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テレビ番組のリサーチ領域⑥アンケート調査編

テレビ番組のリサーチ会社フォーミュレーションです。
今回は「アンケート調査」についてご紹介します。

テレビ番組では一般の方々に聞いた意見を元に、番組の企画を作ったり、ランキング情報を作ったりします。
そして、一般の方々の意見で番組作りをするためには、ある程度の数の意見を聞かなければなりません。

そんな時フォーミュレーションではWEBアンケート調査を行って番組に協力しています。


■コロナ禍で「街録」がやりにくい今、依頼が増えているWEBアンケート調査

以前までは、様々なテレビ番組で街行く人達に街頭で直接インタビューする「街録」と呼ばれる方法で、一般の方たちにアンケートを取っていたりしていましたが、昨今のコロナの影響で、簡単に街録をすることが難しくなった為、WEBアンケート調査の必要性が高くなっている傾向にあります。

その為、様々な番組から「街録が出来ないのでWEBアンケート調査をお願いしたい」という依頼が増えています。

■どんなアンケートを取っているのか?

WEBアンケート調査は、例えば以下のようなテレビ番組の企画で活用されています。


・音楽番組で・・・「桜」と聞いて思い出す曲アンケート
・スポーツ特番で・・・記憶に残るスポーツの名場面アンケート
・情報番組で・・・今流行っているものアンケート
・クイズ・雑学番組で・・・クイズや雑学知名度調査アンケート
(どれだけの人が答えられるクイズか、どれぐらい知られている雑学か)
・グルメ番組で・・・あなたの街のボロイけど美味しい店アンケート
・バラエティ番組で・・・番組を見た感想アンケート


こうした様々な番組からアンケート調査の依頼を受け、番組制作側と質問内容やアンケートを取る人数、どのようにアンケートを取るか等を擦り合わせていきます。

そしてアンケート概要や質問表を完成させて、配信⇒回答回収⇒回答集計⇒アンケート結果納品、といった流れで1つのアンケート調査を実施します。

■どうやって、誰にアンケートを取っているの?

WEBアンケート調査では、アンケートを答える為に登録してくれている「アンケートモニター」と呼ばれる一般の方々に質問を送り、パソコンや携帯で回答して頂いています。

前回も少し書きましたが、フォーミュレーションにはアンケートモニター数が約2000万人(提携モニター含む)おり、このアンケートモニターの方々にご協力頂いています。
アンケートモニターは全国各地の男女10代~80代以上の方まで、幅広い年齢層の方々にご登録頂いています。

■2つのアンケートの回答方法・・・「フリー回答」(自由記述回答)と「選式択回答」(定量調査)

WEBアンケート調査の回答方法は、主に2つあります。
「フリー回答」(自由記述回答)と「選式択回答」(定量調査)です。

▼「フリー回答」(自由記述回答)
「フリー回答」(自由記述回答)は、質問に対してアンケートモニター自身の言葉で回答してもらう方法です。

例えば・・・

「あなたの好きな映画と、その理由をお答えください。」

という質問だった場合は、

好きな映画・・・タイタニック
理由・・・好きだった人と初めてのデートで観に行った後、告白されて、初めての彼氏が出来た思い出の映画です。

というように、アンケートモニターに自由に答えてもらう形になります。

▼「選択式回答」(定量調査)
「選択式回答」(定量調査)は、あらかじめ選んでもらう項目を決めて、その項目の中からアンケートモニターに選択してもらい、回答してもらう方法です。

例えば・・・

「以下の中から、好きな武将をお選びください」

という質問には、以下のような選択肢が質問票に並びます。

・織田信長
・豊臣秀吉
・徳川家康

アンケートモニターには、この中から1つ選んで回答してもらいます。

そしてアンケート配信後、回答を回収し、票数を集計してランキングを出します。
集計は、「全体」(モニター全員)のものから、男女別や年代別などの集計をすることが可能です。

