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筋・筋膜連鎖の知識と臨床応用

はじめに

このnoteは、誰にでもお役に立てるわけではありません。
ですが、以下に一つでも当てはまる理学療法士の方は、読んでみてください。

✅筋膜の機能解剖学について基礎から学びたい
✅筋膜の役割(力伝達)について学びたい
✅筋・筋膜連鎖(Myofascial Chains)のエビデンスを知りたい
✅臨床に即した筋・筋膜の評価やアプローチを学びたい

筋膜の機能解剖学から、筋・筋膜連鎖のエビデンス、臨床応用(腕橈骨筋、母指球筋、立方骨の評価・アプローチ)を学べる内容となっています。

運動器リハビリや整形疾患の”臨床でとにかく悩まれている方”に手に取り読んでいただきたいです。

臨床力を高めるいちきっかけとなれば幸いです。

by Rui

自己紹介

はじめまして、forPTのRui(ルイ)です。理学療法士免許を取得し、現在は整形外科クリニックに勤務しています。

forPTとは、理学療法士の臨床と発信を支援するために2019年に発足されたコミュニティです。

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ブログ(https://forphysicaltherapist.com)での情報発信
・限定noteの販売

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臨床に役立つ知識や技術を発信し続け、現在では理学療法士だけでなく、セラピスト全般、理学療法学生、柔道整復師、スポーツトレーナーなど幅広い職種の方にもシェアいただいています。

販売情報(2022.7.15更新)

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それでは以下より、『筋・筋膜連鎖の知識と臨床応用』になります。

筋膜とは

筋膜(muscle fasciae)とは、筋組織に結びついている軟部結合組織を呼びます¹⁾。

一般には、浅筋膜(superficial fascia)および皮下組織(hypodermis、subcutaneous)を含めて筋膜と呼ばれることが多いです。実際に、頸部の後頸筋や顔面の表情筋のように、浅筋膜に筋繊維が存在する²⁾構造もあります。

広義で使われている筋膜という言葉は、第1回国際筋膜研究学術大会(2007)でFindley & Schleipによって提案されたFascia(膜、人体に広がっている結合組織系の軟部組織成分)¹⁾という用語が妥当ではないかと言われています。

皮膚・筋膜の層構造

皮膚や皮下組織および筋膜は層構造を呈しています(図1)。

図1 皮膚・筋膜の層構造

皮膚は、表皮と真皮から構成される身体全体の表面を覆う最大の器官です。

皮下組織は、疎性結合組織と皮下脂肪を含みます。しばしば浅筋膜(superficial fascia)と同義とされます。浅筋膜は、皮膚と深筋膜の間の滑走や熱に対する緩衝材としての役割³⁾があります。

深筋膜は、全ての筋群を覆う結合膜によって形成されます³⁾。脂肪組織はなく、関節周辺では、靭帯を補強する役割があります。

筋外膜は、それぞれの筋肉を包み込んでいます。筋紡錘とゴルジ腱器官の間にある張力作用に直接関与しています。また、筋間中隔や腱膜と腱として深筋膜と結びつきます³⁾。筋外膜は筋束を束ねるだけでなく隣接筋の張力を伝える役割があると報告⁴⁾されています。

筋周膜は、いくつかの筋繊維が集まった筋束を覆う筋膜です。筋周膜は、筋の作用する長さ以上に伸長された状況下では高張力剛性を示し、張力の大きな力を伝達する¹⁾とされています。

筋内膜は、3つの異なった構造があります。その役割は、筋束内の力の伝達を調整し、繊維を統一組織内に保っておくために、隣接繊維としっかりと接合します¹⁾。

筋・筋膜の力伝達

筋肉の収縮によって発生した力の伝達は、直接隣接した2つの筋間(共同筋)の伝達筋外組織(結合組織、fascia)の伝達の2つの経路がある¹⁾とされています。

実際に、筋張力が自身の腱以外に伝達されること隣接する筋との相対的位置変化が筋張力に影響を与えること¹⁾⁵⁾が報告されています。またラットの研究では、下腿前方コンパートメントの筋膜を切除により長趾伸筋の筋力が約10%低下したとの報告⁶⁾など見受けられます。

これらの知見を踏まえ、臨床評価では、筋単独ではなく、少なくとも隣接(連結)する筋やそれを覆う皮膚・筋膜の緊張状態などを目的に合わせて評価しておきたいところです。

筋・筋膜連鎖のエビデンス(システマティックレビュー)

トーマス・W・マイヤース氏が提唱した11の筋筋膜経線(myofascial meridians)⁷⁾は有名です。

トーマス・W・マイヤース氏によって提唱された11の筋筋膜経線
・スーパーフィシャル・フロント・ライン(SFL)
・スーパーフィシャル・バック・ライン(SBL)
・ラテラル・ライン(LL)
・スパイラル・ライン(SPL)
・スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン(SFAL)
・ディープ・フロントアーム・ライン(DFAL)
・スーパーフィシャル・バックアーム・ライン(SBAL)
・ディープ・バックアーム・ライン(DBAL)
・フロント・ファンクショナル・ライン(FFL)
・バック・ファンクショナル・ライン(BFL)
・ディープ・フロント・ライン(DFL)

この理論をもとに、多くの治療家やセラピストが身体評価や治療アプローチに役立てています。

ただし、理論の過大解釈を避けるためにも、エビデンスに関して把握しておく必要があります。

🔻筋筋膜経路の詳細は、以下の著書で読むことができます🔻

ここでは、11の筋筋膜経線のうちの6つ(SBL、SFL、BFL、FFL、SPL、LL)が解剖学的に存在しているものかを調査したシステマティックレビュー⁸⁾をご紹介します。

研究概要

2名の研究者が1900年から2014年12月までに発表された関連論文をMEDLINE(PubMed)、ScienceDirect、Google Scholarで検索しています。

検索によって同定された6589件の論文のうち、62の論文が対象となっています。そして実際の調査は、2つの筋肉間の連続性が明確に報告されているものを記録しています。

以下は、研究調査におけるエビデンスのまとめになります。

【エビデンスが強い(質の高い複数の論文で一貫している)筋筋膜経路】
SBL、BFL、FFL

【エビデンスが中程度〜強い筋筋膜経路】
SPL、LL

【エビデンスが存在しない筋筋膜経路】
SFL

🔻筋筋膜経線に関するシステマティックレビューの原著はこちら🔻

Wilke, Jan, et al. "What is evidence-based about myofascial chains: a systematic review." Archives of physical medicine and rehabilitation 97.3 (2016): 454-461.

トーマス・W・マイヤース氏は著書「アナトミー・トレイン 徒手運動療法のための筋筋膜経線」において、以下のように述べています。

「アナトミー・トレイン」は進行中の研究である。

アナトミー・トレイン 第3版 徒手運動療法のための筋筋膜経線

つまり、筋肉間の連続性が証明されているものもあれば不明確なものもあると言えます。また、筋・筋膜連鎖による機能的意味については、研究調査が不足しているのが現状です。

これまでご紹介してきた筋膜の機能解剖学や筋・筋膜連鎖のエビデンスについて、以下にまとめます。

まとめ
・部位(経路)によって、一部筋肉間の連続性が科学的に証明されている。
・筋の発揮する力は、直接接合する共同筋や筋膜(fascia)を介して伝達する。

筋・筋膜の評価とアプローチ(臨床応用)

筋・筋膜連結の知識は、障害部位と隣接する軟部組織との相互作用の評価や障害部位への間接的・補助的なアプローチ手段として役立ちます。

腕橈骨筋の評価とアプローチ

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