にする決め手に欠けた

要約すると以下でした。
・資料請求時:追客されていない
・初回面談:接客満足度低・社内競合
・商談:商品力

この中で商品力については本部の仕入れによるものなので
営業要因である資料請求〜初回面談について介在を進めます。

まずは接客について。
先程の失注者アンケートと、社内にある成約者アンケートを組み合わせて分析し
各営業毎にお客様の属性別(年代、予算、検討期間、競合状態など)に得意/不得意の傾向を洗い出します。

加えて営業毎の満足度も分析し、接客における強み/弱みを洗い出し
営業の皆様にフィードバックします。

正直「なんでお前から言われなあかんのや」と言われることもありましたが
お客様の声を代弁させていただいているをご理解いただき、全員にお伝えをします。

話を追客に戻します。

これまでは資料請求があると店長が営業メンバーに対応の割り振っていたのですが
どうしても営業がお客様対応が続いていると初回連絡が遅れてしまいます。

ルールを変えることになり、基本社内にいらっしゃる店長が一次対応の連絡を行い
先程の営業毎の得意な傾向に応じて担当を付けるという手法に変えていただきました。

そして資料請求後2週間以内の顧客は担当営業で追客を行い
それ以上は長期追客顧客としてマーケティング部でMA等を用いながら追客を行う仕組みにしました。

なぜ狭いエリアに4店舗も作ってお客様を取り合っている?


最後に社内競合についてです。一見すると分からないことですが
狭域に4店舗を構えているにはそれぞれ意図があり、それぞれの強みがあります。

この事実は、支店で働く営業がそもそも知らなかったということも分かりました。

強みを再定義いただき言語化し営業に伝えると同時に、広告の中にも組み込むようにしました。

今後は社内で競合しないように担当エリアや担当商品を設計し直す予定です。

取り組みの結果と今後


これらの取り組みを行い、資料請求→初回面談率、初回面談率→商談化率が向上し、結果的に資料請求→受注の前進率もアップしています。

現在、広告費は変わらず削減フェーズではありますが
この受注率がキープし続けられるのであれば、次の半期には再度広告予算を増やし、集客数を加速させるとの方向性を教えていただいております。

その際には再度集客数の最大化に介在させていただき売上アップに貢献したいと考えております。


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