こうしてアンケートモニターに答えてもらった「ローデータ」(元のデータ)と、「集計結果」を番組側に納品します。

■日本だけにとどまらない!
世界40ヶ国に大規模アンケートを実施

アンケートの規模(人数)は番組や企画によって様々ですが、少なくても大体50名~、多いものだと1万人規模のアンケート調査を行う事もあります。

また、WEBアンケート調査は日本国内だけではなく、海外の方々にアンケートを取ることも出来ます。

以前に行った例では、日本を含めた様々な国の方に、同じ質問のアンケート調査を行い、その回答から国の違いを見るという、日本テレビで放送されていた「ネプ&イモトの世界番付」という番組で、世界各国のアンケートを取っていました。

これは、海外にあるアンケート調査会社と連携をして、計40ヵ国のそれぞれ100名のアンケートモニターに回答してもらい、平均を出してランキングするという大規模なアンケートでした。

日本の意外な順位だったり、意外な国が上位に来たり、それぞれのお国柄が見えたりと興味深いアンケートだったので、いくつかの例をご紹介します。

▼世界のアンケート①「あなたは、1日に何回“ありがとう”と言いますか?」のアンケートでは、日本がダントツ最下位!

ありがとう2

ヨーロッパ、アジア、南米、中東などの40ヵ国それぞれ100名ずつに「あなたは、1日に何回“ありがとう”と言いますか?」というアンケートを取り、合計の回数を100名で割った平均を出してランキングしてみると、日本がダントツ最下位の1日平均5.9回でした。1位のメキシコは1日平均21.3回も!

▼世界のアンケート②「あなたはピザを月に何回食べますか?」アンケートでは、イタリア・アメリカを抑えて、意外な国・アルゼンチンが1位に!

ピザ

続いては、「あなたはピザを月に何回食べますか?」というアンケート。
結果は、“ピザと言えば”の国、イタリアやアメリカを抑えて、意外にもアルゼンチンが1位で、月に4.1回。
日本はこちらでも最下位で月に0.6回でした。

▼世界のアンケート③「あなたは花粉症ですか?」アンケートでは、日本がおよそ2人に1人で1位!

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「あなたは花粉症ですか?」というアンケートでは、「はい」と答えた方が、日本は何とおよそ2人に1人の49%。インドネシアでは100人に1人の1%しかいませんでした。
東南アジアや中東は平均的に花粉症の人が少ないという結果が出ました。

以上のような、意外だったり興味深い結果が出たアンケートを元に、現地取材などを行ってその理由を探り、それぞれの国の意外な事実やおもしろ情報を紹介するという番組になりました。

■精度の高いアンケートを取る為の工夫・・・
「バイアス」がかからないようにする

みなさんは「バイアス」という言葉をご存知でしょうか?
「バイアス」はアンケート調査においては、あってはならない要素です。

あるマーケティングリサーチサイトでは「バイアス」をこう説明しています。

バイアス(bias)を英和辞典で引くと、『傾向、先入観、偏見、先入主』と書いてあります。ですが、リサーチにおいては、“回答者の心理的要因によって、調査対象者の回答に偏り(かたより)を生じさせてしまうこと。またはその偏りの原因となる要素”の事を指します。
要するに質問の仕方や回答者の心理的な問題により、本来出るべき結果とは異なるデータがアウトプットされてしまう事を指します。
マーケティングリサーチにおいて具体的にどんなものをバイアスと言うのかというと、一番多くかつ典型的な事例が『誘導バイアス』というものです。要するに質問自体が回答を誘導してしまっているという事ですね。

例えば、「バイアス」がかかってしまう事例では、以下のようなことがあります。

あるテレビ番組で、「好きなスポーツ選手」のランキングを作ることになり、有名スポーツ選手100名の中から好きな選手を選んでもらうWEBアンケート調査を実施することになりました。

そして選手100名を並べた質問票を作り、その中から選手を選択してもらう形でアンケートを実施することになりました。

そして、ここで「バイアス」がかかってしまう危険性がありました。

というのも、例えば質問票の選手の順番を固定して、アンケートモニター全員に同じ順番の質問表を配信してしまうと・・・

「上から順番に選びやすくなる」という「バイアス」がかかる可能性

があり、順番が上位の選手に票が集まってしまう恐れがあったのです。

このバイアスを回避する為、選手の順番を「ランダム表示」にして、各アンケートモニターによって順番が異なるように質問表を送りました。

スポーツ選手

これにより、順番によるバイアスを回避することが出来ました。

偏りが無く、精度の高いアンケート結果を得るためには、「バイアス」がかからないようにすることは非常に重要なことなのです。

■どのくらいのサンプル数を取れば正確なデータと
言えるのか?⇒何かの法則や科学的な根拠はない!?

