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同居人、雄、五歳

38歳、猫と2人暮らし

小さい頃から猫が飼いたくて仕方がなかった
小学生の頃は近所の野良猫を友達と手懐けに行くのが楽しかった

だが、父が特に猫嫌いで
団地2階住まいの頃にたまたま夜に
野良猫が我が家に忍び込んだ

暗闇に光る二つのまなこ
父にはより一層不気味なものに見えたらしく
ますます猫が嫌いになってしまい
私の『猫を飼いたい』という夢は子供の頃叶うことは無かった

だが、私は諦めなかった
30代半ばにして、ついに念願の猫との暮らしを手に入れることができた

ベンガルかわいいなぁ
アメショかわいいなぁ
エキゾチックショートヘアもいいなぁ

ネットで色々調べてはワクワクしていた
だが、ブリーダーさんから手に入れるには
値段が現実とマッチングしなかった

そこで、里親募集も見てみることにした

譲渡会にも行ってみたかったが
シフト仕事をしていた私はには
中々土日開催ばかりの譲渡会には縁が無かった

それでも諦めずにチェックしていたところ
たまたま土曜日が休みになり
車のない私でも行ける距離で譲渡会の開催が行われることが分かった

これは行くしかない!と思いたち
当日は寒空の中とても楽しみに向かったのを今でも覚えている

譲渡会のおばさま方に住まいの場所を伝えると
『え?そこから来たの??』
というリアクションをされた

仔猫がいいなぁなんて思いながら見ていたが
時期的に仔猫が多いのは春なんだと教えてもらった

その中でも一際美人な猫がいた
トライアルを申し込みたいと伝えると
とても人気らしくてすでに5〜6人のお見合い申込待ちとのことだった

モテるやんけ、おぬし

早く一緒に暮らしたかった私は諦め
別の子に目をやった

そこで目に止まったのが、現在の同居人

歳の割に体が大きく、白い体を一生懸命まぁるくしていた

この子がいいと思った

猫は素早いイメージが強く、初心者の私でもなんとか捕まえられるのではないかと侮った
実際は全然そんなことなかった、猫は太ってても猫

後は、それこそ初心者で心配性だったので去勢手術が済んでいるというのがありがたかった

そこからはお見合いの申し込みをし、
とんとん拍子に我が家へお迎に至った

お見合いに来た時の怯えた表情の写真は何度見返しても笑ってしまうくらい怯えている

うちに来た当初は三日三晩ベットの下から出てこなかった
夜、私が寝た後に家中泣きながら走り回っていた
『おうちにかえりたい、おうちにかえりたいよ』と

私が仕事に行っている間に水を飲んだり
ご飯を食べたりしているようだった
そんだけイヤイヤだったにも関わらずトイレを粗相することは無かった

正直、私も夜泣きで眠れない日々が続き
これがノイローゼになるということだろうかとボヤけた頭で考えていた

だが、三日も経つと猫も諦めるらしい

最初の三日三晩が嘘のようにそれ以降は毎晩一緒に寝ている

保護主さんから彼の性格を色々まとめた紙をもらっていた
元の性格は食いしん坊、甘えん坊なのだ
保護された理由が、あまりにも食べ物に釣られて
人間にホイホイついていくので心配になったんだとか

今思うと3日で諦めてくれて本当に良かった

人とのご縁もそうだが、猫とのご縁も本当に奇跡のようなタイミングの上に成り立っているなとしみじみ思った

そんな彼も今年推定5歳
蒸し暑い日が続く今日も仲良く寄り添って寝ている

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