違うときに役に立つ ”何に基づいている”をだしてみる
違いは受け入れがたい
他者との違いは受け入れがたい気持ちが先行します。
脳科学によると人は脅威を感じ時、内容に関わらずリアクションするように出来ているので避けられません。
「えっ!」「なんで」
他者が違う意見を言ったとき、「未知なもの」「地位を貶められた」などの脅威を感じ、嫌だというリアクションになります。
他者と関わりながら前に進むために、重要なのは"何に基づいているのか?”です。
何に基づくのか?
"何に基づくのか?"を英語にすると"On what basis"です。
このフレーズが頻繁にでてくるのが、米国の女性最高判事ルーズ・ベーダー・ギンズバーグの半生を描いた映画『ビリーブ未来への大逆転』。原題 "On the basis of Sex"。
彼女は、1970年代に性別を根拠に定まっていた法律を、男女平等がなし得ないとして裁判で争いました。当時のアメリカでは、女性は残業時間が制限されていたり、自分名義のクレジットカードを作れなかったり、178もの条項が性別を基に区分されていました。
法律は何に基づくべきなのか?
それは”性別”ではあり得ないということで、法律が徐々に変わっていきました。
”何に基づいて”を明確にし、共有する
現在では、性別で就業時間が違ったり、決済方法が制限されるなど考えられません。
しかし、法律でさえ、50年前に”何に基づくべきなのか?”が争われたくらいなので、社会や組織の中で"何に基づいて”その意見が成り立つのか、話し合われることは少ないです。
例えば、こんなニュース
「来年の春に明治神宮の森の木を1000本伐採する」というニュースがあります。これは何に基づいているのか、仮に、両方の根拠を挙げてみました。
推進側
商業施設・オフィス施設を増強すれば、経済が発展するから
未開発の大規模な土地だから
規制が緩和したから
利益が生まれるから
事業者が賛成しているから
反対側
SDGsを推進する東京都は自然の持続性を優先すべき
歴史的価値のある場所や森は受け継いでいくべき
樹木は再生は時間がかかり代替がなく、商業施設・オフィス施設は代替が効くため樹木を優先すべき
都心に樹木があることで温暖化を防げるから
都民が反対しているから
次に考えるのは”何に基づくべきなのか?”
推進派、反対派のそれぞれの根拠がでました。一つ一つ、本当にそうか検証していくことも出来ます。
しかし、違いがある両者が出そろったところで次に考えたらよいのは、この意思決定は"何に基づくべきなのか?”です。
そこには当事者の価値観が反映されます。
開発をするかしないか、樹木を伐採するかどうかは、
Q、経済的効果の大きい小さいに基づいていいのか?
Q、樹木の歴史が持つ意味に基づいていいのか?
に答えていくことで、”基づく”点が見えてきます。
これは、当事者たち全員が集合として、何を大切にするか、何に”基づく”のかを決めていくプロセスにもなります。
働くということ、アメリカの場合
ギンズバーグ氏の例に戻ります。
アメリカでは、”働くということは性別に基づくべきではない”、という争点をギンズバーグ氏らがあげたことで、裁判所で議論され結論がだされました。今日の米国や日本の女性が働いている環境は、その基点の上に成立したともいえます。
組織の中の違いを出し、前に進むために
違いを乗り越えようとすると辛さが残ります。
どちらかの意見に寄せたり、我慢して前に進むことが組織の違いの対処法だったりします。
"何を基づいて”を話さずに、意見の中身だけを見ていると、その考えがどこから来ているのかが見えません。
違いが明らかになった時、おすすめの前に進むためのステップは次の通りです。
違う意見をまずはテーブルに出してみる
その意見は”何に基づいているのか”、双方の”基づく”点を出し合います (ここにそれぞれが重要視している点が現れています)
組織が前に進むために、このテーマは"何に基づくといいのか"、その”基点”を新たに一緒に考えます
是非試してみてください。
参考情報:BBC News
米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が死去 リベラル派の87歳
https://www.bbc.com/japanese/54215439
Photo by Jackie Hope on Unsplash
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