見出し画像

入籍10ヶ月で適応障害になった話 〈9〉


病院の入り口をくぐったところで
病院から電話がかかってきました。

「お父さんの心拍が弱くなっています。
 いつまで持つのかわかりません。」

電話を受けて、
本当はダメだったかもしれませんが
私は走って父の病室に向かいました。

確かに父の心拍は午前中に来たよりも
明らかに弱く、不安定になってました。

「父ちゃん!
 あたし来たからね!
 父ちゃん!やだ!やだ!」

泣いて叫ぶことしかできませんでした。

担当してくれていた看護師さんが気付いて来てくれて
私を強く抱きしめてくれました。

なんとか隣県に住む兄と旦那さんに連絡して、
すぐに旦那さんが駆けつけてくれました。

病室に着いた旦那さんは
「あぁ…父ちゃん」
とだけ言って涙を流していました。

それから約30分くらいかけて父の心拍は
徐々に弱くなり、
私と旦那さんに両手を握られながら永眠しました。

父は65歳でした。
                         Nana.N



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?