以前、アンケート調査のデータを中心に使ったあるテレビ番組で、番組側から「どのくらいのサンプル数を取れば正確なデータと言えるか?」という相談がありました。

そこでフォーミュレーションでは、統計学が専門の大学関係者への問い合わせをして、以下のような回答を頂きました。

“何人にアンケートをとれば正確なデータと言えるか”というものには、何かの法則や科学的な根拠があるものではない。
だが、経験的には1000人を対象にしたアンケート結果であれば信用ができるということになっている。ただし、世の中には300人や500人を対象にしたアンケートで「日本人の~割が」と言っているものも当然ある。
参考までに、内閣府が行う世論調査はだいたい6000人ぐらいを対象にアンケートを取っていると考えられている。

以上のような「1000人」という回答を頂き、番組制作とを擦り合わせた結果、1000人より多い、1500人のモニターにアンケートを取る、ということに決まりました。

■WEBを使わないアナログナアンケート調査①
モニターに会ってお話を聞く「座談会」(定性調査)

現在はコロナ禍で実施することが出来ませんが、アンケート調査はWEBだけではなく、実際にアンケートモニターの方々に集まって頂いて、番組の企画に必要な意見を聞くために「座談会」(定性調査)を開く場合もあります。

例えば番組の制作側から、以下のような依頼があります。

・今、高校生の間で流行っているものについて、リアルな意見を聞きたい
・働く女性が抱えている問題や悩みを知りたい
・主婦たちの間の「あるある」を聞き取りたい

以上のような依頼を受けて、現役高校生だったり、悩みを持った働く女性や主婦の方々等、属性や年齢を絞ってWEBで募集をかけて、モニターの方々に集まって頂きます。

そして「座談会」には番組担当ディレクターとフォーミュレーションの担当者が同席し、集まって頂いたモニターの方々とお話をしていきます。
フランクな雰囲気で色々な意見を聞きたい場合、時にはレストラン等でランチをしながら、なんてこともあります。

モニターの方々には交通費をお渡しし、さらに謝礼をお支払いすることもあります。こういったWEBを使わないアナログな方法でのアンケート調査も行っています。

■WEBを使わないアナログナアンケート調査②電話を使ったアンケート調査

座談会のように、WEBを使わないアナログなアンケート調査は他にもあります。例えば、電話を使ったアンケート調査です。

以前に実施した例ですと、全国で行われている体験学習の実態を調査する、電話を使ったアンケート調査を行ったことがありました

日本全国で体験学習がどれくらい行われているか実態が掴めておらず、その数や内容を調査する為のアンケート調査です。

そこで、フォーミュレーションでは、体験学習を行っている組織・団体や施設(学校など)をリストアップし、1件1件電話をして、アンケートの協力を依頼し、アンケート表を送って回答してもらい、送り返してもらう、というアンケート調査を実施しました。
これも地道にやっていくアナログなアンケート調査の例です。

■アンケート調査の料金について

最後にアンケート調査の料金について、少しご紹介します。

フォーミュレーションのアンケート調査の料金は、質問数や質問内容、アンケートモニターの人数によって様々な為、一概にいくらとは言い切れませんが、おおよその料金は以下のようになります。

●人数:100名、質問数:5問⇒50,000円~
●人数:100名
質問数:10問⇒80,000円
●人数:1000名
質問数:5問⇒200,000円
●人数:1000名
質問数:10問⇒250,000円

あくまで目安の料金ですので実際の料金は前後しますが、ご参考にして頂ければと思います。

■まとめ

このようにアンケート調査と一口に言っても、様々な方法を使って行っています。

フォーミュレーションでは、アンケートを必要としている方と密に打ち合わせや擦り合わせを重ねて精度が高いアンケートを構築していきますので、「こんな質問のアンケートは取れる?」「こんな人たちにアンケートを取りたいけど、成立する?」など、何かアンケートを取りたいと思ったら、お気軽にご連絡を頂ければと思います!



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