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フォント強化月間⑤ スラブセリフ体

こんにちは!株式会社 form and craft です。今回も、弊社内で実施している学びのプログラム「フォームアカデミー」について記録していきます。(アカデミーの目的や今までの活動についてはこちらをご覧ください)


約1ヶ月に渡り、毎週続けてきた「フォント強化月間」。今回でラストになります!

今週のお題はこちら!

「It’ s Sony 展 ̶ Goodbye Sony Building, Hello Sony Park」


今回も3チームに分かれて探したところ、全チーム「Clarendon URW」と解答!

気になる正解は…?

【 正解 】Clarendon URW(弊社調べ)

全チームとも正解でしたね!
Clarendon URWはパッと見るとローマン体に近い形をしているようですが、縦横のコントラストが小さく、サンセリフ体のような印象も併せ持っているように感じます。

ローマン体とサンセリフ体との比較

細いウェイトのものを使えばローマン体のように、太いウェイトのものを使えばサンセリフ体のようにと、幅広く重宝されそうなフォントですね。
ローマン体ほどフォーマルにしたくないけど、サンセリフ体だとシンプルすぎて物足りない、といったときに使えるフォントでしょうか。

また、「6」や「g」のようにケルン(先端のクルっとしたところ)がついていたり、「2」の手書き感など、エレメント単体で見ると可愛らしさもありますね。

エレメントの形状を比較


その他の書体

これまでフォームアカデミーでは、欧文のセリフ体とサンセリフ体、和文の明朝体とゴシック体と勉強してきましたが、今回はその他の書体としてスラブセリフ体について学びました。

スラブセリフ体は「エジプシャン体」とも呼ばれ、19世紀初頭にイギリスで考案された広告用のディスプレイ書体です。
遠くからでも認識されやすいようにセリフが分厚くなっているのが特徴です。
実際に、1950年代から60年代にかけて欧米でリバイバルし、国際化する企業や商品の宣伝広告に使われて人気を得ました。今回出題されたSONYの社名ロゴもその一つで、平体に変形したオリジナルのプロポーションをブランド化しつつも、クラレンドンのスタイルを60年以上踏襲しているそうです。

その他にも、スクリプト、ブラックレターなどがあります。
手書きの筆致を生かした書体、スクリプト。
どこか優美な印象がありますね。手書きの造形を強く残しているので、筆の入りや抜きが前後の文字と続くようになっています。
基本的には手書きのものであることを意識した書体なので、大文字で続けて使うというのは本来NG。うっかり知らずに使わないように気をつけたいですね。

重厚感があり装飾が印象的なブラックレター。
クラッシック音楽やビールなどの広告パッケージに使われているのを目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
カリグラフィーの文字を参考にしたつくりで、ブラックレターで書かれたページが黒く見えることからその名がついたそうです。

今回は、その他の書体としてスラブセリフ、スクリプト、ブラックレターに触れましたが、それぞれに特徴がありフォントひとつひとつにもまるで人格があるようですね。
フォントの印象を汲み歴史を知ることで、何気なく目にしているものにも意味や背景があるように思えてきます。
これからは、印象と歴史や背景といった知識、どちらも大切にしながらフォントを選んでいけたらと思います。

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それでは、次回の投稿もお楽しみに!

text:A.K

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