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そのジャッジ、精査していますか? -仮説を問うということ

戦略策定や、新規事業計画を検討するプロセスで、

このジャッジは正しいかどうか?

を議論することは、実は案外難しい


理由は、作成者は、その計画を「やる」スタンスで作っているため、描き出されたタスクの全てを「やれる」見込みで書いている。

また、新規事業をアサインしたマネジメントは、
「計画を立ててみたら、どうやらやらない方がいいことが分かりました

とは、人員や時間などのリソースを投入した手前、言い出しづらい立場にある。


また、説得の材料として、次のような根拠を、正しさの傘増しとしてあげる場合も多々ある。

・コンサルティングファームが言っている
・競合がやっている
・やらなかった時のリスクがある


しかし、これらの追加証明は、計画の確からしさの精査にはつながってはいかない。


では、どのような思考プロセスだと、いまある考えを精査できるのだろうか


"精査"とは、細かい点までくわしく調べること
by 大辞林
ここで使用している、”精査”は、英語の、 refineをイメージしている。
refineとは、"磨きをかける"こと。それにあたる日本語に "精錬" = よく鍛えること、があるが、身近な言葉として、"精査"を用いている。



Clayton Christensenは、著書の『イノベーション・オブ・ライフ』で、大きな決断の際に問うべき唯一の問いは、次だと述べている。


これが成り立つためには、どの仮説が真であればいいのか?
what has to prove true for this to work

by Clay Christensen
How Will You Measure Your Life?



例えば、転職する際、

"この転職が自分にとって成功となるためには、いくつもの仮説のうち、どれが真実であれば自分はハッピーだろうか?"

オファーがすでに出ていたり、給与が条件以上だったりすると、見極めを間違えやすいのが職探しであるが、上記を問うことで、本当に重要なものは何かを考えさせてくれる。


また、新規事業が成功するために、

"この計画の中で、最も間違ってはならない仮説は何だろうか?"

を問うとする。
答えが、"見込顧客数"だった場合、重厚なサービス開発に投資する前に、インターネット調査で確からしらを検証することで、計画を修正できる。


一つ、条件がある。
組織でこれを"問う"ためには、次のような企業カルチャーが必要だ。

・各レベルで議論が推奨されている (役員同士も議論する習慣がある)
・オープンで、遠慮がない対話が可能 (リーダーがフラットな場を作れる)
・出された意見が共有の材料として思考プロセスに組み込める


3番目の"共有の材料として思考プロセスに組み込める"は最も難しいポイントだ。
あるシチュエーションに例えると、


新商品を売り出す場合の年度計画で、

仮説をあげていき、

営業部の提案力があがることが前提  ・・・ 最も重要だが、確実性が最も低い


と、経営企画部が意見をだした時、、、


その時、何が起こるだろうか?

  営業部も一生懸命やっています

  先のことは分からないから、そこまで細かく指摘しなくても

  あくまでも計画は計画だから、やっっていくうちに良くなるんじゃない


残念ながら、これらは思考がストップしている兆候である。

組織は、分業で成り立っているため、自部門以外が問題点が指摘できるのは、とても健全なことだ。


つまり、

「出された意見が共有の材料として思考プロセスに組み込める」

とは、個人が単独で考える作業ではなく、

組織が、共に考えるプロセスを持っているかを指している。


担当者や担当部門長が単独で物事をジャッジし、責任を負うのではなく、組織は、プロセスの中で、仮説と問いという重要な役割を担う。

問うことで、仮説は掘り下げられ、確実性は吟味される。

そして、磨かれたジャッジは、経験値として組織の学びなっていく。


まとめ:
ジャッジを精査するプロセスの図

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Photo by Caroline Sada on Unsplash

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